車両装備品を手にする(4)~記念グッズとしてのサボ・エンブレム
近年、JR北海道で運行される観光列車に関連して、「記念グッズ」扱いとしてレプリカのサボやエンブレムが販売されることもあります。
全ての観光列車で行なわれているものではありませんが、最近の運行で実施されたものをピックアップして、その情報を記してみます。
風っこそうや/花たびそうや
宗谷本線で2019年(令和元年)の夏に運行された「風っこそうや」、そして2022年(令和4年)から春に運行している「花たびそうや」では原寸大サボとエンブレムが北海道キヨスク(当時。現在のJR北海道フレッシュキヨスク)で販売されています。これらの商品についてはもちろんJR北海道の許諾を取って制作されており、風っこそうやは店頭(札幌西店および旭川西店)とオンラインショップ(受注生産)、花たびそうやは旭川西店とオンラインショップでの取扱いとなっていました。
なお、どちらの列車でも車内販売は行なわれず、停車駅にて沿線自治体関係者による催しが開催されるのみであったため、北海道キヨスク直営の北海道四季彩館で販売することも納得いく流れかと思いました。
風っこそうや(2019年)
風っこそうやの原寸大サボについては札幌駅西口改札前に設けられていた企画スペースに展示されていたこともありました。何気なく北海道四季彩館・札幌西店に行ったとき、原寸大サボが1枚6,000円で売られていたのを見たときには、四季彩館で取扱いが有ることとその値段にビックリしました。従来、SL列車の車内販売で売られていた実装品やレプリカ販売品の価格と比べて倍近い値段であったため、店頭で見た瞬間は「いい値段するなぁ…」と率直に思いました。
そして、その時は実際に乗車する予定はなかったので、「そういう扱いになったのかな」という認識でありました。原寸大サボについては、2区間で運行された風っこそうやについて、「稚内~音威子府」および「旭川~音威子府」の両方、かつ方向違いの合計4種類が販売されていました
なお、風っこそうやについては、何気ないタイミングで偶然にも旭川~音威子府間の指定席券が確保できたことから現地へ行って乗車してきました。往復で合計10時間の乗車がとても楽しかったので、帰りの特急列車に乗る前に旭川西店で「旭川~音威子府」のサボを購入してしまう程でした。
エンブレムについてはすでに札幌西店・旭川西店とも在庫が無かったのですが、乗車してから徐々に欲しい気持ちが高まっていたことから、オンライン通販で受注販売していたものを注文しました。
花たびそうや(2021年~)
花たびそうやは風っこそうやの実質的な後継列車として、2020年(令和2年)の春に運行が開始される予定でありましたが、同年は新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた頃であり、JR北海道も臨時列車の運転取りやめを決めたことから初年度に運行されることはありませんでした。
翌年の2021年(令和3年)も春の臨時列車で「花たびそうや」が設定、記念グッズとして原寸大サボとエンブレムなどが制作され、運行開始に合わせて発売となりました。しかし、この年の花たびそうやも新型コロナウイルス感染症拡大によって運転開始の直前に全運行日の運休を発表。記念グッズについては予定通り発売されたことから、「幻の列車」のグッズとなりました。
この年に発売された原寸大サボやエンブレムの裏面には「2021年運行記念」と刻印されていましたが、列車が運行されることが無かったこともあり、通信販売では数日で完売となっていました。
なお、2021年については全区間の指定席を確保して乗りに行こうと考えていたことから、「旭川~稚内」の区間における原寸大サボやエンブレムなどのグッズセットを購入しました。
2022年(令和4年)は列車を走らせる機運が高まり、予定どおり全ての日程で列車が運転され、実質的な運行初年度となりました。
運行開始日の直前には北海道キヨスクで昨年同様に記念グッズも発売され、原寸大サボの表面は実際に列車に装着されたサボと同じデザインが施されていました。また、原寸大サボとエンブレムの裏面には2021年度とは異なるデザインで「運行記念」と入っていました。
この年は運行開始の最初の週末に「旭川~稚内」の全区間を往復で乗ってきました。原寸大サボのデザインも2021年の設定時と同様であったことから、前年に購入したものとは逆方向となる「稚内~旭川」の原寸大サボとエンブレムをオンラインで注文して、入手しました。
なお、2023年(令和5年)以降も春の宗谷本線を彩る観光列車として設定され、運行に合わせて記念グッズが制作されていました。実際に乗車しなかったことから購入はしていないのですが、2024年(令和6年)はサボなどのデザインが変わったこともあり、グッズの売れ行きは良かった模様でした。原寸大サボとエンブレムは再販されるほどであり、再販分も完売したことが鉄道ファンへの人気が表れていることと思われます。
くしろ湿原ノロッコ号(2021年)
毎年春から秋にかけて釧網本線・釧路~塘路間を走行する「くしろ湿原ノロッコ号」では通常時もサボを付けて運行されているのですが、周年記念などが重なったときには特別なサボが装着されることがあります。
この列車では車内販売が実施されており、限定サボが使用されているときは販売カウンターにてレプリカサボなどのグッズが取扱われます。なお、通常時に使われるサボについてはレプリカを含め販売されていません。
2021年(令和3年)は釧網本線90周年記念のイベントが開催、同区間で運行するノロッコ号でも周年記念が記載されたサボが使われ、車内ではレプリカサボの販売が実施されました。
この年は釧路のノロッコ号にはしばらく乗っていなかった気がしていたことから数年ぶりに現地へ。ノロッコ号の窓から広がる車窓を楽しみながら、限定のレプリカサボを買うという目的も果たしました。車販カウンターの様子や周りを見渡してみても、サボを買っている人は少なく感じました。
なお、2024年(令和6年)にはくしろ湿原ノロッコ号が運行開始35周年となったことから特別サボが使われ、こちらについてもレプリカサボが車内販売で取扱われていました。
流氷物語号(2021年~)
2017年(平成29年)に流氷物語号が設定された時は専用塗装が施されたキハ54形車両による運転で専用のサボが使われましたが、レプリカ品は販売されていませんでした。
2021年(令和3年)からはゲーム「オホーツクに消ゆ」とのコラボが実施され、車両もキハ40形の観光用車両となりました。このコラボによりゲームのキャラクターが描かれたサボとエンブレムが車体に装着されました。
このサボとエンブレムはレプリカ品が制作されましたが、JR北海道およびゲーム関係企業が制作・販売するのではなく、JR北海道の許諾を取って地元の団体が企画・販売するという形式となっていました。基本的には流氷物語号の車内販売のみでありましたが、当該列車の運行終了後に当該団体が出展するイベントや沿線の郵便局などで販売されることもありました。
2022年(令和4年)でもコラボが継続され、レプリカサボなども発売。運行初日にはレプリカサボが売り切れるというニュースもありました。
この年は流氷物語号に乗車するため網走方面に行ったのですが、売り切れのニュースを見ていたことから始発駅の網走駅で改札が始まるとすぐに車内販売スペースへ向かい、販売開始すぐにレプリカサボとエンブレムを購入しました。なお、購入時にはレプリカサボを入れる袋は用意されていなかったため、商品自体はビニールに覆われていたものの、そのままの形で持ち歩くことになりました。
2024年(令和6年)に乗車した際にも車内販売の端にレプリカのサボとエンブレムは置かれており、商品を見ると袋にはっきりと「レプリカ」(JR北海道商品化許諾済)のシールとコラボデザインのためKADOKAWAのシールが貼ってありました。
乗車した日は自分を含め数名のファンがサボを買っていたのですが、ほぼインバウンドの旅行者が占めていた日であったので、鉄道ファンや日本人の旅行者の姿は総体的に少なかったです。流氷物語号から乗り継いだ釧網本線・SL冬の湿原号や翌日に乗車した根室本線代行バスでもこのレプリカサボを買っていた鉄道ファンも見受けられたことから、一定の割合でファンが購入してるものと想定できました。
なお、サボ・エンブレムとも鉄板にイラストが直接印刷されているのではなく、シルクスクリーンと思われるものでイラストが貼られている形式でしたが、、実際に列車に装着されているものを目視で確認したところ、同様の仕様で作られていた模様でありました。
また、2022年(令和4年)の運行では1号車の半分が指定席となり、レプリカで作成・販売されたエンブレムは1号車に該当する「一部指定席/自由席」でしたが、全ての座席が「自由席」となっていた2号車のレプリカエンブレムはありませんでした。(2023年の運行から2号車も一部指定席になりました)
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