豊胸手術で失敗しないために知っておきたい5つの常識〜シリコンバッグ編〜
現在日本で最も広く行われている豊胸手術は3種類。シリコンバッグ豊胸、ヒアルロン酸豊胸、そして脂肪注入豊胸です。
ここでは、シリコンバッグ豊胸に関して、一般の方にはあまり知られていないものの、施術を検討中の方にはぜひ知っておいていただきたい5つの事柄についてご紹介したいと思います。(情報提供:THE CLINIC)
1:シリコンバッグ 豊胸は結構痛い
豊胸といえばまずシリコンバッグを思い浮かべる方は少なくないと思いますが、シリコンバッグ豊胸は、他の豊胸術に比べてバストの挿入時に残る傷跡が大きく、挿入に伴う痛みもやや激しくなります。つまり負担が大きいということです。また、痛みの程度はバッグの収納位置によっても変わってきます。
特に大胸筋の下にバッグを収納する「大胸筋下法」による手術(下図参照)を受けた際は、とりわけ強い痛みを感じるでしょう。
大胸筋下法での手術をおすすめするのは、痩せた方の場合です。痩せているバストの表面近くにバッグを挿入すると、手触りに違和感を感じやすくなるからです。痛みに弱いという方は、バッグを収納する位置についても事前に確認しておくことをおすすめします。
2:シリコンバッグは種類が豊富
言うまでもありませんが、シリコンバッグ豊胸は、挿入するバッグの大きさに応じてバストアップの程度を変えられる豊胸術です。
ですから、施術を受けられる際には、まず挿入するバッグの大きさを決める必要があります。ただ、バッグを選択する際に押さえるべきポイントはそれだけではありません。
<選択ポイント①:バッグの形>
バッグの形にはアナトミカルタイプ(しずく型)とラウンドタイプ(丸いおわん型)があります。痩せていて、バッグを入れるとデコルテ部分が不自然に浮き出てしまいそうなタイプの方はアナトミカル型が向いています。ただし、アナトミカルタイプの場合、サイズが大きいと、バッグをわきの下から挿入するのは非常に困難です。どうしてもわきからの挿入を希望される場合は、大きめの傷が残ることを承知いただく必要があります(わきの下以外ですと、アンダーバストを切開し、そこから挿入することになります)。
なお、アナトミカル型は比較的固いと言われており、これを理由に他の方法を検討される方も少なくありません。
<選択ポイント②:バッグ表面の質感>
バッグ表面の質感にはテクスチャードタイプ(ザラザラした手触り)とスムーズタイプ(ツルツルした手触り)があります。
日本ではテクスチャードタイプのものが主流で、特にメジャーなのはアラガン社のシリコンバッグです。アラガン社のバッグがメジャーな理由は、国内で唯一、保険治療で採用されているシリコンバッグだからだと考えられます。豊胸を保険治療で受けられるケースというのは、具体的には乳がん後の乳房再建などを目的とした豊胸手術を受ける場合などです。
テクスチャードタイプは、ザラザラしている分表面積も大きく、そこに周辺組織が食い込む形でバスト内に固定されます。これによってバッグと組織の癒着が軽減され、強度の皮膜拘縮が避けられるのです。ただし、バッグをしっかり固定するように挿入されるので、動きの乏しいバストに仕上がります。
一方、スムースタイプは組織と強固に癒着しやすく、硬い皮膜を形成しやすいです。このため、挿入する際は大きめのスペースを確保して、バッグと組織がなるべく癒着しないように配慮します。また、挿入後は癒着を防ぐため、定期的なマッサージが求められます。
なお、テクスチャードタイプとスムーズタイプを選ぶことができるのはラウンドタイプ(おわん型)のみなので、その点はご注意ください。
<選択ポイント③:その他の最新バッグ>
シリコンバッグの技術は日進月歩。今でも新製品が次々と市場に出回っています。ここでは、その中で特に人気の高い2製品についてご紹介しましょう。
●B-Lite(ビーライト豊胸)
「G & G BIOTECHNOLOGY社」によって製造されている、比較的新しい豊胸用シリコンバッグ(シリコンインプラント)です。従来品に比べて軽く、万一破損した際にも中身が漏れ出しにくくなっているようです。
難点は、おそらく乳房下縁からしか挿入できないのではと考えられること。また、全く動かないので、体の動きに合わせて揺れることはなさそうです。
●Motiva(モティバ豊胸)
「Establishment Labs社」によって開発されたシリコンバッグ (シリコンインプラント)です。柔らかさ、耐久性が従来品を上回っていることに加え、サイズバリエーションが豊富である点も特徴の一つです。体の動きに合わせてバッグの形が変わる「エルゴノミックス 」という製品ラインナップも用意されているようです。
3:シリコンバッグには寿命がある
シリコンバッグは人工物なので、挿入後の歳月とともに必ず劣化します。米国のFDAという国家機関(日本の厚生労働省に当たる組織です)の調査によると、シリコンバッグなど豊胸用インプラントの寿命は平均で約10年。11年以内には、少なくとも片方が破損するリスクが高くなる」と言われています。ですから、シリコンバッグは、たとえ何も問題がなかったとしても10年に1回のペースで交換するのが望ましいと言えます(このあたりについては福岡院の志田先生が「豊胸シリコンの新常識 意外と知らない寿命と安全性」でも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください)。
特に支障を感じないからと長期間放置していると、気づかないうちにバストの中でバッグが破損し、バストの変形やバスト内の組織の炎症を引き起こすなど、二次被害をもたらす可能性もないわけではありません。また、10年というのはあくまで平均値なので、人によってはもっと早く不具合を起こすこともあり得ます。
シリコンバッグを用いた豊胸手術を受けられた場合は、術後、定期的にバストのメンテナンスが必要になるということは覚えておいてください。
4:シリコンバッグ豊胸を受けると、乳ガン検診を断られることがある
バストにシリコンバッグが入っていると、マンモグラフィという乳がん検査を断られることがあります。
マンモグラフィは、乳房を2枚の透明な圧迫板で挟んで撮影するレントゲン撮影の一種です。乳房を挟む際にシリコンバッグを破損させてしまう恐れがあるので、医療機関としては、こうしたリスクをあらかじめ排除したいという意向があるのだと思います。
また、シリコンバッグ が入っていると、画像の読影が難しくなるのも事実です。一部の医療機関では、シリコンバッグ が入っていてもマンモグラフィ検査を受け入れていますから、ご自分が通える範囲にこうした医療機関があるかどうかは、事前にチェックしておくと良いでしょう。
ただし、乳腺下法の手術を受けた場合は、基本的にはマンモグラフィー検査がNGになりますのでご注意ください。
なお、豊胸手術を受けると乳がんになるという噂を耳にしたことがあるかもしれませんが、それは少しオーバーです。(豊胸手術自体に乳がん発症のリスク因子があるということは、今のところ指摘されていません)。
ただ、シリコンバッグ が入っていると検査を受ける機会が限られ、発見が遅れる可能性が高くなるということは間違いではないので、その点は心に留めておいてください。
5:シリコンバッグの大きさは、必ずしも自由に選べるわけではない
シリコンバッグという人工物を体内に入れた時、それを覆う人体の組織が豊富であればあるほど、人工物特有の違和感は薄れるものです。ですから、もともとバストに脂肪をたくさん蓄えている人ほど、シリコンバッグを挿入した後のバストの手触りは自然になります。また、見た目にも違和感を感じにくくなるでしょう。しかし、そうでない場合(痩せていて余分な脂肪が少ない場合)は、全く逆の結果になります。
シリコンバッグ豊胸のメリットの一つは、元々のバストサイズにかかわらず、希望のサイズにまでバストアップが可能なことなのですが、手触りまで考慮した場合、バッグの大きさを際限なく選べるかというと、そういうわけにもいかないのです。
近年のシリコンバッグの質感は改良が進んでいて、中には本当に柔らかいものもあります。ただ、実際にバストに入れて、皮膚の上から触れた時の感触はどうかというと、天然のバストの質感と全く変わらないというレベルにまでは至っていないのが実際のところです。
あまり大きなバッグを挿入すると、その分皮膚が大きく伸ばされることになるので、自ずと手触りはバッグそのものの感触に近くなり、より一層硬さを感じることになると思います。バッグの大きさは、サイズ感だけでなく、触感との兼ね合いも考慮することが重要ではないかでしょうか。
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シリコンバッグ豊胸は、もともとバストの大きさや体型にかかわらず、希望に合わせたサイズアップが可能ですが、実際にはここに挙げたような注意点もあります。
検討される際は、得られるものと制限されるもの(我慢しなければいけないこと)の両方を考慮し、納得した上で決断するようにしてください。
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