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Honda、富士通の2強にニューイヤー駅伝2位のSUBARUが優勝候補。世界陸上オレゴンや東京五輪代表選手が多数出場【東日本実業団駅伝プレビュー①】

Hondaと富士通の2強が激突する東日本実業団駅伝は11月3日、埼玉県庁をスタートし、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場にフィニッシュする7区間76.9kmで行われ、上位12チームが来年元旦のニューイヤー駅伝出場権を得る。
 各区間の距離は以下の通り。
1区・11.6km
2区・ 8.0km
3区・16.5km
4区・ 9.5km
5区・ 7.8km
6区・10.6km
7区・12.9km
 2強以外では今年元旦のニューイヤー駅伝でHondaに次いで2位に食い込んだSUBARUや、3年前の今大会優勝チームのコニカミノルタも優勝を狙える戦力だ。東日本前回3位の日立物流、4位のヤクルト、5位のGMOインターネットグループ、6位のカネボウ、さらにはJR東日本も上位争いに加わる可能性がある。
 過去2年間は新型コロナ感染拡大のため、埼玉県熊谷スポーツ文化公園内特設周回コースでの開催だった。3年ぶりに公道を使用して行われる大会の注目チームと選手を紹介する。

●富士通とHondaに代表経験者多数

今大会2連勝中の富士通と、ニューイヤー駅伝優勝のHondaに有力選手が揃っている。
 Hondaは「今強い選手を上から7人起用する」と小川智監督。ニューイヤー駅伝に向けて何かを試すことよりも、東日本大会を全力で勝ちに行く方針だ。
 世界陸上オレゴン10000m代表だった伊藤達彦(24)と、同3000m障害代表だった青木涼真(25)のどちらかが、最長区間の3区を担うだろう。小山直城(26)は昨シーズン、伊藤、青木とともに主要区間を担ったが、今季はマラソンにシフトした。3月の東京(22位・2時間08分59秒)と8月の北海道(11位・2時間14分19秒)、2本走ってどこまで駅伝に合わせられるか。
 ニューイヤー駅伝6区区間賞で勝利を決定づけた中山顕(25)も、10月に英国のハーフマラソン(7位・1時間03分00秒)に出場したが、こちらは21.0975kmなので駅伝には問題ないだろう。入社2年目の小袖英人(24)も今季は、「故障が治り、充実している」(小川監督)という。
 Hondaが5年ぶりの優勝でニューイヤー駅伝V2へ弾みを付けるか。
 富士通は松枝博輝(29)と坂東悠汰(25)の東京五輪5000mコンビに、10月に10000m27分台を出したばかりの塩尻和也(25)、今季好調の横手健(29)が主軸となる。東京五輪代表だった中村匠吾(30)と世界陸上オレゴン代表だった鈴木健吾(27)のマラソンコンビは故障の影響で出場しないが、2年目の塩澤稀夕(23)や飯田貴之(23)と椎野修羅(23)の新人コンビが好調で、隙のない布陣になる。
 高橋健一駅伝監督は「3年前にウチは落ちている(6区の選手にアクシデントがあり17位)のでトラウマがあるのですが」と笑いながらも、優勝を目指すと明言した。
「男子の実業団駅伝はシード制がないので、東日本は落としちゃいけない大会です。マラソン組は出ませんが、東日本の3区でニューイヤー駅伝(最長区間の)4区候補を試します。2年目までの新人たちをベテラン組にどう絡ませるか」
 距離もニューイヤー駅伝より短い駅伝だ。マラソン組が出なくても、富士通に3連勝の可能性は十分ある。

●SUBARUも戦力充実。コニカミノルタに復活の兆し

ダークホースはSUBARUだろう。ニューイヤー駅伝はHondaに次ぐ2位、地元群馬で上位を疾走した。今回の東日本実業団駅伝は「3位」が目標だ。ニューイヤー駅伝は、2位を取る準備ができていたわけではない、というとらえ方だ。
 しかし戦力はニューイヤー駅伝以上かもしれない。3区を走った梶谷瑠哉(26)と4区の清水歓太(26)は、今季も順調だ。梶谷は7月に5000mで13分34秒94の自己新、清水は3月に10000mで27分31秒27と日本歴代7位をマーク。清水は本大会の4区でも区間賞候補に挙げられそうだ。
 さらに10000m27分台の川田裕也(24)が今季は駅伝に出場でき、1500mで3分37秒36と中距離日本トップレベルのスピードを持つ森田佳祐(27)が加入した。トラックのスピードのある2人が駅伝でも戦力になれば、2強に対抗できる。
 最後の公道開催だった19年大会に優勝したコニカミノルタにも注目したい。20年は8位(ニューイヤー駅伝18位)、21年は10位(同21位)。かつての主力が引退や移籍でいなくなり、ニューイヤー駅伝優勝8回を誇る名門が苦しんできた。
 だが今季は星岳(24)が大阪マラソンに優勝し、世界陸上オレゴンにも出場。エースとしての貫禄を備え始めた。5000m13分19秒92(日本歴代12位)を持つ砂岡拓磨(22)が加入し、スピード区間で力を発揮しそうだ。
 マラソンまで走る蜂須賀源(27)、学生時代に駅伝で快走した米満怜(24)と名取燎太(24)ら好選手が揃っている。名門が3年ぶりの優勝で復活を遂げるか。

TEXT by 寺田辰朗
写真提供:フォート・キシモト


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