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4×400mリレー世界陸上オレゴン4位入賞の中島が、個人種目でも世界陸上ブダペスト標準記録突破に手応え【日本インカレ2022】

 男子4×400mリレーが世界陸上オレゴンで4位入賞したのは記憶に新しいが、4走を担った中島佑気ジョセフ(東洋大3年)が個人種目の400mでも、世界陸上ブダペスト参加標準記録突破(45秒00)に向けて好感触を得た。日本インカレ初日(9月9日@たけびしスタジアム京都)の男子400mで中島は46秒18で優勝。出場者全員の記録が伸びなかったのは湿度の高いコンディションと、各組1着通過の予選と決勝を同日に行うスケジュールが重なったため。記録よりも「前半から行く走りができました。ひとつ壁を破れた」とレース内容に手応えを感じている。

●前半型の予選と勝負強さを発揮した決勝

日本インカレの中島は予選と決勝で走り方を変えていた。
「富士北麓ワールドトライアル(8月27日。45秒51の自己新)で250mまで、考えた通りにしっかり行くことができました。ストライドを伸ばしながらリズム良く走れた。今日はそこからラスト150mもまとめるレースをしたかったんです」
 富士北麓は200 m通過が自身最速の21秒6だったが、日本インカレの予選も同じ21秒6。決勝の通過タイムは現時点で判明していないが、1つ外側のレーンの今泉堅貴(筑波大3年)に150m付近までは明らかに離されていた。昨年持ち記録1位で臨みながら3位と敗れた大会ということで、「勝ち切る意識が強く前半守った」(中島)ところがあったようだ。
 200 m付近で今泉に並ぶと300 mまででトップに立ち、最後の直線で前回優勝者の友田真隆(東京理科大2年)、急成長中の豊田兼(慶大2年)の追い上げを許さず、差を広げて勝ちきった。
「本当はタイムも欲しかったのですが、今回のようなタイトルがかかった試合で結果を出すことが、今後も日本選手権など大きな試合で勝つことに向けて重要になります。今日は、まずはしっかりタイトルを取る、と思って走りました」
 “守った”という言葉を使ったが、決して後ろ向きなスタンではない。前半型に変えている最中で、もともと持っていた後半の強さも発揮する最善の走り方をした。

●オレゴンで得た世界と戦う自信

中島にとってはオレゴンの4×400mリレーの経験が大きかった。予選こそ通過を第一に考えて前半は抑え気味に走り、後半で持ち味を発揮して1組2位と着順通過に貢献した。決勝は世界のトップ選手たちと競り合い、前半から速いペースでレースを展開。44秒68のラップタイム(主催者発表)で4位入賞に貢献した。
「以前は後半型でしたが世界陸上を経験して、試行錯誤して、短期間で変わることができています。スキルも新しいものができて、練習の意識も変わりました。世界陸上後の個人レースで前半を速く入れるようになりましたが、(頑張って最初から)突っ込んでいるわけではないんです。世界陸上でトップを争ったことで自信がつき、考えすぎることがなくなりました。良い動きが体に染みついて、そこまで意識しなくても良い動きが練習でもレースでもできるようになっています。前半で前に行かれると焦って自分の動きができないことも多いのですが、前半からしっかり行けるとそれがありません」
 今回は自己記録に届かなかったが、前述のようにタイムを出せるコンディションではなく、走りの内容に本人は十分手応えを感じている。世界陸上ブダペストの標準記録は45秒00。日本人選手の44秒台は、44秒78(91年)の日本記録保持者である高野進が3回出しただけ。
 史上2人目の44秒台はオレゴンの3走で43秒91で走ったウォルシュ・ジュリアン(富士通・25)が第一候補だが、そこに中島も加わりそうな勢いだ。日本歴代2位の45秒03は学生記録だが、その記録は中島の城西大城西高時代の恩師である山村貴彦先生が持つ。
「走りの完成度は今日も悪くありませんでした。コンディションが良ければ(標準記録は)出せると思います」
 今後の男子400mは44秒台争いが注目点になる。それを複数選手が達成すれば、4×400mリレーのメダルも実現可能になる。

TEXT by 寺田辰朗

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