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2020年5月24日「風をよむ ~利用されるコロナ・ショック~」

・”政治利用”される新型コロナ対策

・警鐘を鳴らす「ショック・ドクトリン = 惨事便乗型資本主義」

・一方で危機的状況が功を奏した例も…。

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新型コロナウイルス感染者数が33万5千人を超え、世界で2番目に多いロシア。しかし20日、一部外出制限が解除されました。その根拠は・・・

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ロシア・ゴリコワ副首相 (5月20日)「ロシアの新型コロナ感染による致死率は0.95%。これは世界的にかなり低い数値です」       

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確かにロシアの致死率0.95%は、他の欧米諸国と比べても際だって低い数字です。ところが・・・

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アレクセイ・エルリフ医師「新型コロナの感染が死因でないように診断書を作ることはできます。併発した死因にしてしまうのです」

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地元医師だけでなく、海外メディアからもロシアの死者数の“過少申告”を指摘する声が相次いだのです。背景にあるとされるのが・・・

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ロシア・プーチン大統領(5月9日)「団結すれば、我々は無敵だと確信している!」

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今月、就任から20年を迎えたプーチン大統領。現在、憲法改正に着手しており、実現すれば2036年まで大統領にとどまることも可能です。

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そこで国民の支持を得るため、コロナ対策を最重要課題とし、「公務員の手抜きは犯罪的な職務怠慢とみなす」と宣言。責任追及を恐れる地方政府など現場が、過小に被害を報告したという指摘もあります。 

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猛威を振るう新型コロナウイルス。その対策を、リーダーが「政治的に利用」しているととれる例は、他にも・・・

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ブラジル・ボルソナロ大統領 「新型コロナウイルスは、ただの風邪だ」

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世界3位となる約33万人の新型コロナ感染者を出すブラジルでは、ボルソナロ大統領が規制を解除し、経済再開を優先させています。その一方で・・・

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「ファベーラ」と呼ばれる、衛生状態の悪い貧困地区に感染は集中していますが、十分な対策は講じられていません。

ファベーラ住民「政府の政策に、私たちは存在しないのです」

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しかし、ボルソナロ大統領は、自分の意に沿わない保健相を次々と辞任に追い込んでおり、背景には、支持基盤である財界や富裕層への配慮があるとされています。

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感染症をはじめ、自然災害などによる大きな惨事が、政治的に「利用」、あるいは「悪用」されることに警鐘を鳴らした本があります。

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カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン氏の「ショック・ドクトリン」。「惨事便乗型資本主義」と訳される本の中で、著者はこう指摘します。

「大惨事が起きると国民は茫然自失の集団ショック状態に陥る。(中略)人々が無防備な状態にあるその時こそ、彼らにとっては世界改変の作業に着手するチャンスなのである」

実際、そう思われるような例が、各地で起きています。

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イスラエル・ネタニヤフ首相(5月17日)「状況悪化を防ぎ、共に、この危機を乗り越えよう!」

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17日、政治的混迷が続くイスラエルで、新型コロナ対策のため与野党連立の「挙国一致」内閣が発足。ところがその直後、世界が驚く発言が飛び出したのです。

新型コロナ対策のため「挙国一致内閣」として大連立政権が樹立されたイスラエル。その直後の国会演説で、ネタニヤフ首相は・・・

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イスラエル・ネタニヤフ首相(5月17日)「西岸地区はユダヤ国家が誕生した地域。そこにイスラエルの主権を適用する時がきた!」

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今年7月以降に、パレスチナ自治区である「ヨルダン川西岸地区」の一部を併合する議論を進める構えを見せたのです。こうした「緊急事態」を利用したとされる例は他にも・・・

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ハンガリー議会は3月、「オルバン首相が非常事態措置を、無期限に延長できる法案」を可決。首相の権限が大幅に拡大されることに加え、メディアへの規制も盛り込まれ、報道の自由への制限が懸念されています。

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デモ参加者「自由のために闘え!香港支持を!」

また、香港では今月10日、若者たちが大規模な抗議集会を実施。しかし香港政府は、「コロナ対策」で出した「9人以上の集会を禁止する法令」を盾に、およそ230人を逮捕したのです。

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22日、中国政府は、香港への統制を強める国家安全法の整備に着手し、自治を認めた「一国二制度」の存続が危ぶまれています。

新型コロナによる危機的状況の「利用」「悪用」ともとれるこうした事態の一方で、「ショック・ドクトリン」には、こういう指摘も…。

「ショックを受けたとき、人間は必ずしも退行するとは限らない。ときには危機に直面することで成長することもある」

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・・・として、ハリケーン・カトリーナで壊滅的打撃を受けたニューオーリンズで、地元市民が団結し、草の根からの運動を展開、町の復興につなげた例などを挙げています。

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また今回の新型コロナへの対応でも、台湾のように、政府による迅速で丁寧な対応が、市民の団結を強め、政府への信頼を高めたというような、結果として危機的状況が功を奏した例もあります。

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「コロナショック」ともいうべき状況を前に、私たちはどう行動するのか、そのことが問われています。

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