2021年2月14日 「風をよむ ~コロナ禍経済の明暗」
ソフトバンクグループ 孫正義会長「3兆円 それなりの数字ではありますがこの程度で満足するつもりはさらさらない」
企業の決算発表が相次ぐ中、この月曜、ソフトバンクグループは純利益が3兆円を超え、過去最高になったことを発表。
ソニーも自粛ムードの中、ゲームやテレビなどの巣ごもり需要が好調で、純利益が初めて1兆円超え。日本マクドナルドホールディングスも、テイクアウトなどの売り上げが増加したことで去年1年間の売り上げが創業以来、最高を記録したのです。
コロナ禍にもかかわらず、相次いで好決算を発表する大企業。そんなに景気がいいのでしょうか?街で聞いてみると・・・
「今は全くないですね。まだ底を打ってないのではないか」「実際にはそんなに良くない。企業は苦しいですから」
景気が良くなったと感じている人は少ないようです。さらに・・・
月曜、東京株式市場の日経平均株価は2万9000円の大台を突破。
およそ30年6ヶ月ぶりに、バブル崩壊後の最高値を更新しました。
しかし、この事態にも、街の声は・・・
「今の株価はかなり作られたものではないかと見ています」
コロナ禍で、株価が急上昇しているのは、日本だけではありません。
ニューヨーク株式市場では去年11月、ダウ平均株価が3万ドルの大台を初めて突破。
この動きの背景にあるのは、コロナ禍の対策として、各国が競うように実施した、大規模な財政支援と金融緩和。
その結果、“カネ余り”の状態となり、行き場を求める資金が、大量に株式市場に流れ込み、株価を押し上げているのが一因と見られます
IMF=国際通貨基金によると、去年、世界各国が打ち出した財政支援総額は日本円で1460兆円。これは日本の国家予算の14年分にも相当します。
こうした資金は、株式だけでなく、比較的安全な資産とされる「金」にも流入。暗号資産・ビットコインも史上最高値を更新しています。
また、ワクチンの接種や、バイデン政権によるアメリカの景気回復への期待なども、この動きを後押ししているといいます。
しかし、そこにはリスクもあります。その一つは国家財政の債務問題。去年の世界の債務残高は過去最高に。中でもGDP=国内総生産に対する債務残高の比率を見てみると、日本の財政の厳しさは突出しています。
国家財政の債務は、言い換えれば国民全体の借金。そのツケは国民にのしかかる上に、次の世代にまで回される可能性もあります。
とはいえ、いきなり蛇口を閉めカネの流れを止めれば、市場は大混乱。そうさせないために、この状況を、いかに軟着陸させるか、各国の財政当局は、苦慮しています。
しかし、世界が有り余るお金に苦慮する一方では、こんな声も、
FRB パウエル議長「新型コロナの再拡大によって経済活動に弱さが集中している」
日本銀行 黒田東彦総裁 「世界経済の不透明感が急速に高まっている」
お金があふれかえっている世界が、実は、歴史的な経済危機に、直面している、というのです。
株価高騰の一方で、世界経済が直面しているという危機。
例えば、ILO=国際労働機関はコロナ禍のこの一年で、世界では1億1400万人の雇用が失われたと試算。
日本でも、新型コロナの影響で倒産した企業は、去年2月以来の1年間で、1000社に上り、解雇や「雇い止め」で仕事を失った人は、8万人を超えています。
勤め先が倒産した男性「なかなかキャリアと年齢で他の業界にマッチするところがなくて。 この1か月書類選考で落とされている」
さらに自殺者も増加。特に目立つのが、女性の自殺の急増です。コロナによるしわ寄せが、社会的な立場が弱い女性に向かったとも見られます。
金融緩和は、富裕層には恩恵をもたらすものの、投資をする余裕のない人に与えられるのは、リスクだけのようです。
コロナ禍による経済の停滞を支えるはずの政策が、バブルを生み、そのバブルが、ひとたび崩壊した時には、バブルとは縁のない、貧困層など社会的立場の弱い人が、より深刻な苦しみに襲われる・・・。
こうした悲劇を避ける方策が、果たしてあるのでしょうか?
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