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4月5日「風をよむ ~試されるグローバリズム~」

・深刻な食糧危機を引き起こすアフリカのバッタの群れがアジアへ

・新型コロナ危機と相まって各国が食料の禁輸措置

・人の動きも制限され、世界で"鎖国"。リーマンショック超える不況に

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空に舞う無数の物体、地面も覆いつくすその正体は・・・バッタです。

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東アフリカのケニア、エチオピア、ソマリアなどで、今年、1月から大量に発生したサバクトビバッタ。このバッタに、農作物が食い荒らされる被害が拡大しているのです。

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ケニアの男性
「今は何も収穫できない。バッタがすべて食べてしまった。豆やコーンなど全部食べ尽くされてしまった」

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1日に150キロメートルもの距離を移動することができる、このバッタ。小さい群れでも、一日で3万5000人分の食料を食べてしまうといいます。

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ローコック国連事務次長
「エチオピア、ケニア、ソマリアの3か国で1300万人が深刻な食糧危機に直面している」

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被害はアフリカにとどまりません。バッタの大群はアラビア半島へ、さらにはパキスタンやインドにまで到達。

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ついには、新型肺炎の制圧を宣言したばかりの中国が、地方政府にバッタの襲来に備えるよう強く要請しました。

しかも、新型コロナウイルスの感染拡大への不安で、世界各地で、食料や生活物資の買いだめが起こる中の、最悪のタイミング。

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コロナ騒ぎの中、政府が食料の輸出制限に向け、動き出している国もあります。ロイター通信によると、世界3位のコメ輸出国・ベトナムは、先月下旬、一時的にコメの輸出を停止。また、カザフスタンは、小麦粉、砂糖、ひまわり油などを、さらに、ロシアも加工穀物やコメなどの輸出を停止しました。

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こうした動きにより、危惧されるのは、世界的な食料供給網の停滞と食糧価格の高騰です。

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今月1日、国連食糧農業機関と世界保健機関などが、共同声明で、「食料品の入手可能性への懸念から、輸出規制のうねりが生まれている。国際市場で、食料品不足が起きかねない」と、警告。

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また、イギリスのシンクタンクも、こう警鐘を鳴らしました。「すでに“食料ナショナリズム”が始まっている。この動きは、今後さらに強まるだろう」

“食料ナショナリズム”とは、食料の他国への流出を抑え、
自国を最優先にする姿勢をとることです。

仮に、こういう事態になった時に困るのが、日本のような国。

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日本の食料自給率は37%で、先進国の中で最低の水準です。

農林水産物の主な輸入相手国は、1位アメリカ、2位中国、3位カナダ。アメリカからは、とうもろこし、牛肉、豚肉、大豆など、中国からは、鶏肉調製品や冷凍野菜などを、大量に輸入。世界的に自国最優先の空気が広まれば、日本は苦しい立場になります。

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新型コロナウイルスは、グローバル化した世界が目指す、自由な「もの」の流れを、妨げる要因となっているのです。さらに・・・

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オーストリア・クルツ首相「イタリアからわが国への入国を禁止する」

オーストラリア・モリソン首相「オーストラリア国民や居住者を除く全ての外国人の入国を禁止する」

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、相次いで打ち出された“国境封鎖”宣言。

コロナウイルス騒ぎは、グローバリズムの理念である、人の自由な行き来さえ、停滞させる事態を招いたのです。
  
その動きは、日本にも大きな影響をもたらしました。

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安倍首相「インバウンドというのは、安倍政権においてこの成長の大きなエンジンでした。このエンジンをになっていた人たちがもうほとんど収入が、現金収入がなくなってしまうという状況にぶつかっていますから」

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日本政府観光局の発表によれば、2月の訪日外国人客数は、前年同月比58.3%減の108万人。中でも、中国からの訪日客は87.9%減と激減。感染拡大の影響を色濃く受けた格好です。

さらに、モノ・ヒトと共にグローバリズムが掲げる、自由なカネの動きにもコロナウイルスは、暗い影を落としました。

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IMF・ゲオルギエワ専務理事
「2020年と21年の世界経済の成長見通しは、(リーマン・ショック後の)2009年と同じ程度か、それよりも悪い景気後退に入ったのは明白」

グローバリズムのもと拡大した、金融資本主義が後退すれば、その影響は、日本にとっても深刻です。

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今月2日発表された民間エコノミストの試算では、公的年金の積立金を運用する独立行政法人・GPIFの1~3月期の運用は、世界的な株安で赤字が17兆円前後にも上るとする予測が出されました。
  
“ヒト・モノ・カネ”の自由な移動を目指すグローバリズムが、そのグローバリズムによって運ばれた新型コロナに揺さぶられるという皮肉な現実。グローバリズムが試されているのでしょうか?

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