2020年3月22日「風をよむ~遺言~」
「最後は下部がしっぽを切られる。 なんて世の中だ 手がふるえる
恐い 命 大切な命」
2年前自殺した、近畿財務局の職員、赤木俊夫さんが遺した手書きの“遺書”。
「これまで本当にありがとう。ゴメンなさい 恐いよ 心身ともに滅いりました」
妻への感謝の言葉と共に書かれた、別れの言葉・・・赤木さんは、公務員の仕事に誇りを持ち、周囲に「僕の契約相手は国民です」と話していたといいます。
森友学園への国有地売却を巡る「公文書改ざん問題」に関わった赤木さんは、2018年3月7日、自ら命を絶ちました。
2017年、小学校開校を目指していた「森友学園」に対し、国有地がおよそ8億円も値引きされ、売却されていたことが判明。
値引きに安倍総理や妻の昭恵氏が関与したのでは、という疑惑が浮上しました。
安倍晋三首相【2017年2月17日】「私や妻が関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員も辞めるということは、はっきり申し上げておきたい」
安倍総理は国会で、昭恵氏や自身との関係はない、と断言。そして、その一週間後、当時の財務省理財局長だった佐川氏は…
佐川宣寿理財局長(当時)【2017年2月24日】「近畿財務局と森友学園の交渉記録というのはございませんでした。記録が残っていないということでございます」
財務省による、大がかりな文書の改ざんは、ここから始まります。
赤木さんは、自身の文書改ざんに関する顛末を、手書きメモとは別に、「手記」として、残していました。
「これまで経験したことがないほど異例な事案を担当し、その結果、心身に支障が生じ、病気休暇に至りました」「財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いていることが最大の原因であります」
赤木さんは文書の改ざんについて、こう書いています。
「元は、すべて佐川理財局長の指示です」「学園に厚遇したととられる疑いの箇所はすべて、修正するよう指示があったと聞きました」
改ざんで、国と学園側の事前の価格交渉をうかがわせる記述や、安倍昭恵氏の名前などが削除されていきました。
「修正作業の指示が複数回あり、現場として、私はこれに相当、抵抗しました」「パワハラで有名な佐川局長の指示には、誰も背けないのです」
しかし、こうした過酷な作業が進む中、2018年3月文書改ざんが発覚。赤木さんが自ら命を絶ったのは、その、わずか5日後でした。
記者「自分の指示が(自殺の)要因になったと思うか?」
佐川宣寿理財局長(当時)【2018年3月9日】「どなたが亡くなったのかも、きょうのニュースを見ているだけなので承知しておりません」
その後、佐川氏は、証人喚問の際、自らの「改ざんの指示」について・・・。
佐川宣寿理財局長(当時)【2018年3月27日】「書き換えがなぜ行われたかというのは、刑事訴追の可能性があるので、その点についてはご理解賜りたい」「刑事訴追の恐れがありますので答弁を控えさせて頂きたい」
結局、改ざんを巡っては、財務省は佐川氏を懲戒処分にするなど、あわせて20人を処分。
しかし、大阪地検特捜部は、佐川氏ら38人全員を不起訴処分とし、刑事責任は、誰ひとり問われないまま、捜査は幕引きされたのです。
「佐川理財局長、パワハラ官僚の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それに指示、NOを誰もいわない 理財局の体質はコンプライアンスなど全くない。これが財務官僚王国」
赤木さんの手記については、水曜日の国会でも・・・。
今井雅人衆院議員(「立国社」会派)【18日】「本当に後悔して亡くなった方がいる一方で、首謀者たちは、みな出世しているじゃないですか」
菅義偉官房長官「適材適所の人事が行われたものと承知している」
そして、安倍総理は・・・。
安倍晋三首相【18日】「改ざんは二度とあってはならず、今後もしっかりと、適正に対応していくものと考えております」(Q総理、ご自身の責任についてはいかがでしょうか!)安倍晋三首相「・・・」
木曜日には、麻生財務大臣が、再調査について・・・。
麻生太郎財務相【19日】「手記に基づいた新たな事実が判明したとは、まだ読んでいませんから分 かりませんけれども、(判明)したとは考えられませんので、そういう状況で は、再調査を行うということを今考えているわけではありません」
赤木さんの「手記」の最後には、こう記されています。
「この事実を知り、抵抗したとはいえ、関わった者としての責任を、どう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力では、この方法をとるしかありませんでした」「謝っても、気が狂うほどの怖さと、つらさ、こんな人生って何?」
水曜日、赤木さんの妻は、国と佐川氏を相手どり、提訴。その思いを、次のように語りました。
「今でも近畿財務局の中には、話す機会を奪われ、 苦しんでいる人がいます」「夫のように苦しんでいる人を助けるためにも、佐川さん、どうか改ざんの経緯を、本当のことを話して下さい」