2021年7月4日放送風をよむ「官僚の劣化・・・?」
街の声①「考えられないです、上に立つ官僚の方がね」
街の声②「官僚がそういうことをすると、信じられなくなってしまう」
街の声③「ありえないですね、ただでさえ、これだけ世の中みんな苦しんでいる中で、その制度を悪用して」
先月25日、経済産業省のキャリア官僚2人が、コロナ関連の給付金、およそ550万円をだまし取ったとして逮捕されました。
梶山経産相(6月28日)「経済産業省として、やはり(給付金を)執行する側の役所としてあるまじき行為であると―」
彼らが不正に手にしたのは、経産省の外局・中小企業庁が所管する「家賃支援給付金」。コロナの影響で売り上げが落ち込んだ事業者に最大600万円が支給されるものです。
逮捕された2人は高校の同級生で、一人が慶応大学、もう一人が東大卒業後、経産省に入省という、将来を嘱望されたエリート官僚。
ところがこの2人、共謀してペーパーカンパニーを設立、毎月200万円の家賃を支払っていると偽り、給付金を不正に受け取っていた、といいます。
容疑者の一人が、月給を超える額の家賃のマンションに住み、複数の高級外車を乗り回しているとの情報が警視庁に寄せられ、事件が発覚しました。この事件に限らず、官僚による不祥事が、ここ最近相次いでいます。
今年3月、飲食店などへの時短営業の要請中に、厚生労働省の職員23人が、東京・銀座で深夜まで送別会を開いていたことが発覚。厚労省は、主催した老人保健課長を事実上更迭、給与1か月分を減給する懲戒処分を発表しました。さらに…
武田良太総務相(6月4日)「国民の疑念を抱くことに深くお詫び申し上げます」
総務省の職員が、東北新社やNTTなどから接待を受けていた問題では、先月、国家公務員倫理規程に違反する接待が延べ78件見つかり、幹部ら32人が処分されたのです。相次ぐ官僚の不祥事。官僚の姿もかつてとは様変わりしました…
日本が世界第2位の経済大国として繁栄を謳歌した1970年代。高度経済成長の推進役となったのは、優秀で志を抱いた官僚たちでした。
記者「エリートと言われることに抵抗を感じますか?」
新人官僚「別に抵抗というのはありません」
誇らしげに質問に答える当時の新人官僚。出身大学を問われると…
「東京大学経済学部です」「東京大学法学部です」
「東京大学法学部です」「東京大学法学部です」…
その多くが東大生。こうした勤勉なエリートたちが官僚となってがむしゃらに働き、日本の経済成長を支えたのです。高度成長期の官僚たちの姿を描いた城山三郎氏の「官僚たちの夏」。政財界の思惑や利害に左右されてはならない、という固い信念のもと、行政を押し進めた官僚の熱い姿が評判となりました。ところが、こうした官僚に今、深刻な危機が訪れているのです―
今、若者たちの間で深刻な「官僚離れ」が起きています。
国家公務員総合職試験の申込者は4年連続で減少。
さらに、内閣人事局が去年公表した意識調査では、30歳未満の若手男性官僚の14.7%、実に7人に1人が、既に辞職を準備中か、1年から3年程度のうちに辞めたいと回答。その理由を尋ねたところ、最も多かったのは、「もっと魅力的な仕事に就きたい」だったのです。
こうした官僚をとりまく変化について、元財務官僚でもある田中秀明(ひであき)・明治大学教授は・・
田中秀明・明治大学教授(公共政策)「高度成長期の時は今と比べると、はるかに公務員の裁量が大きかった。ところがバブルがはじけて経済が低迷する中で、官僚主導はけしからんということで政治主導のための色々な改革が行われてきた。特に安倍政権においてですね、官邸においてトップダウンで物事が決まっていった。官邸主導ですね」
2014年5月、中央省庁の幹部人事を一元的に管理する「内閣人事局」が発足。官邸主導で人事が行われるようになります。
森友学園を巡る、決裁文書改ざんの問題などに見られた「忖度」の要因は、官僚が常に政権の顔色を伺う弊害が表面化したとも言われます。
田中秀明・明治大学教授(公共政策)「幹部は官邸に対して、ごまをすったりまさに忖度をする。そういう姿をたぶん若い人たちは見ている。やっぱりこのまま公務員を続けていいのかと疑問に思う。若くて優秀な公務員ほど早く辞める。そういうことが、ひいては日本の国力の低下につながっていくんだろうと」
国民に奉仕する「公僕」として尽くしてきた官僚。その変化は、日本の将来にどのような影響を与えるのでしょうか…