2021年8月8日放送風をよむ「東京五輪きょう閉会式」
開会式の花火
振り返れば、全ては、8年前のここから始まりました。
IOC ジャック・ロゲ会長(当時)「トーキョー」
しかし、オリンピック開催までの道は、平坦ではありませんでした。
安倍首相(当時)「新国立競技場の現在の計画を白紙に戻しゼロベースで計画を見直す」
総工費が当初の2倍近くに膨らみ、批判を浴びた、新国立競技場の建設計画が白紙に。
大会のシンボルとされるはずのエンブレムにも、盗用疑惑が浮上し、使用中止が決定。さらに、
JOC 竹田恒和会長(当時)「任期を終了し退任することと致しました」
JOC・日本オリンピック委員会の竹田会長に、オリンピックの誘致活動で疑惑が浮上し、その後退任。さらに・・・
日本陸連 マラソン強化戦略プロジェクトリーダー・瀬古利彦氏「やはりIOCという力の前では我々はどうにもできないと」
マラソンと競歩の会場は、IOC=国際オリンピック委員会主導で猛暑が懸念される東京から札幌に変更。
そして2020年、まさにオリンピックが予定されていた、その年には、こうした異例の事態を遙かに超える困難が、襲いかかります。
世界を混乱に巻き込んだ、新型コロナの感染爆発です。
IOC バッハ会長「2020年の東京オリンピック・パラリンピックは、2021年に延期します」
IOCは、前例のない、オリンピック大会の延期を決定。コロナ・パンデミックは、オリンピックのあり方まで変えたのです。
街でも・・・
街録「五輪やってくれた方が嬉しいけど、現実的にちょっと難しいのではと思います」
しかも、コロナ禍への不安の中、思わぬ激震が・・・
組織委・森喜朗会長(当時)「会長を辞任をいたそうと、こう思っております」
組織委員会の会長・森喜朗氏が女性蔑視発言で辞任。こうした差別・人権などを巡る不祥事は、その後も、開会式の楽曲や演出担当者の辞任・解任に及びます。
相次ぐ不祥事。その中で高まる、オリンピック開催を疑問視する声。そこで、打ち出されたのが・・・
菅首相「無観客も辞さない」
かつてない『無観客』という、異例の開催でした。
さまざまな紆余曲折を経て、ようやくたどり着いた、7月23日。
「東京大会の開会を宣言します」
ところが、この開会式をはさんで、国内の空気は一変します。
コロナ禍で始まった東京オリンピック
柔道男子・高藤直寿選手「無観客の中で、相手の息の音も聞こえる、その感じがしびれましたね。メダルを取ったときも歓声がある時と違って、シーンとしていて」
同じ柔道で金メダルを取った大野選手も、直後のインタビューでは
柔道・大野将平選手「賛否両論あることは理解している。ですが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば、本当に光栄に思います」
柔道の活躍に勢いづいたのか、日本選手のメダルラッシュが展開、世の中の空気は、一気にオリンピックムードに染まりました。
街録「もともと日本人という民族は割と流されるというか。やると決まったらみんなそれの方に向かっていく民族じゃないかと思っていたので」
しかし、その一方では・・・
政府分科会・尾身茂会長「オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響はあるのではないか」
この間、増え続けてきた、東京都の新型コロナの新規感染者は、木曜日、初めて5000人の大台を突破しました。
コロナ禍でのオリンピックはどう見られていたのでしょう。
街録 「無観客というのと、反対意見が多く、そんなに話題になってなくて、ちょっと寂しいオリンピック。五輪を楽しみにしてたのでやって良かったと思う」 「(友達とか)集まって“ワァー”って、観て盛り上がるみたいなものがあれば、たぶん、私も見る機会はあっただろうなと思う」 「今年やらなきゃいけないって訳じゃないから、再来年にしましょうとか、来年にしましょうとか、先延ばしにしてもよかったんじゃない?パラリンピックもあるから、そこも不安材料」 「開催してもいいのかな、という疑心暗鬼な部分もあるんですけど、見る分には楽しいかなと。正直、複雑な感じで見ています」
異例ずくめの混乱を経て行われた、東京オリンピックは今夜、幕をおろします。
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