2019年12月22日「風をよむ~今年の景気は~」
今年も間近に迫ったクリスマス。
ところが今、クリスマスケーキ商戦を巡って異変が起きています。
洋菓子店「そんなに大きなケーキは注文がなくなったように思う・・」
ここ最近、洋菓子店でのケーキの売り上げが芳しくありません。
洋菓子店の倒産件数は増加傾向にあり、今年は2000年以降で最多に。
背景にはコンビニスイーツの台頭に加え、消費者の節約志向からケーキへの支出額が減っていることなどがあるといいます。
その一方で17日、東京株式市場では日経平均株価の終値が今年の最高値を更新。
安倍首相も先日、こう誇らしげに語りました。
安倍首相(11日)「この好循環をまわしていきたい。私たちが進めている
アベノミクスも、オールジャパンで取り組みたい」
確かに経団連の調査によると、今年の大企業の冬のボーナスは、
平均額で過去最高を記録。
一見、日本経済は好調なように見えます。
ところが、街で聞いてみると…
街の声「多分、去年より10万くらい落ちたと思います」
街の声「中小企業は全然増えないですよね。どうにかしてほしい」
街の声「世の中では景気いいなんて言ってないよね。中小企業の経営者は従業員可愛いから(ボーナスを)増やしたいんだけれども、ままならない」
実は経団連の調査は、回答のあった大企業82社の平均値。
一方で民間のシンクタンクによると、民間企業全体では去年より減少すると予想したのです。
街角でも賃金の上昇がなかなか実感されない中、去年8月、政府は名目賃金の伸び率が「21年5か月ぶりの高い伸び率」だったと公表します。
しかし、今年1月、厚生労働省が去年1月からデータを密かに補正したことで実際よりも、賃金の伸び率が高くなったことが判明。
野党側に国会で追及されますが、安倍首相は…
安倍首相(1月30日)「連合の調査においては、5年連続で、
今世紀に入って最高水準の賃上げが継続しており…」
…と、あくまで労働者の賃金は上がっていると主張したのです。
しかし、OECDの調査によると、1997年の水準と比べて実質賃金が日本は10%ほども低下。
一方、欧米の多くの国では軒並み上昇しているのです。
賃金が上がらなければ、消費者はお金を使わず、物価は低迷、企業の売り上げも伸びません。
結局、賃金を上げられない「負の連鎖」が続いているのです。
安倍政権は「デフレ脱却」を謳い、目標として2%の物価上昇を掲げました。
しかし、日銀が積極的な金融緩和を進めてから6年半以上たった今も、達成できそうにありません。
こうした日本の状況を、外国人は…
アメリカ人観光客「これ、本当に安いわ。アメリカでは絶対こんな安く買えない」
フィリピン人観光客「フィリピンでも同じ物を売っているけど、日本の方がずっと安い。2倍の安さね」
日本を訪れた外国人が驚く、日本のモノの安さ。
例えば100円均一ショップのダイソー。
日本で100円で売っている商品が、フィリピンではおよそ190円。
タイではおよそ210円、円安の要因を考慮しても、日本より高い値段で売られているのです。
「安い物価」と「上がらない賃金」という負の連鎖。
そうした状態に今や日本社会はどっぷり漬かっています。
そうした中、非正規雇用労働者の数は、10年前と比べて360万人近くも増加しているのです。
株価は上昇しているものの低迷する日本経済。
その理由を慶応義塾大学の白井教授は…
慶応義塾大学 白井さゆり教授(経済学)「アベノミクスが始まって確かに株価が上がってきてはいますけれども株高になっても恩恵を受ける人たちは一部。雇用が増えているというのは基本的には非正規の仕事。非正規の雇用を増やして賃金を抑制する形で(企業は)利益を出してきた。それによって賃金の格差というのも起こりました。税金、社会保険料の支払いが上がっている中で賃金が上がらない。つまり所得格差とか資産格差というのが起きている。貧困の問題が深刻になってきている」
間近に迫った年の瀬。
今年の景気を振り返って街の声は…
街の声「増税したのに、収入がそんなに変わっていないので減る一方」
街の声「税金ばかり上がっちゃって、入ってくる方が少ないので、もうこっちとしては厳しい」
街の声「賃金は安いんじゃないですか。外国に比べると」
街の声「このままいくと世界に置いていかれるような気がします」