2021年11月7日放送 風をよむ「再び日本に化石賞…」
先月下旬、スペイン東部を襲った豪雨。
さらに道路も冠水…
またアメリカ・カリフォルニア州では先月下旬、爆弾低気圧に見舞われ、北部では土砂崩れが相次ぎ、道路が寸断されました。
かたや、アフガニスタンでは深刻な干ばつに見舞われ、WFP(国連世界食糧計画)によれば、飢饉によって9割以上の世帯が十分な食事をとれない状況にあるといいます。
こうした自然災害の元凶ともいえる異常気象。「異常気象はもはや新しい日常だ」とWMO(世界気象機関)は警鐘を鳴らしたのです。
世界気象機関 ペッテリ・ターラス事務局長(10月31日)「天候における、良からぬ傾向は今後数十年続くため、私たちは気候変動に順応する必要がある。氷河の融解、海面上昇は、今後数百年続くだろう―」
WMOによれば、去年1年間に観測された、大気中の二酸化炭素などの温室効果ガス濃度は観測史上最高を更新。こうした状況に国連でも…
恐竜「みんな、聞いてくれ」「俺たちの時は小惑星が地球に衝突した。お前たち人間の言い訳はなんだ?」
恐竜が「気候変動によって、人類は自ら絶滅への道を歩んでいる」と力説する動画を公開したのです。国連では2015年、「SDGs=持続可能な開発目標」が採択され、その中には「気候変動に具体的な対策を」といった項目もあります。
中国・瀋陽市の停電の様子「辺り一面真っ暗よ。もういつになったら電気が来るのよ」
中国では大雨による炭鉱閉鎖に伴う石炭不足などのため、一部地域で計画停電が行われ、電力不足が問題になっています。
そこで中国政府は石炭の増産を指示。ロイターの試算によれば、増産が維持されれば、今年の中国の石炭生産量は過去最大となり、二酸化炭素の排出量は大きく増えることになります。こうした化石燃料の問題は、欧米でも…
ガソリンスタンドの客(アメリカ)「本当に大問題だよ、ガソリンの値段が日々上がってるんだ」「どうかしてる、前は40ドルで満タンだったのに、今は60ドルもかかるのよ」
コロナ禍からの経済回復で、需要が高まったことなどにより、世界的に原油や天然ガスの価格が高騰。
こうした状況を受け、アメリカのバイデン大統領は、先月末、イタリアで行われたG20サミットで、主要エネルギー産出国に対して増産を要請しました。世界が「脱炭素」に大きく舵を切る中、化石燃料の増産を求めるという、矛盾ともとれる言動について問われたバイデン大統領は…
バイデン大統領(10月31日)「今年、来年には、石油やガスなどの化石燃料を一切使わなくなるという予想は、誰もしていないはずだ」
増産の要請に理解を求めたのです。そして、こうした燃料増産を求める動きは日本にも…。
給油に来た客「超高いですよ…」
高騰する原油などのエネルギー価格。日本でもガソリン価格が9週連続で値上がりし、政府は産油国に増産の働きかけを行うなど、燃料不足に右往左往しています。そうした中開かれたCOP26では、各国が脱炭素に向けた議論を
戦わせました。日本の岸田首相は…
岸田首相(11月2日)「日本はアジアを中心に再エネを最大限導入しながらクリーンエネルギーへの移行を推進し、脱炭素社会を創る」
アジア地域の脱炭素化のため、今後5年間で最大100億ドルの追加支援を行う用意があると表明したのです。一方で、今回、多くの国が石炭火力発電の段階的廃止を表明しましたが、日本は見送りました。こうした日本の姿勢に対し…
国際環境NGOから「気候変動対策に後ろ向きな国」として、日本は、不名誉な「化石賞」を、前回のCOP25に続き、再び受賞。
その理由として、「化石燃料による発電所を推進した」ことなどがあげられています。
日本の電源構成は、現在、石炭などの化石燃料が75%を超えており「炭素」依存体質からの脱却は容易ではありません。こうした状況にきのう、東京では日本の気候変動対策に対する若者たちの抗議デモが行われたのです。
20歳男性「化石賞を取ってしまったことが結構自分の中では衝撃。先進国でありながらここまで取り残されていると感じるので…」
23歳女性「住む家であるこの地球がなくなったら、経済も何もない。最優先として、気候危機の対策を練ってほしい」
果たして日本に“脱炭素”社会の実現は可能なのでしょうか―
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