舞台挨拶『それでも中国で闘う理由~人権派弁護士家族の7年~』延廣監督「この問題は他人事ではありません日本と近い国として関心を寄せてほしい」阿古氏「よくぞ作ってくれた!映画を観て忘れるでなく、いろいろな人と共有して考えて欲しい。国を超えて考えることの出来るテーマ」
3日目の3月19日(日)には、2015年夏、中国で人権派弁護士ら約300人が拘束された。一家の大黒柱を突然失いながらも奮闘する家族を通して、中国社会の現実を見つめるドキュメンタリー映画『それでも中国で闘う理由~人権派弁護士家族の7年~』が上映され、延廣耕次郎監督と阿古智子さん(東京大学大学院総合文化研究科教授)が舞台挨拶を行った。
延廣監督は「前任者から引き継ぎ7年間かけて北京局の同僚がときに体を張りながら、日本人スタッフも中国人スタッフも一丸となって記録し続けました」と挨拶。阿古氏は「このように映画として記録として残してもらえたのは貴重。映画祭で上映することで皆さんに観ていただき、一緒に考える機会を持つことは大切です」と上映を喜んだ。
言論の自由の重要性について阿古氏は「議論しながら政策を考えたり、ルールを決めるのが民主主義。それを決められた色だけしかダメだと一色にしてしまうのが言論統制です。それがいかに問題か、本作に凝縮されています。日本の歴史を振り返ると、かつての日本にも同じようなことがあるので、この問題は他人事ではありません」と解説。延廣監督も「日本では選挙で直接選ぶ権利があり、選挙に出ようと思えば出られる。意見を述べたり、反論したりできることをもっとありがたいと思って向き合わないとダメだと思った」と選択できる自由の価値を説いていた。
また延廣監督は中国での取材を振り返り「中国は取材制限が日本よりも多い。我々が取材に入ったりすると日本の政府として悪い情報を集めているのではないか?と当局から思われたりして取材対応も厳しくなる」と緊張感を告白。それと同時に「もちろん国としての良い点もあるので、怖い部分はある国だけれどそれだけではない。日本と近い国として関心を寄せてほしい」との考えも述べた。
阿古さんは「このような映画をよくぞ作ってくれたと思う。本作を観て忘れるのではなく、色々な人たちと共有をして考えてほしい。日本にも同じような状況があるわけですから、国を超えて考えることの出来るテーマです。是非とも感想を発信してください」とアピール。延廣監督も「SNSで情報を発信していただき、より多くの“いいね!”を宜しくお願いいたします」と呼び掛けていた。