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動機づけ退職と衛生退職を意識した採用・定着

仕事における満足度を2つに分類したハーズバーグの二要因理論。
満足と不満別々に存在し、それぞれが別に満たされる必要があるとされています。

・満足 = 動機づけ要因
・不満 = 衛生要因

この2点について、退職・採用の観点から考えてみます。

退職

社員の退職は動機づけ要因、衛生要因のどちらかか双方の組み合わせで発生します。まずはシンプルにどちらか片方のケースを考えてみます。

動機づけ要因が原因の退職ケースをさらに大きく分けると2つだと考えています。
1つ目は経験機会の枯渇です。本人のキャリア上の動機を満たす経験機会がすでに得られない環境になってしまった状態です。例えば、技術をとことん極めたい人にとって、技術的な経験機会や技術的な刺激をもたらす同僚が誰もいなくなってしまった場合、動機を満たせなくなります。
2つ目は相対的な魅力の減少です。自社よりも他社のほうが自身のキャリア上の動機を満たしやすい状況になった、もしくはそういった状況であることを把握した状態です。社内の動機づけに対する魅力が減ってきたり、たまたま外のつながりでよりよい機会があることを認識した状態がこれにあたります。

衛生要因が原因の退職ケースについては、上司・同僚との関係性、過剰な業務量、給与など様々なケースがあるかとは思いますがそのあたりが個人の許容範囲を越えたことによって発生すると考えられます。例えば、キャリア上やっていきたいことが特別にない方については、こちらの要因がメインになると考えられます。もちろん、キャリア上やりたいことが満たされていても不満要因が大きければ退職理由になることもあるでしょう。

会社、マネージャー目線においては社員の動機が満たされ、不満が募らない状態を保てれば結果的に定着を促すことになります。

採用

採用時に面接官が候補者の方に転職のきっかけ、キャリア軸の片方もしくは双方を確認することはよくあるかと思います。ここで重要なのは満足と不満は別々に存在し、双方を満たす必要があるということです。個人が転職を考えるきっかけとしては、動機づけ要因・衛生要因どちらかが強く存在したはずです。きっかけを確認するとおそらくどちらかの回答が得られるわけですが、今後入社していただくにあたって確認が必要なのは動機づけ要因・衛生要因の両方です。
そのため面談・選考を通して双方を確認できるようにしておくのがよいでしょう。ちなみに、不満を軸にした退職をけしからんと考える採用担当もいるかもしれませんが、これも満足と不満が別々に存在することを考えると偏った考え方で、人間であればどちらもありうるということを踏まえておいたほうがよいと思います。踏まえたからこそどういった点に不満を持つ可能性がある方なのかすり合わせができ、入社前の段階から懸念を確認できることになります。
イメージとしては採用において、主たるアトラクト要因は動機づけで、衛生要員は候補者さんからみた足切り要素と考えています。足切り要素をクリアした上で、ご本人が大切に考える満足要素をどれだけみたせるか、が入社していただけるかどうかの基準ではないかと思います。

まとめ

以上のように定着・採用において満足・不満それぞれの要素の確認が大切です。
ただ、誰もが自身の満足・不満を整理して自覚できているわけではありません。
そういう意味で、採用に関わる人やピープルマネジメントをする人は候補者さん・メンバーの満足・不満に関する情報を引き出し、理解を深めることが大切になります。

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