田畑藤本最後の日
2021年が明けた。
昨年は誰もが忘れられない1年だったが、
私にとっても生涯で最も印象深い年になりそうだ。
2020年12月31日。
世の中は嵐が最後の日だとざわついている。
私は静かに田畑藤本最後の日を過ごす。
前日になって田畑さんの大晦日の同期ライブへの出演が決まった。19時以降開演のライブが全中止になったため、田畑藤本名義の田畑さんを拝見するのはこれが最後となる。
クレジットされていない藤本さんは来るだろうか…なんとなく来ないような予感がしていた。
だって、中学からの友達との沖縄卒業旅行にも行かなかった人だもの(田畑さんnote「東大芸人」より)。
17時。
開演して一番最初に出てこられたのが田畑さんだった。
MCやん!
このライブに最初から最後まで居てくれるということだ。最後の最後にちょっと出てくれるだけでもありがたいと思っていたのに。
田畑さんの優しさが沁みた。
冒頭で「今年1番いろいろありました」と間接的に解散に触れ、気を遣われてこの忘年会に呼ばれていなかったこと、同期の皆さんに誘われて来たこと、そしてやはり藤本さんは「こないだ最後終わったから」と来なかったことが明かされた。
「まさか最後に『来ない』というボケかましてくれまして。まあ1番『っぽいな』とは思うんですけれども」
「おそらくあいつ今日オフだと思いますんで…配信見てる?ふじもとぉ。やってるよー。」
田畑さんが藤本さんを呼ぶ声はいつも優しい。
ライブは前後半に分かれて始まった。
13期は海外で住みます芸人をされている方も多いので、同期とはいえ大阪上京組とは初対面だったりして少し会話が噛み合わないこともあり、みんなが田畑さんに向かって話をした。「田畑、聞いて。田畑、聞いて。」みんながそう言っているように見えた。
後半の最初、岡下さんに解散をちょっといじられて、
「ふじもとぉ、お前が(運気)1番やと思うぞ!」
とカメラに向かって話しかける。
田畑さんが藤本さんを大事に大事に思っていることが伝わってくる。
同期が集まってのトークライブなんて長引いて当然だと思っていたら、田畑さんの名采配で時間内に収まり、最後に記念撮影タイムまで設けてライブは賑やかに終わった。
最後、皆さんがぞろぞろと帰っていかれる中、ひとり客席に向かって頭を深く下げた田畑さんが印象的だった。
「田畑藤本の田畑」が終わった。
その数分後、Twitterの通知が鳴った。
藤本さんからだ。
おいーー!
全国のたばふじファンがおいでやす小田さんになったのではなかろうか。
なんというタイミング…。
この動画で、藤本さんが初めて「藤本淳史です」と名乗った。藤本さんにとって田畑藤本はおそらく29日のキングオブジェスチャーで終わったのだろう。
動画の中でも今後ピン芸人として活動することが語られた。書き初めにするくらいだから並々ならぬ決意だ。
ピン芸人としての初仕事が「冬休みの宿題を解く」という藤本さんらしいお仕事で良かった。
後半で、ランパンプスの寺内さんが「球の体積」というワードを繰り出してたばふじファンの涙腺を崩壊させたのは、意識的だったんだろうか?
「Summer Love 数Ⅰ」、消されてしまったなぁ…。
田畑さんのTwitterも更新された。
最後まで優しい田畑さん。
自分のペースを崩さない藤本さん。
お2人らしさがあふれ出た、田畑藤本最後の日だった。
2020年は生涯忘れられない年になった。
田畑藤本さんに出会った。
タイムマシンに乗って田畑藤本さんの13年間を一気に知った。
これから先30年くらいの人生の楽しみを見つけたと喜んでいたら、
突然田畑藤本さんが消えた。
人生はいつも、うまくいかなくて儚い。
お笑い芸人さんたちは、負ける私にいつも寄り添ってくれて、笑わせてくれる。
今度ばかりはご本人たちが痛いほど儚さと無常を教えてくれたのだけれど、これだってきっと近いうちにお2人が笑いに変えてくれる。
たばふじさん、ありがとうございました。
田畑さん、藤本さん、これからよろしくお願いします。