新しい図書館の可能性 ~①和歌山市立 和歌山市民図書館~
新しい図書館、利用しないともったいない!
近年、町おこしの一環として次々に新しい図書館 が誕生しています。ところが素敵な図書館の数が増えている一方で、利用者の数は減少しているというデータもあります。図書館を覗いてみると利用者はいっぱいなのに…とも思いますよね。おそらく利用する人は毎日のように利用するけれど、利用しない人は図書館がどこにあるかも知らないという状況があるのだと思います。
堅苦しくて敷居の高いイメージの図書館は、どんどん変化をしています。ぜひ、新しい図書館へ足を運んでみてください。
和歌山市民図書館
和歌山市民図書館は2020年にグランドオープンし 、指定管理者制度を利用してカルチュア・コンビニエンス・クラブによって運営されている図書館です。入口を入ると、「これが公共図書館なの?」とびっくりしてしまいます。
1階にはスターバックスと蔦屋書店と地元のお土産コーナーがあり、2、3階は一般書、4階は児童書のコーナーになっています。
まず感動したのは、スターバックスのコーナーと吹き抜けの2階部分にディスプレイとして並べられている全集たち。大切に集められた立派な全集は、実は今はあまり利用されることが少なくなっています。そこにスポットライトを当ててディスプレイとして並べることで、おしゃれな図書館の空間を演出でき、また手に取ってみたくなるしかけにもなっています。
2階には多目的ルーム、3階には学習室があり、中高生や大学生だけではなくさまざまな年代の利用者が勉強や図書の閲覧をしていました。学習室は予約する必要がなく、中高生の試験期間中に行った時には休憩のためのソファなどあらゆるところで試験勉強をしている中高生の姿がありました。
通常の図書館だと、一般の利用者の閲覧スペースの確保のために注意があったりするのでしょう。でも、おそらくそんな光景も試験期間中だけのこと。地元の子どもたちのがんばりを応援するような、そんな寛容さを感じました。
4階の「こどもとしょかん」では、なんともぐもぐスペースがあり、このコーナーでは持ち込みで飲食ができます。ちなみにどの階も、一部のスペース以外ではフタ付きの飲み物は許されています。
また4階にはプレイスペースが設けられていて、その回りで保護者の方が座って見守ることができます。
和歌山市民図書館の挑戦
和歌山市民図書館は、とても自由でリラックスできる空間でした。知る権利を保証するだけではなく、「サードプレイス」としての役割も果たしているようです。図書館の方のお話では、「まずはルールを作らずに運営してから不都合なところを微調整した」とのこと。今の時代のニーズに応えようとする覚悟を感じます。指定管理者制度にはさまざまな意見もありますが、図書館の常識に縛られず大胆な変化がなければ図書館はいずれ「無用の長物」となってしまいかねません。
驚いたことに、この図書館は全国の方が利用することができます。借りた本は1階で郵送用の封筒を購入すると、全国どこからでも同じ料金で返却できます。
和歌山に行かれた際には、ぜひ一度利用してみてください。