ブラザーとブラザー
THE STOLEN HELMETSのワンマンライブに行ってきた。もう1週間たってしまったけど。いまさら
2024/5/26 sun @新宿redcloth
暑くも寒くもない日だった。
ボクは友達のコピバンイベントに出て、好きでもない曲をろくでもない演奏でこなしてから、楽しくなさそうな顔で新宿レッドクロスに向かっていた。少し悔しかった。演奏もスタンスも、こなれた風で誤魔化していたボクが。楽しいはずだった、ボクが素直に笑っていれば。
明るすぎる新宿の街が、あちこちから太陽光を反射する。ビル、車、アスファルト、その光たちに全身を満遍なく照らされて、さっきまでの自分の情けなさは、隠しようもなく曝け出された。なさけない。
イベント会場から歩き始めてから10分もしないでレッドクロスに到着した。まだ17:35分、オープンまで25分もある。イヤフォンを家に忘れたボクは、路地裏で縮こまってタバコを吸いながら、適当な音楽を聴いた。iPhoneのスピーカーから、音が地面に溢れていく。イヤフォンがないのも、悪くないと思った。
空は結構な青空だった。花園神社では大きなお祭りがやっていたし、よく考えれば今日はいい日なんだな。病み上がりの体力不足が、ボクを陰鬱にしているんだと思ったら、胸のモヤが痰になって、激しい咳が出た。
一番乗りでレッドクロスに入ると、いつも通りのスタッフやストヘルのメンバーたちが、軽口を叩きながらボクを迎え入れてくれた。
ボクは美味しい思いをしてると思う。憧れている世界の人たちと、笑って話が出来るなんて、すごいことだぜ。
ステージ上には、ギターとベースが2本づつ、それからドラムセットの後ろに大きな銅鑼。
銅鑼の周りはなぜかイルミネーションで飾られていた。こうした可愛げがストヘルのとっつきやすさと親しみやすさなんだなぁと思っていたら、競馬のファンファーレが鳴り響いた。
ドラムのオガワさんが出てきて、ファンファーレに合わせて銅鑼を一発カマした。
そして何食わぬ顔でビートを刻み始め、ようやくベースのアツシさん、ギターのケイタさんが出てくる。
ちなみにフロアには結構人がいて、背の高い人の後ろに立ったら終わるくらいには混んでいた。
ワンマン1発目の曲は、メタリカのOrion。え?(セトリ上では0曲目だった)
この人たち自由すぎだなと呆れ半分感心半分でいたら、Message→MORNING GLORY→Super Boyとバチバチにハードかつ甘やかなメロディセンスの光る3曲をぶち込まれ、しまいにはセガレキッズのFIREのカバーでぶち上がって、ふつうに分からされてしまった。
楽しそうに演奏してるって、すごいことだな、俺も楽しい顔でライブしたい!てかしよう。と思った。
(演奏)うまい!(音)でかい!(曲)いい!吉野家バンド。
その後も激しい曲の間に和やかなMC、激しい音に乗せた爽やかなメロディ、とある意味サウナ状態でかなり整っていたのだが、ストヘルと同じ兄弟+友達という編成でバンドをやっている身としては、なんか凄まじい壁にも感じた。こんな風になれるんだろーか。
サブギターの歌→End Roll
この辺からだんだん、感動し始める。ていうか曲がめっちゃ多い。飽きない。バンドのおいしいところばっかりでめっちゃ男の子のライブって感じ。
話は戻ってライブ中、時折挟まれるカバーが毎度絶妙な選曲を全力でカバーしていてアツい。
今回は所々挟まれるメタルに加えて、
(The)SEGARE KIDS/FIRE
SHISHAMO/サブギターの歌
THE ALFEE/星空のディスタンス
という、文字で見るとやっぱり違和感な3曲だったが、とにかくコレ生で聴いたらブチ上がる。
とくに星空のディスタンスは想定外の盛り上がりで「うおーコレがシンガロング」といった感じ。全世代に愛される名曲の強さを、珍しい形で実感した。
そこからまだまだボルテージを上げて
Fade Away→Trooper(IRON MAIDEN)→Vamosという終盤にもかかわらずゴリゴリの展開。
そして散々やり散らかしたステージで、最後はやっぱりHey me, Hey you,
ギムにしか言わなかったけどボクは泣いた。
メンバーが去った後、川崎市民の皆さんが手拍子でアンコールを煽りながら「さっさと出て来いヘルメッツ!さっさと出て来いヘルメッツ!」と叫び出し、あまりの川崎加減に海なし県出身は思わず身を縮めた。
ただ、こういう盛り上がりって自分でできない分誰かがやってると新鮮で楽しいもんだなと思った。
アンコールで出てきたのはアツシさん。「人生のメリーゴーランド」をベースで独奏。スタジオ練の隙間にコツコツ練習して、ようやく日の目を見たのだとか。めっちゃ弟って感じする。
そして、その独奏をバックに、オガワさんがシンガポールへの長期出張を機に、バンド活動を休止という発表。
ケイタさんは、それでもバンドを続けることにした。と言ってくれた。
さっきも言ったがボクのバンドは兄弟+友達という編成なこともあって、その切なさはひとしおだった。
そんな空気の中、アンコールの1曲目
TRICERATOPSの赤いゴーカート!
隣のギムとブチ上がった。からのインマイメモリー→Hey me, Hey you,
久しぶりにこんな爽やかな気持ちになった。
ストヘルの人徳と真面目さがとにかく滲み出たライブで、好きだなぁと思いました。
そして、今できるバンド、今できるライブを、とにかく一生懸命にやろう、と心に決めたボクでした。