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テレビでHなシーンが流れたときに親子でテンションが上がるクレヨンしんちゃんの野原家

よく見かける家族間“あるある”に「夕食時に家族みんなでテレビを見ていたらHなシーンが流れて気まずい」というものがあります。

これは多くの人が経験していると思われる出来事であり、私も何度かそういった目に合った覚えがあります。小さい頃だけでなく、色々な年齢で出くわしてきましたが、いくつになってもどういうリアクションを取るのが正解か分からず沈黙してしまうばかり。果たして、どのような態度をとるのが正解なのでしょうか。

そんなことを考えたときに、ふと思い出したのが私が小さい頃から現在進行形で愛してやまない作品である「クレヨンしんちゃん」。主人公である野原しんのすけは5歳でありながらマセていて、“水着のおねいさん”が大好きです。その親である野原ひろしも同様で、テレビでHなシーンが流れると2人して鼻を伸ばしている場面が度々見られます。

私のようなそういった場面で気まずい思いばかりしている身からすると、そんな風に親子でHなシーンにテンションを上げて盛り上がれる野原家の自然体な姿に一種の憧れのような感情を抱くもの。ある意味ではこれこそ理想の家族なのではないかと思ったりするのです。

そんな「クレヨンしんちゃん」、過去には「PTAが選ぶ子供に見せたくない番組」で常連だったそうですが、近年はそういった風潮は薄れ、むしろ“泣ける作品”として「ドラえもん」や「ドラゴンボール」、「名探偵コナン」などといった作品と並び、国民的アニメとして扱われることが増えています。自分が好きな作品がこうしてその地位を高めていくのは、とても喜ばしいことで、いつまでも名作として語り継がれ、また、漫画の連載とアニメの放送の両方が永く続いていけばと思います。

しかし、“泣ける”としてフューチャーされる部分が映画版に集約されているのは個人的に寂しいところ。もちろん、映画版には映画版の良さがあり、非日常的な世界観だからこそ描ける物語・感動というものがあるので、私も好きな作品が複数あるのですが、やはり「クレヨンしんちゃん」といえば野原家とそれを取り囲む日常を描くところに魅力がある作品。冒頭に挙げたような現実でも起こり得るような何気ない家族のワンシーンこそ、視聴者に自身の立場に置き換えさせ、共感をさせるのです。そして面白おかしく描かれる日常の中で偶に紛れ込む感動的なエピソードに不意打ちで涙を誘われる、そこに「クレヨンしんちゃん」の魅力は凝縮されていると考えます。

これは例えるなら普段悪いことばかりしている不良が人助けをするともの凄くいい人に見えるようなものであり、おバカばかりやっているしんのすけが急に健気な一面を見せたり、また風間くんをはじめとする友達に対して熱い友情を見せたりといったギャップで視聴者はグッときます。言ってしまえば映画版は最初から壮大な物語であることが当たり前であり、泣けるラストが来るのがある程度予測できるもの。それに対して日常回はそんな匂いを全くさせないところから泣かせにくるので、より“不意打ち”が刺さります。ぜひ、最近クレヨンしんちゃんを見ていない方も、久しぶりに触れてみてほしいなと思いますね。

特に最近は各種動画サービスだけに留まらず、YouTubeの公式チャンネル等でも見ることが出来るので、昔クレヨンしんちゃんを見ていた頃のことを思い出したり、野原家と自身の家族を照らし合わせてみたりなどして楽しんでいただければ。かつて子供だった頃と、大人になったり、もしかしたら家庭を持ったりした現在では、同じエピソードを見ても感じ方が変わってくるでしょう。

等身大の家族の姿を描きながら、漫画的・アニメ的なハチャメチャなキャラクター達がおバカなやり取りをして笑いを誘いつつ、ふとした瞬間に感動的な場面を差し込んでくる。そんな「クレヨンしんちゃん」。時代が変わったことで出来なくなってきた表現もありますが、逆に今の時代だからこそ、より家族としてのリアル感が増している気もします。私が大好きな作品が、この記事を通して、またたくさんの人に触れてもらえるきっかけになれば嬉しいです。

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