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札束でマウントを取り合う不健全な推し活

推し活のやり方は人それぞれです。推しとの付き合い方1つとっても、密にコミュニケーションを取るのが好きな方もいれば、出来る限り認知はされずにいたいという方もいます。また、全配信を逃さず追うという方、無理せず時間が合う配信だけ追う方など、配信視聴スタイルも人の数だけあります。

そんな中、今回スポットを当てるのは、推し活におけるお金の使い方。これに関しても千差万別のやり方があるでしょう。近年のバーチャル界隈には、YouTubeのメンバーシップやファンボックス、スーパーチャットといったものからグッズや直接話せるイベント、音楽関連の活動をしている場合はライブイベントなど、お金が絡む場面がたくさんあります。

これらは企業勢・個人勢に関わらず、ある程度のお金が推しに入ったり、またイベントが盛況であればモチベーションに繋がるなど、配信活動において様々なメリットを生むものですが、あまりに行き過ぎた場合はその限りではありません。むしろ、デメリットを生んでしまう可能性もあります。

今回は、そんな推し活とお金に関して書いていければと思います。ぜひ、読んでみてください。


大前提として推し活にお金を使う行為は良いことである

まず最初に断っておきたいのは、私は推し活にお金を使うこと自体を否定しているわけではないということです。

Vtuber活動はお金がかかるものであり、兼業の方も多くいる界隈。活動の収益で少しでもそれを補填できれば嬉しい限りです。自身の活動の対価としてお金を得ることが出来ればそれだけでモチベーションに繋がるでしょうし、例えば直接お話しできるイベント等に出演し、枠が全部埋まればそれもまた自信へと繋がるでしょう。Vtuber活動において、モチベーションや自信は大きなウエイトを占めるものであり、推している気持ちを形にすることは、推しとファンどちらも幸せにする行為であると言えます。

お金の話題はセンシティブなものであり、配信者側から直接的な表現で言える場面は限られているからこそ、こうしてイベント等でお金を使ってくれるファンはとても大切な存在でしょう。推しとファンの理想的な関係と言えるかもしれません。

一度方向性を間違うと…

では、好ましくないお金の使い方はどういったものでしょうか。これに関しては人によって考え方が違うと思うので、今回はあくまで私の考えとして読んでいただきたいです。

まず最初のケースが、特に記念日でもないタイミングでの高額スパチャ。私は大手の配信を追うことは少なく、どちらかというと中堅層・新規層の配信を見ているため、毎日のように高額のスーパーチャットが流れていく場面ばかりではありません。それでも、誕生日や困難な耐久で何かを達成した時等に高額のスーパーチャットが贈られるのは目にしますが、今回はそういったタイミングではないものについてです。

私が目にした時は、贈った本人はあくまで“ネタ”としてだったようで、それに対して他のリスナーや推しは驚きながらも笑いに包まれていました。するとそれがその方には“成功体験”として映ったようで、その後同じように何の脈絡もない場面で高額スパチャを繰り返すようになっていました。一度ならば“ネタ”として笑いに変えられた場面でも、何度も繰り返すと寒くなってしまうもの。少し、微妙な空気が流れていたのを覚えています。

また、他のケースとしては、コメントを読まれないことに不満を持ったリスナーが、コメントを全てスーパーチャットで贈るという行為も見たことがあります。Vtuberさんは大手でもない限り、スーパーチャットはその場で読むことが多く、使い方としてコメントと同じように使うのも間違いではないと思いますが、毎回コメントと同じような頻度でスーパーチャットを贈られるのはいかがなものでしょう。お金が関わることだけに無下に扱うことも出来ず、結果として配信のテンポを阻害していました。これもあまり好ましい行為とは言えないでしょう。

これらは、何らかの形で方向性を間違えてしまい、スーパーチャットによって存在感を示そうとしてしまった結果、浮いた存在になってしまったケースと言えます。感じ方は人それぞれですが、私の目には異様なものとして映りました。

使った額でマウントを取り合うリスナー達

高額のスーパーチャットは、配信者としては“ありがたいもの”であることは間違いありません。その為、いわゆるスーパーチャットへのお礼でもより高額の方がたくさん感謝されるのは仕方がないことです。これは使った額が違うからこそで、少額のスーパーチャットと敢えて差をつけているVtuberさんもいます。

しかし、それを面白く思わず、「〇〇ちゃんは高額のスーパーチャットには喜ぶのに少額ではあまり喜ばない」といった偏った見方をするリスナーが現れたり、また、対抗して自身も高額のスーパーチャットを贈り、まるでマウント合戦のような行為を行ったりと、そんな場面も目にしたことがあります。

先ほど書いたようにお金に関する話題はセンシティブなものであり、あまり大っぴらに思っていることを言えないものだからこそ、言葉を選ぶ必要があって、配信者としては対応に苦労するものです。また、高額スパチャが飛び交う配信は、やっている当人や周りの一部のリスナーは面白いのかもしれませんが、それ以外の方や初見さんなどにとっては、ハッキリ言ってしまえば“つまらない流れ”であり、配信の面白さを損なうものであると言えます。そういったことが続けば、結果としてその界隈から離れていく人を増やすことに繋がるかもしれません。Vtuberの配信の基本は“お金を払わずとも無料で楽しむことができるものである”というのを思い出すべきでしょう。

ちなみにこれはグッズ等に関しても同じで、「自分は〇〇ちゃんのグッズをこれだけ買ったんだ」と過剰な購入をアピールする行為もまた、周りからどう思われるかを考えると、何とも言えません。まるで数年前のAKB商法のように、コミュニティ外から見たときには異様なものとして映るかもしれません。

若年層への影響も

これは考え過ぎなのかもしれませんが、これらのお金を使った過剰な推し活は、若年層に悪影響を及ぼす可能性もあります。

近年は学生リスナーも珍しい存在ではなく、まだまだ世間というものを知らない層が配信を見ていてもおかしくはない時代です。そんな中で、高額スパチャが多数流れる配信や、過剰に購入したグッズをアピールするポストを目にしたら、一体どうなるでしょうか。“これこそが正しい推し活なのだ”と勘違いし、自身もスーパーチャットを贈らなければ、グッズを買わなければという思考になってしまうかもしれません。自分でバイトしたお金を使うならまだよいですが、親のお金を使ったり等したら目も当てられません。今後のバーチャル界は、そういった若年層に与える影響も考えるべきでしょう。大人が健全な道を示し、楽しく過ごせる界隈にしたいものです。

最後に

今回は、お金を使った過剰な推し活について書いていきました。個人的な意見としては、過剰にお金を使うリスナーはそれでしかアイデンティティを示すことが出来ない人であると考えます。例えばイラストであったり、切り抜き動画であったりといったクリエイティブな活動が出来ず、自分に出来ることをと考えた結果がそれなのかもしれません。

しかし、先ほど書いたように本来Vtuberの配信は無料で楽しむことが出来るもの。さらに言えば、特別なスキルも必要ありません。必要以上に他と比べず、シンプルに楽しむことが必要でしょう。

今後のバーチャル界がどのような広まりを見せるか分かりませんが、“Vtuber”が世界に誇れる文化になる為にも、そういった傍から見て入りづらさを感じるような場所にはしたくないものです。ぜひ、この記事が何かを感じるきっかけになればと思います。

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