絵師とVtuber、そして個の時代について
先日、Vtuberをプロデュースしている漫画家・佃煮のりおさんの記事を読みました。
9割以上の絵師が描くことだけでは食べていけないと言われていますが、記事を読み、Youtubeを中心としたSNSの発展により、稼げないとされていた多くの職業において稼げる事例が出てきたことと同様に、絵師の世界でも「描くこと」を中心に稼ぐことが出来る人が増えてきているのではないかと思い、まとめました。
Vtuberの「ママ」としての新たな稼ぎ方
Vtuberの世界では、キャラクターをデザインしたイラストレーターのことを「ママ」と呼ぶそうです。有名なキズナアイのママである森倉円さんの他、竹花ノートさん(静凛、家長むぎ)、しぐれういさん(大空スバル)、ななかぐらさん(百鬼あやめ、ジェイブ)等、多くのママがいるようで、イラストレーターや漫画家の新たな稼ぎ方の登場を感じさせます。
Live2DによるVtuber市場の拡大と「ママ」である絵師への需要の拡大
そのような中で技術面でも稼ぎ方の拡充を進める動きが起きているようです。高性能な一方で、運用コストのかかる3DCGが中心だったVtuberの世界で、2018年ごろから平面のイラストがそのまま動くLive2Dという技術を利用したVtuberが多く登場しました。これにより、運用コストが下がり気軽に配信が行えるようになることで、Vtuberへの参入が技術的に容易になりVtuberが増加するとともに、当然、「ママ」としてそれを支える絵師への需要も高まりました。
Vtuberとして活躍する絵師の登場と、法人化する絵師
さらに、Vtuberの犬山たまきとして自身が出演する、漫画家佃煮のりおさんのようなケースも登場します。企画性の高い動画が多いこともあり、2021年4月時点で登録者数が62万人を超えるチャンネルとなっています。
佃煮のりおさんは、「のりプロ」という事務所を作っており、白雪みしろ(15.6万登録者数、2021年4月時点)、愛宮みるく(9.5万登録者数、同)等が所属しています。ホロライブ、にじさんじという二大Vtuber事務所がますます勢いを増す中で、個人Vtuberとして活躍した人物が自身で事務所を立ち上げるという新たなムーブメントを起こしているように感じます。
Vtuber市場が立ち上げた絵師への新たな需要とその先
ここまで見てきたように、
Vtuber市場の立ち上がり
→それを背景とした絵師の新たな稼ぐ手段の登場
→Live2DによるVtuber市場の拡大と絵師への需要の更なる拡大
→自身もVtuberとして出演する絵師の登場(稼げる人は更に稼げるように)
→個人として成功した人は事務所等の手段で規模化を目指せるように(稼げる個人の法人化)
という流れが起きているように思います。
直近では、絵師専門のTiktok事務所等も登場しており、Youtube以外のプラットフォームでも絵師の活躍するフィールドが増えているようです。
このような流れを見ていると、稼げない業界とされていた美容業界において、Youtuberさらには、経営者として活躍されている宮永えいとさんのような美容師が出てきたように、絵師の世界でも「個の時代」の流れを受けて稼げる人が更に増えてきているのではないかと感じました。そして、新たな技術やプラットフォームの登場により、それは更に加速していくのではないかと思いました。今後も、「個の時代」に関するテーマを取り上げていきたいと思います。
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