2024年甲子園 第1日目展望

第1試合 有田工(佐賀)-滋賀学園(滋賀)
<チーム見どころ>
有田工(佐賀) 2年ぶり3回目
勝ち上がり
○4-2早稲田佐賀
○13-1佐賀西(5C)
○10-2白石(7C)
○2-1神埼
○2-1鳥栖工
5試合31得点7失点、チーム打率.333

チームの特色
3回戦と準々決勝ではコールド勝ちと打力もあるが、基本的にはエースの石永①を中心としてロースコアの接戦をものにするチーム。準決勝ではスクイズで決勝点を取るなど手堅く、盗塁も2桁の14個、32四死球と各打者の眼もよい。長打力のあるチームではないため甲子園でも僅差の展開を歓迎するチームだろう。

注目選手
①石永煌希(3年、投手)
チームの柱となる左腕。直球の最速は138km/h、いずれも1点差という緊迫した準決勝、決勝は1人で投げ抜き、特に準決勝は12奪三振完投と力がある。ピンチでも大崩れしない精神面の強さ、特筆すべきボールとしては左打者の外角に曲がり落ちるスライダー。この球が生命線になりそう。

⑧井崎蓮(2年、中堅手)
1番から4番までが2年生という若い打線において中核となるバッター。打率.429はチーム内2位、5四死球はチームトップタイ、4盗塁はチーム2位と安定した成績を残している。決勝戦では抜けたら長打、同点ないしは逆転という場面で背後への打球をスーパーキャッチと守備範囲にも優れる。

滋賀学園(滋賀) 15年ぶり2回目
勝ち上がり
○8-1守山北(8C)
○7-2立命館守山
○6-0米原
○9-2草津(7C)
○5-0綾羽
5試合35得点、5失点 打率.362

チームの特色
春の県大会優勝と実績もあり、豊富な投手力を武器とする。右腕の脇本①は決勝、土田⑪は準決勝でそれぞれ完封し、地方大会ではエース番号の左腕高橋侠⑩も控える。3枚の計算できる投手で連戦にも耐えうる体力、打線も5割近い打率を誇る1番多胡④、2番国仲⑨、3番岩井⑥を中心に力のある投打にバランスのいいチーム。大差勝ちも、接戦もどちらも苦にしない。

注目選手
①脇本耀士(3年、投手)
昨年から登板経験があるエース。特筆すべきは直球の力強さとスタミナ。最速143km/hとスピードがあるのは勿論のこと、決勝戦では9回に120球近くを投げてなお142km/hを出すなど、スタミナにも自信を感じさせる。フォームもきれいな正統派の本格派右腕という印象。

④多胡大将(3年、二塁手) ⑥岩井天史(3年、遊撃手)
豊富な投手力や高い打撃力に注目が集まるが、本質的には守備からリズムを作るチーム。その中で核となるのがこの2人が形成する二遊間。1年秋からレギュラーかつ、地方大会では無失策。加えて打撃面でも多胡が打率.474(19-9)、岩井も打率.474(19-9)と非常に調子が良い。この2人がチームに起爆剤的効果をもたらすことに期待!

※余談
滋賀学園は16選抜、17選抜では控え部員による踊りのパフォーマンスでも注目を集めた。今大会もあるのか?期待したい
(参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=CFk9_X3BnXs&t=76s )

<試合展望>
ロースコアに持ち込む前提の有田工、どんな試合展開もOKの滋賀学園といった構図。有田工はとにかく石永の出来が左右するので、絶対に先制点を与えず終盤まで競ることができれば勝機ありか。逆に滋賀学園はあまり硬直した展開にならないよう、投手交代も積極的に、常にペースを握れるような戦い方が理想になり、それは十分実現可能か。終盤まで競る展開なら有田工の可能性が高い、ただ2番手以降が手薄なことを考慮するとタイブレークなら滋賀学園に分がある気もする。
有田工が勝つなら5-4くらい、滋賀学園が勝つなら常に攻め続け6-0とか?ワンサイドもあり得る。


第二試合 英明(香川)-健大高崎(群馬)
<チーム見どころ>
英明(香川) 2年連続4回目
勝ち上がり
○8-1香川高専高松(8C)
○3-1大手前高松
○1-0丸亀城西
○7-0三本松(7C)
○4-3高松商
5試合23得点、5失点 チーム打率.262

チームの特色
2年連続の出場。チーム打率こそ高くないが昨年も甲子園3試合いずれも素晴らしい試合を展開(智辯和歌山には勝利)し、研究熱心さがうかがえる試合巧者。エースの清家①を中心に昨年の甲子園経験者も多く、チャンスを確実にものにするしぶとさがあるチーム。接戦になるほど力を発揮しそう。

注目選手
⑥鈴木昊 (3年、遊撃手)
チームの切り込み隊長。昨年も2年生ながら1番遊撃手を任され経験豊富。地方大会では各打者が苦戦する中.500(20-10)と高いアベレージを残しチームを引っ張った。遊撃の守備も軽快。

⑧百々愛輝(3年、中堅手)
この選手も昨年からレギュラー。U18日本代表合宿にも選ばれ、広角に打ち分ける打撃センス、チームトップの6四死球を選ぶなど能力の高い打者。今年は登板こそないが昨年はチェンジアップを武器とした投手としても躍動し、高いセンスをうかがわせる。地方大会では.250(16-4)と本領発揮とはいかなかったようだが、甲子園での爆発に期待。この打者の爆発はチームの浮沈を握るだろう。

健大高崎(群馬) 9年ぶり4回目
勝ち上がり
○18-1藤岡北(5C)
○6-5桐生第一(11)
○19-3高崎経済大附(7C)
○9-8前橋育英(10)
○5-1前橋商
5試合57得点、18失点 打率.371

チームの特色
春夏連覇に挑む。田中⑥や高山④、プロ注捕手の箱山②が中心の5試合57得点の高い打力、何より3回戦と準決勝は敗戦寸前から勝ちを拾う粘り強さも兼ね備えて9年ぶりに帰ってきた。例年夏は勝ちきれない学校だったが、今年は明らかに違う。ただエース左腕の佐藤がケガで離脱という懸念事項もあり、同じく2年生の石垣①、下重⑩らの奮起が不可欠となる。

注目選手
①石垣元気 (2年、投手)
余計にこの選手の働きが大切になる。地方大会でエース番号を背負い選抜でも優勝投手となった佐藤がケガで離脱し、甲子園では背番号1を背負う。ストレートの最速は150km/hを超え、2年生とは思えないエンジンを搭載する剛腕。春よりも更に進化した姿に注目したい。

④高山裕次郎 (3年、二塁手)
今大会屈指の捕手であり打者の箱山②の前を任されている野手。打率は箱山に次ぐ.500(18-9)を誇り、三振は0と抜群のミートセンスを持つ。好調の1番田中⑥、2番加藤⑤と箱山の間をうまくつなげる潤滑油のような働きを期待したい。ちなみにこの選手もU18日本代表の強化合宿に選出されている。

※余談
この2チームはどちらもHONDAの全開ホンダを応援に採用している。あまりこの曲を使うチームは多くないがここでそんな2校が出会うとは…聞き比べてみるのもまた一興?
(参考動画 https://www.youtube.com/watch?v=kUQgKAmbbfE  
https://www.youtube.com/watch?v=7OlO5OP8Nnc )

<試合展望>
まず最初に述べるが、健大高崎は確実に嫌な相手を引いた。英明はとにかく試合巧者で、雑な野球はせずエースの清家を軸に組織的な野球、野手も昨年経験者の鈴木⑥、平見⑦、百々⑧の上位打線を中心として力がある。そういう意味では僅差で終盤まで…みたいな展開は健大高崎としては嫌うだろう。決めるなら序盤、立ち上がりで一気に叩くことが必要になりそう。競った展開で後ろに行けば行くほど嫌な予感が…そんなゲームになると思う。健大高崎は序盤の得点が不可欠。7-2くらいをイメージか。英明は終盤まで1点差とかで付ければ全然ある。イメージは4-3くらい、タイブレークも考えて後攻がよさそう。

第三試合 岐阜城北(岐阜)-智弁学園(奈良)
<チーム見どころ>
岐阜城北(岐阜) 9年ぶり4回目
勝ち上がり
○14-0恵那南・東濃(5C)
○7×-5関商工
○20-0郡上(5C)
○6×-5大垣日大
○7-4岐阜第一
○6-5県岐阜商(11)
6試合60得点、19失点 打率.385

チームの特色
大差勝ちも多いが、本質は粘り強さ、終盤での地力に定評のあるチーム。第1シードの関商工相手にサヨナラ勝ち、さらには大垣日大、県岐商という岐阜を代表する強豪校相手に終盤に追いつき追い越す力強さがある。加えていずれの試合でも6得点以上と打力は間違いない。エースの中本①以外のすべてのスタメン打者が3割を超える打率を残し、破壊力がある。それだけに投手がカギになってきそう。

注目選手
①中本陽大 (3年、投手)
高い打撃力を持つチームにとって鍵を握るであろう存在。361/3回を投げ18失点という数字だけを見たら凡庸に映るが、決勝では150球を投げ完投、終盤でも140km/hをマークするなど開花の兆しが見られた。彼がどれだけ安定感をもって試合に入れるか、それが最重要になりそう。

⑥太田陽民 (2年、遊撃手)
2年生ながら4番を任されるスラッガー、打率は.391(23-9)とハイアベレージ、それでいて長打3本、関商工との試合ではサヨナラホームランを放った。1番から3番も高い打率を残す中で場を一掃するような、そんな打撃に期待がかかる。

智弁学園(奈良) 2年連続22回目
勝ち上がり
○4-2高田
○17-0高取国際(5C)
○5-2天理
○7-2郡山
○5-4奈良大付
5試合38得点、10失点 打率.273

チームの特色
昨年は強打でベスト16入りを果たしたが、今年は勝ち上がりやチーム打率からも分かるように、打よりも全体的なバランスで粘り強く勝ち上がるチーム。特に準々決勝の天理戦では中盤~終盤にかけて効果的に得点を奪い優勝候補を退けた。田近①と浅井⑭の両左腕は大崩れせず安定感が光る。

注目選手
①田近楓雅 (3年、投手)
地方大会で主戦を担ったエース。3試合に登板し21回を投げ6失点の安定感。特に決勝は被安打10も要所を抑える投球で粘った。右打者の内角にもスライダーを投げられるのが魅力的で、与えた四死球も5と制球力に優れ、試合を作る能力に長けた左腕。

⑥知花琉綺亜 (3年、遊撃手)
昨年の選手権でもレギュラーとしてチームのベスト16に貢献し、打率.500 (14-7)と打ちまくった選手が今度は主将として帰ってくる。地方大会では.400(20-8)と相変わらず高い打率を残し、今年も大舞台での躍動に期待がかかる。地方大会では6番を任されていたが、もしかすると打順が上がる可能性も…?

<試合展望>
接戦を歓迎する両チームの対戦だが、地区大会の傾向を考えると智弁学園は早めに主導権を握り逃げ切りたい。投手の安定感という意味では智弁に分があるため、中盤までに4点リードくらいが理想的か。岐阜城北はとにかく立ち上がり。終盤勝負なら分がありそうなので、序盤は我慢したい。
いずれにせよ6-5くらいのスコアになりそう。ちなみに打ち合いの場合は岐阜城北が有利だと読んでいます。


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