【🐺】人狼で確率的に内訳や信用を考えるにはどうしたら良いか？ -12a猫を例に-

2024年9月20日 05:57

以前出した記事

で確率の考え方は書いていますが、もっと具体的な盤面ではどうなるのか説明したいと思います。

説明の前に1つ言っておきたいのは、
これから凄く機械的で形式的な議論を進めていきますが、別にそれ以外の要素(占い師の発言など)を軽視するわけではないということです。
私からしたら盤面的に信用が落ちるのも発言で信用が落ちるのも全く同じ現象です。これも上の記事でちょっと示唆してます。

私は確かにこういう機械的な考察を大事にしていますが、正直みんなが大事にできて無さすぎるだけというか。
全部の要素を考えられるのが理想だと思います。

私は確率にこだわりはありません。
人狼(の推理)は全部確率だ、とも言えるし、全部確率でない、とも言える。有名なモデルを使うかどうかの違いでしかないです。
だからタイトルに確率とも書きたくはなかったんですよね。イメージが偏るだけだから。

■おさらい

上の3-1対抗◯の記事の内容をおさらいしておきます。
結論は「対抗◯を投げている占い師の信用は他の占い師の信用の約半分になる」。その理由は

・対抗◯を投げると対抗の狂狼の内訳が固定化される
・対抗◯を投げていない占いの視点では対抗の内訳は狂狼と狼狂で2パターンある
・比較すると1:2の信用差になる

この記事ではこういう考え方を全部の盤面に適用できることを説明します。

どういう考え方なのかは対抗◯の記事も見てください。考え方の正当性はその記事が担保しています。
なので、この記事に対して「考え方自体がおかしい」等懐疑的なことを思われた方は、対抗◯の記事に対して反論を考えていただければと思います。

■重要なポイント①パターン数を軽視しない

これは対抗◯の話を受け入れてくれている方には分かりますよね。
基本的に占い結果を出すということは内訳のパターンを狭めるということです。内訳が狭まること自体は信用を考える上でマイナス要素にしかなりません。

急ですが、トートロジーという言葉を知っていますか？論理学の概念で、どういうものかというと、ネットミームで「進次郎構文」と呼ばれているものを想像してもらえればいいと思います。当たり前な主張、みたいなことですね。

トートロジーは時に「真理」と表現されます。
当たり前で確実な主張は無意味だとみなされるけど、その分確実に正しくはあるということです。

占い師の信用も同じで、何も言わなければ言わないほど信用が高くなる、傾向があります。
例えば2-1の霊◯とかね。村からしたら意味のない結果ですが、グレーの内訳を限定していない点でちょっと信用が高くなります。

あるいは、「何も言っていない」の典型例として、死体◯がありますね。
あれは「占い師として仕事できていない」として信用されなくなるケースを見ますが、パターン数という観点ではむしろ信用面で有利なんですよね。
総合的には難しい話になってしまいますが、パターン数を軽視しているとそういう占い師を適切に評価できなくなります。

■重要なポイント②真の行動は無視できる

内訳を確率的に考えるには、内訳1つ1つのパターンについて、「ゲーム開始から現在までの全ての各プレイヤーの行動」を考慮する必要があります。
この時、その盤面で「真占いは確定で生存している」という意味での対称性がある場合は、基本的に「その内訳で真占い師としているプレイヤーの行動」は除外して考えることができます。

なぜなら、真占い師の行動が決まっているからです。

3-1対抗◯の例で言うと
・自分以外からランダムに占った ←内訳に関係なく対等。例えば11人村なら1/10の確率の行動をしていることになりますが、それは誰が真でも掛け算される1/10です。
・結果◯が出た ←今特定の内訳を前提としてます。その内訳では100%の確率でシステムやGMが◯をはじき出します。(※)
・占い師が占いCOした ←毎回しますよね

※ここが特に人外と違うところです。人外が占い先を任意に選ぶ点は真占いと同じですが、◯を出す可能性も●を出す可能性もありますよね。

真占いのセオリーが固定的であり、各占い候補が「真占いとして妥当な行動をしている」と見做されているのであれば、真占いの行動は考慮しなくていいです。

(例外は占いが噛まれるといった非対称な盤面になった時。この時残った占い候補が占い結果で内訳をどんどん狭めるから一方的に信用が下がっていくと考えるのは間違い。
対抗が噛まれたことで信用は下がるが、当然ながら占い結果を出すだけで更に信用が下がるわけではない。
詳細は省略するが、残った候補が真の場合と人外の場合、どちらの方が行動選択が多いかといえば後者であるという点が、前者の可能性に有利な点である。)

■今回の盤面(12a猫)

占A→D◯
占B→D●
占C→B◯
E: 霊能CO
※初日同時FO

D: 村人CO

今回は進行の話はしません。とにかく推理の話だけします。
ちなみに私はパンダD吊りがいいんじゃないかと思ってます。

■12a猫とは

村4/狼3/占1/霊1/狂1/狩1/猫1 合計12人
ここから初日襲撃で1つ欠ける11人村です。

特徴は

・5吊り4人外
・吊り余裕1
・初日占いあり
・猫又が居る
・村欠け時詰み余裕2(占霊猫狩の真役職を吊らない前提で占い師は2村占えばグレーを吊り切れる)
・つまり二日目(ゲーム内3日目)にはグレーが占い視点詰み得るほどグレーが狭い
・3狼いて吊り余裕が1しか無いので騙り放題●出し放題身内切りし放題
・初日FO(ロケットCO)がセオリーとなっている

■盤面1の考察

まずパターンの整理から行きましょうか。

★全体
12a猫で狼の占い2騙りが渋い理由はあんまりないと思いますが、めんどいんで無視します。占いの内訳は真狂狼とします。
グレー(D含む)は11-4=7人で、これと初日犠牲者を合わせた8人に村4狼2猫狩が含まれています。

★占A視点
対抗の内訳は狂狼か狼狂の2パターン。
グレーの内訳は、パンダDが村と限定しています。Dは村COしている時点で猫狩が無いので、村4狼2のうち村4に限定していることに。つまり、2/3の限定と言えます。

★占B視点
対抗の内訳は2パターン。
グレーの内訳は、パンダDが狼で、これは1/3の限定と言えます。

★占C視点
対抗の内訳はA狼B狂の1パターン。
グレーの内訳は限定していません。

次に各内訳について人外の行動を整理します。表にまとめました。

パターン数の比は上で説明していることです。Dが村なら2で狼なら1になってます。
個人的評価は、個人的にその内訳が濃そうかどうかの評価です。

人外の行動を「狂人の行動」「騙り狼の行動」「潜伏狼の行動」にまとめています。ここで注意すべきことが2つあります。

① 対称性を考えると、「具体的に誰に結果を出しているのか」は無視できる
② 騙り狼の行動について、考えるべきは「囲いするか否か」の比較ではなく「特定の相方を囲うか、特定の非相方に◯出しするか」の比較である。

①について。
例えば、上の表で下2行の内訳は完全に同じ確率と言えます。
この2つは狼の占い結果が狼A→村D◯なのか狼C→狂B◯なのかが違いますが、狼の行動選択自体は「特定の非相方に◯」で共通であり、上記の違いは結果的なものに過ぎないからです。

もっと形式的に説明するなら、狼A→村D◯も狼C→狂B◯も起こる確率は対等であるということです。

「騙り狼が非相方に◯を(ある確率で)選択し」「非相方8人のうちから(確率1/8で)占い先を選択する」という生起確率に関係する部分が共通だからです。

②について。
今言った形式的な説明がわかりやすいかもしれないですね。
各内訳から現在の状況を説明するには「狼が相方を囲う」だけでは不十分で、「狼が特定の相方を囲う」ということをしないと現在の盤面になりません。

なので、例えば「騙り狼は5回に1回相方を囲い、5回に3回非相方に◯出しをし、5回に1回非相方に●出しをする」とした場合。推理で考えるべきは囲う囲わない云々の1:3:1の比ではなく、誰に結果を出すかまで更に考慮した
(1/5)×(1/2) : (3/5)×(1/8):(1/5)*(1/8)=4:3:1の比であるということです。

では具体的にどの内訳が濃いのか考えてみましょう。
まずパンダになった場合、◯を出している方の占い師の信用は下がる傾向にあります。
表の1行目と4行目を比較してみてください。騙り狼が特定の相方を囲うのと特定の非相方に●出しするのでどっちのが多いのかという比較が1つの論点になります。

まず特定の相方に◯は一番多いと思うんですね。比較対象は「特定の相方を身内切り」「特定の非相方に◯」「特定の非相方に●」として。
囲いは人外にとって有利なのに、「特定の非相方に◯」や「狂人のランダムに◯」より少ないはずがないという感覚です。

後はやっぱ●出しって多くないですよね。12a猫で●出しが不利なことは全然ないと思いますが、●出しってつまらないと考える人も結構居ますし。
それに●出しが増えると真と騙りの差が大きくなってメタりやすくなるので、一理あります。
だから表の1行目と4行目では騙り狼の行動選択という意味では大きな差があると言えて、これがパンダの◯出し側が一般に信用が下がる理由になります。

個人的な結論としては、人外の●出しがなく、狼が囲っている1行目が一番多そう。
でそれ以上は難しくなってくるんですけど、次に多そうなのは同じく人外の●出しがない3行目かな・・・ということで個人的評価は上記のようにしています。
この表で行けば占い師単体の信用はB>>A=Cって感じですかね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
パターン数に関しては結構数学的な話になってしまって得意不得意あると思いますが、人外の行動選択から信用を考えるというのは誰でもできると思うので、取り入れてみてください。

今回の盤面はタイムラインで話題になっていた盤面から取ってきました。
上では囲いは流石に非囲いより多いよね、●出しは少ないよね、くらいの考えで結論を出しましたが
真剣に進行を考えたい場合はもうちょっと踏み込む必要がありますね。
12a猫は結構環境がばらつきやすい(フィールドによってぜんぜん違う環境になり得る)配役だと思っています。
身内切りがすごい多かったりとかね。

より具体的に考えたければ、上記の表で自分の思う各人外行動の比を仮で設定すれば完全に内訳の確率比が出せます。進行選択のためにそこまで詰める必要があるかと言えば微妙ですが。