応募がないのは会社の魅力が伝わってないからではなく、魅力を伝える場所を間違っているという話
地方の地場企業は採用に苦戦してしています。「ハローワークで募集をしても応募がない」「知り合いに紹介してとお願いしても誰もいない」などと嘆く人事担当者、経営者も多くいます。そして若者が地元企業に就職しない理由としてよく挙げられるのは
「学生が地場企業の仕事の魅力を知らないから就職しない」
というものです。
地場企業には魅力がたくさんあるが、若者に伝えられていないため地元に就職しない、というロジックです。なので地元企業の仕事の魅力を若者に伝えようとインターンシップをやったり、PR動画を作ったり、大手ナビサイトに掲載したりして自社の魅力をアピールしています。また行政も高校生に企業訪問の機会を作ったりしています。しかし、目に見える成果には至ってないのが実情でしょう。
仕事の魅力が伝わって無いという問題先送りワード
僕はこの「仕事の魅力が伝わってないから、地場企業が就職先に選ばれない」というフレーズに危うさを感じています。なぜならこのフレーズは目の前の取り組むべき課題に蓋をして誰も傷つくことなく問題を先送りできてしまうからです。
まず企業にとっては他責にできます。「自社の仕事には魅力があるけどそれを若者が理解していない。都市部の会社は見せ方がうまいだけだ。」というスタンスを取り、自社が選ばれない根本理由から目を背け、PRや見せ方という手法の話にすり替えるすりかえることができてしまいます。確かに仕事自体に何らかの魅力はあるでしょう。しかし仕事は基本的に一つしか選べません。求職者にとって1番の企業にならない限り入社してくれないのです。蓮舫さんではないですが採用活動においては2番ではダメで、1番魅力的な会社にならないと意味がないのです。
また行政にとっても好都合なフレーズです。「あなたの会社には魅力があるのですよ」と言うことで地場企業と良好な関係(馴れ合い的な関係ともいう)を継続することができます。またその魅力を伝えるための施策も作りやすいです。同じ地域内で働いているのでわざわざ関係が悪化することを言うメリットはありません。よって問題は解決されることなく人手不足による廃業が進んでいきます。
魅力を伝えるために頑張るのではなく場所と手法を変えること
では、どうすればいいのかと言うと「PRする場所と手法を変える」ことが大事なんだと思っています。募集しても応募が来ない採用弱者が、知名度があり、待遇も良い採用強者と同じ戦い方をしたらひとたまりもありません。採用活動においてもランチェスター戦略、孫子の兵法の競争戦略における弱者の戦略に従うことが大切です。
”戦略”とは漢字に表れているように”戦い”を”略す”という意味です。いかに戦わずして目的を達成するかを考えることを戦略と言います。応募が来ない弱者が採用するという目的を達成するためには弱者の戦略に徹することが必要です。弱者の戦略は4つあると言われています。
【局地戦】採用対象を絞って採用活動を行う。
【接近戦】対面で話したり交流したりして求職者と強い関係を築く。
【一騎打ち】予算、人員、ノウハウなど多くを持ってる採用強者と団体戦に巻き込まれない。個人戦に持ち込む。
【陽動作戦】業界の常識には無い奇策を打つ。一般的な採用活動とは違った奇をてらった施策を繰り出す。
強者が得意としている土俵に上がらない
リクナビやマイナビのような大手求人ナビの担当者と話していると「予算を増やして採用競合に負けないように広告を出しましょう」とか「オープンカンパニー(1dayインターン)を行いましょう」といった提案をもらうことがあります。しかし、これは採用弱者が絶対に手を出してはいけません。採用強者と同じ土俵に立っても赤子の手をひねられるようにふるい落とされます。
例えば、とある地場企業が新卒採用を目的にオープンカンパニーを開催することになったとします。オープンカンパニーは大手企業が採用の母集団形成の主戦場にしています。1日で完結するので、学生は複数社のものに参加することができ、参加した中から好印象な会社に応募をすることになります。大手企業はオープンカンパニーの運営経験は豊富でノウハウも蓄積されています。プログラムは専門のコンサルが設計している場合もありますし、当日は学生と年が近く、親しみやすい社員が対応してくれることもあります。対して、地場企業は経験が浅く、突貫工事でプログラムを作り、運営もぎこちなく、学生から年の離れた年配者が対応することになりがちです。両方のオープンカンパニーに参加した学生がどちらを魅力的に感じるかは火を見るより明らかです。これは地場企業に魅力が無いという話ではなく、自分から勝てる見込みのない土俵に上がっていって投げ飛ばされているに過ぎません。そして忘れてはいけないのは、このように勝てる見込みの無い企業を土俵に引き上げ続けることで利益を上げるビジネスモデルがあることです。それがまさに大手求人サイトを運営する企業や成功事例の横展開を進める採用コンサルティング会社なのです。
強者が取れない施策を徹底すること
では地方の地場企業等の採用弱者はどうすればよいのか。
それは、採用強者が取れない弱者の戦略に特化することです。大手求人ナビに掲載しても知名度が高く、給料も良い大手企業にはどのみち勝てません。それは求人ナビ側が設定した軸で戦わされてしまうからです。それとは全く別の軸で評価される土俵を作ることが大事なのです。いわば戦う場所を変えるわけです。戦略は”戦う”を”略する”と書くと申し上げましたが、”しかるべき状況を整える”ことでもあります。
マイナビやリクナビに掲載しても応募がない企業がやることはマイナビや、リクナビの採用予算を増やすことではありません。求人ナビに掲載している大手企業ができないことをやることです。地場の中小企業がオープンカンパニーの運営に長けている超大手有名企業に今から勝つことはできません。しかし、例えば、社長の一日カバン持ち(ランチ、夜の飲み会付き)を毎日開催したり、取引先からの評価を聞いて回るツアー、居酒屋で大学生を見つけたらご馳走して名刺だけ渡す企画などは大手企業はできません。大手求人ナビやコンサルからそそのかされて採用強者が得意としている土俵に上がるのではなく、別の土俵をつくることが大事です。社長の鞄持ちはオープンカンパニーと全く別の評価軸となります。オープンカンパニー同士の企業は比べられられますが、社長の鞄持ちとは比べることができません。強者が得意とする評価軸に弱者がわざわざ出向いて打ちのめされてはいけません。(求人ナビ運営企業や横展開型採用コンサルは強者の土俵に弱者を引き上げることで収益を上げるモデルなのです。本日2回目)
机上の競争戦略論だけではなく実際の就活調査でも鮮明に
そしてこれはただの理論にとどまらず、2023年に宮崎県内の大学生に行った就職活動実態調査でもデータとして明らかになっています。大手企業の採用活動を真似した地場企業は軒並み採用に苦戦し、独自の手法、とりわけ局地戦・接近戦に舵を切った地場企業は採用活動が成功していました。ご興味ある方は以下から無料でダウンロードできますので御覧ください。
「仕事の魅力が伝わっていないから、PRを頑張ろう!」ではないのです。「仕事の魅力の伝え方、伝える場所を変えていこう!」。これこそが採用成功の王道なのです。
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info@cotolodo.com(担当:森山)
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