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テレビで炎上するまえに若者の投票率についてまとめてみた!

10月21日にUMK(テレビ宮崎)さんで宮崎大学の土屋有先生と選挙コーナーでおしゃべりしてきました。土屋先生は終始的確な模範解答を発言されてましたが、僕はかなり危ない発言を繰り返しており、放送をご覧になられてお怒りの方に向けて釈明させていただきたいと思います。

番組のテーマは「若者の投票率が上がらないのはなぜか?どうしたら上がるのか?」というものでした。
趣旨としては「若者の投票率が低いと、政治家は高齢者むけの政策を行ってしまうので若者は投票に行って政治に関わるべきだ」
というものだったのですが、
僕は全く空気を読まない発言していて、UMKさんや私に非難が殺到するのではないかと、少し不安を感じております。発言は切り取られたものではないのでUMKさんへのクレームはご遠慮ください。でも僕へのクレームも控えめだと幸いです(笑)

・そもそも宮崎県の若者(39歳以下)はめちゃくちゃ少ないので、投票率が少々上がったところで選挙結果は変わらない

宮崎県内の全投票者に占める29歳以下の割合4.8%、39歳以下でも12.3%となっており、対して60歳以上は59.6%を占めています。約6割を60代が占めているのに対して、39歳以下の若者が12%と全体の8分の1程度にとどまっています。

そして、これは若者の投票率が低いことが主な理由ではなく、そもそも若者の母数が少ないからです。有権者のうち29歳以下が占める割合は10.2%、39歳でも21.5%。それに対して有権者のうち60代以上なのは49.2%となっており、有権者の約半分は60歳以上になっているのです。

ちなみにもし39歳以下の投票率が100%になったと仮定して計算しても、39歳以下の投票数は現状の65歳以上の投票数を上回れません。若者の声を反映させる手法としての選挙は若者にとっては相当なハンデキャップであり「選挙で若者向けの政策に変える」のは勝算のない戦いをやり続けるようなものです。

令和5年4月9日執行 宮崎県議会議員選挙 年齢別投票者数(抽出調査結果)より筆者が編集


・若者は投票に行かないのではなく、若者は政治の影響を受ける仕事につかなくなってるのではないか。

よく年齢別の投票率の表(まさに↑の表)や何十年前と比べて投票率が下がってきている、というグラフを指して「最近の若者は投票に行かない」と憂いている人や、メディアの論調をたびたび目にします。

しかし、これは疑似相関なのではないかと勘ぐっています。疑似相関とは、見えない要因によってあたかも因果関係があるように見える現象のことです。有名な例だと人口あたりのノーベル賞の受賞者が多い国ほどチョコレートの消費量が多いことから、チョコレートを食べれば天才になれる!と思いがちですが、実際は贅沢品のチョコレートを食べれる国であれば経済的に豊かであり、そのぶん科学研究予算も大きいことが原因、みたいなものです。

「昔の若者は政治にもっと関心があったのに、今の若い人ほど政治に関心がない、けしからん!」みたいな雰囲気がありますが、これは昔の若者は政治に影響を受ける産業に多く従事していたが、最近はそういう産業に従事する若者が減少しているだけなんじゃないでしょうか。

政治に影響を受けやすい業界とそうでない業界があります。影響を受けやすいのは例えば農業や建設土木、タクシーや宿泊等の観光業などでしょうか。公共事業や補助金、規制などは政治の意思決定に大きな影響を受けます。逆にあまり政治の影響を受けにくいのは例えば、飲食業やデザイン業、エンジニアなどの第三次産業でしょう。

昔は農業も建設土木などは多くの雇用を抱えていましたし、もちろん若者も多く従事していました。しかし現在は従事者数も若者の割合も減少の一途を経とっています。つまり、政治判断に影響を受ける仕事につく若者が減り続けており、その結果年代別に見ても投票率が低下しているのではないでしょうか。データとしては存在していませんがもし業界別に投票率を集計したら農業や建設土木業界の若者は高い投票率となっているかもしれません。若いから投票に行かない、のではなくそもそも政治が身近な職業につく若者が減ってきているのかもしれません。

農林水産省 / 農林業センサス(https://empowerment.tsuda.ac.jp/detail/61925)
【図表3 建築技術者における年齢階級別構成比の推移】 出典:総務省「国勢調査」各年度版より著者が作成(ヒューマンリソシア社作成)(https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2303/09/news015.html)


・政策への影響は投票よりSNSのほうが有効な気がする?

増税しないと言ってたにも関わらず増税したり、予算委員会で与野党で議論をしてから解散すると言っていたのに、その前に解散するなどを見ていると、選挙が政策に影響を与えることはできないのではないかと思えてきます。さらに最近はSNSの反応を見て政策を決めるケースもでてきており、待機児童問題ではとあるブログが拡散してそれが国会でも取り上げられたりもしました。投票以外にもブログを書いたりSNSで拡散したり、直接政治家にメッセージを送ったりもできます。これは選挙以外にも政治に関わるチャネルが増えたわけで、社会問題のひとつひとつに誰でも政治参加できることは良いことだと思います。そもそも様々な社会問題があるなかで数年に一度の投票ですべての政策決定に関与することは不可能です。投票が個別の政策に影響を与えるというのはほぼ幻想です。


投票は個人の自由。政治と接点をもつ数多くあるチャネルの一つ

投票に行くことは良いことだ、行かない人は非国民だ、といった論調もありますが、僕は投票はあくまで個人の自由なので行きたい人は行けばいいし、行きたくない人行かなくて良いと思っています。
若者の投票率が下がれば若者向けの政策が採用されなくなるかもしれませんが、日本が住みにくければ近隣の国に出稼ぎに行くこともこれからしやすくなるでしょう。オーストラリアでは時給3000円と言われたり、イギリスでも一部の大学卒業生は就業ビザを免除したりしています。先進国はどこも少子高齢化で慢性的な働き手不足です。そして若者が国外に出ていけば困った高齢者が若者向けの政策を支持するようになるかもしれません。選挙以外の我々の行動が政策を変えることは多々あります。
 例えば、国際線枠が認められなかった羽田空港が近年急速に国際線を増やしているのは、日本人がソウルインチョン空港を使いだしたからとも言われています。宮崎県が急に公約になかった新幹線に力を入れだしたのは「大分県が(宮崎ではなく)福岡に行きたいので北九州ルートか久留米ルートを検討します!」と言い出して焦りだしたからです。政策は投票以外に多くの影響を受けます。


最後に

投票は数多くある政治との接点の一つです。一人の1票が政治を大きく変える力は残念ながらありません。自分の一票が政策を変えることは期待せずとも、自分が社会について考える機会として選挙を活用するくらいの力加減で投票に行くのが良いのではないでしょうか。

昔は田鹿が言ってる選挙の影響力ってその程度だったよね、と言われる社会になってほしいです!

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