牡牛座5度「開いた墓にいる未亡人」 #サビアンシンボルのタロットワーク
ルディアによれば「すべての物質的および社会的な絆の非永続性」の度数です。仏陀は「すべての自然物は朽ちる」と言いました。美しかった、楽しかった物質も、潜在的なエネルギーを失い、すべての愛着を終わらせる「開かれた墓」である空虚が残ります。空虚とは「次に何をするのか」という大きな挑戦です。一見ネガティブに見えるかもしれませんが、自己再生への扉が開いています。個人的な愛着を超え、より大きな存在の領域に参加する可能性が生まれます。これは過去を捨てる準備ができていなければめったに現れません。
ジョーンズによれば、人間が現実を固定化させてしまい、より大きな全体への創造的な貢献を無視したとき、物理的なものが無常になることを象徴しています。キーワードは「方向転換(REORIENTATION)」です。肯定的な場合、この度数は個人的な自信や、失望と自己発見の遅れを超越するための才能を表します。否定的な場合は、挫折への降伏や無能への転落です。
サビ研でのSUGARさんによれば、これは「幻影から真実への生まれ直しの度数」。岡村天心「真の美はただ不完全を心の中に完成する人によってのみ見いだされる」、吉田兼好「散りしおれたる庭などこそ見どころ多けれ」などの言葉から、日本人の諸行無常観でこそ、この度数の価値は理解されると指摘されていました。
富や豊かさは永遠に継続するものではない。失われた過去に愛着するのではなく、空虚の中から物質的な豊かさや幻影に隠された真実を見出し、次に進めるかどうかが問われているようです。
スプレッド
1.開いた墓
2.未亡人
開いた墓は失ったものと読みます。このカードの示すエネルギーが失われ、空虚が現れた。もうこれに愛着していても仕方がないものが示されそうです。
未亡人はその空虚を見ている自分自身だと言えます。その空虚に愛着しているのか、もしくは次の新たな始まりに方向転換しようとしているのかを読み解けそうです。
リーディング結果
1.開いた墓:カップ9
2.未亡人:カップ6逆
開いた墓カップ9。夢や希望、理想的な感情状態に向けて心を動かすことが失われている。まだ実現していないもの追い求める心の喪失。まさに「幻影から目覚める」。
未亡人カップ6逆。感情交流の断絶。これも「愛着を切り離す」図と見えます。気持ちを交換することをやめることによって、より大きな存在の領域へ進むことができる。
カード同士の関連
両方ともカップなので、テーマは共通しています。カップ9的な夢や理想というものに愛着していた、しかしその夢は失われたので、愛着を切り離すのがカップ6逆。ここでは「自分の抱えていた夢への愛着を切り離している最中」のイメージが現れていて、「では次に何をするのか?」の段階には至っていないように見えます。ともかく失われた夢を手放したところ。
他の度数との関連
カップ9は牡羊座1度「女性が海から上がってきた」で海カードとして登場していました。海は個人がまだ未分化な混沌、集合無意識です。このときのカップ9は自分の夢というより、みんなの無意識的な夢、という感じです。女性はこの海を後にして個人として出現しました。そうなると今回のカップ9は「個人として出現する前の、みんなと同じ集合無意識の夢に再び溶け込みたい、未分化の混沌の海に還りたい」という理想があったのに、それが失われ空虚になった、と読めそうです。
カップ6は正位置として、牡羊座19度「魔法のじゅうたん」の地上世界カードとして登場しました。地上では社会的な意志に基づいた感情交流が行われており、じゅうたんはその地上世界のやりとりに執着しないことで空へ浮かびます。それが逆位置で再登場したことは、社会的な意志に基づいた感情交流への執着を捨てることの再強調が行われている、とも読めます。
ということは、今回の2枚は「集合無意識へ還る夢も失い、社会的な意志に基づいた感情交流も断つ」という、無意識的にも社会的にも集合体から切り離された「個」の心の強調が再び起こっているように感じられます。ちなみにじゅうたんに乗せられ逆位置化しているペンタクイーンは、牡牛座に入ってから何度か強調されてきたカードでもあります。
また6逆のカードとして、牡牛座1度「小川」の山であった恋人たち逆も思い出されます。やはり外部との関わりの中からではなく、関わらないことの中からなにかが生まれている。今回のカップ6逆は、1度の恋人たち逆を補強し、同時にその山を流れる川であったペンタキングのエネルギーを強化しているようにも感じられました。
みなさんのカード
みんなの虹がかかっている〜!
牡牛座4度
昨日の補足についてのご感想も!
みなさまどうもありがとうございました!
サビアンシンボルからタロットのスプレッドやワークを作っています。「そのサビアンシンボルの意味を探る」のではなく、「その度数におけるその人の発達の状態」を読み解く取り組みです。しかし個人の発達状態を通じてサビアンシンボルの元型を透かし見ることもできるかもしれません。このワークについての詳しくはこちら。