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テレワークゆり物語 (109)『声を出さない講演』に挑戦した
「声が出ないと、セミナーはできません。延期にしましょう」
セミナー担当者がそういうのは無理はない。
夏風邪をひき喉を傷めてしまった私は、セミナーの前々日になっても声が出ない状況だったのだ。しかも私は、メインの講演者である。
声は出ない。無理すると咳込んでしまう。
ささやくことはできるが、マイクの向こうに届かない。
でも、延期や中止をするのは、申し込んでくださっている方に申し訳ない。
また、今回のことで声が出ない不便さを痛感した。
障がいや病気で声を出せない人はたくさんいる。
「声が出ない」という理由で講演をしなかったら、そういう状況の人は「講演ができない」ということになる。
「延期はしません。声が出なくても講演します。」
また、社長が無茶なこと言い始めた。いつものことだが、今回ばかりは、難しいのではないか。社員の不安が手に取るようにわかった。(オンライン会議だけど)
正直、この時点では、ノーアイデアだった。
さて、どうすれば、この声で講演ができるか。
(1) 超感度の良いマイクを使って「ささやき声」を聞こえるようにする
(2) パワーポイントで自動で読み上げさせる (そんなこと、できるのか?)
(3) 「ささやき声」を普通の声にするボイスチェンジャーを探す(あるのか?)
まず(1)にトライする。本格的なマイクで感度を上げて、できるだけ大きくささやいてみた。相手がイヤホンだと何とか聞こえるようだが、ある社員がスピーカーを耳に当てる姿をみて、ボツ。
(2)については、ロボットのような合成音声はいまいちだし、そもそもやっとことがない。そのとき、ふと、別会社のワイズスタッフで、動画に合成音声を付加する仕事を受けていたことを思い出した。担当者にきいてみると、
「いろいろ調べて、読み上げのいツールを見つけたんですよ。とても自然で、商用利用もできて、2、3万円程度だったと思います」
と、次のソフトを紹介してくれた。
いいじゃないか。セミナーは翌日。(3)のツールも見つからない。
ぐずぐず考えずに、これを使ってやってみよう。
こうしてセミナー前日は、講演の資料作りと、「声を出さずに講演する」方法の試行錯誤の1日だった。
その成果はこちらの動画でご覧いただきたい。百文は一聞にしかず。
(講演は30分だが、抜粋なので3分30秒)
改善点は多々あるものの、なんとか講演を延期せずに実施できた。アンケート結果も意外なことに、とてもよい評価だった。
社員は「田澤さんの声より、聞きやすかった」とまで言う。笑
時間がなくて、細かな調整ができていないが、今回のことで、あらためて、デジタルの力を実感した。
今回実施した手法は以下をご参考。どなたかのお役にたてばうれしい。
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