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テレワークゆり物語 (35)テレワーク人口倍増アクションプラン
「2010年のテレワーカーの就業者人口に占める割合を2割にする」
安倍第一次内閣のもと、2007年5月29日に策定された「テレワーク人口倍増アクションプラン」で、政府ははじめてテレワークの数値目標(KPI)を示してくれた。
やっと国が本腰をいれてテレワークを推進してくれる!
自分なりに動いたことが、隅っことはいえ国の資料に掲載されていることへの喜びと共に、未来への期待でいっぱいだった。
しかし、不安もあった。アクションプランでは、テレワークは以下のように説明されていた。
テレワークは、情報通信技術を活用した場所と時間にとらわれない柔軟な働き方であり、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)を可能とし、多様な就労機会や起業・再チャレンジ機会を創出するものである。
企業のメリットが感じられず、どちらかというと、働く人への福利厚生的な要素が強い。それでは、世の中の働き方は変わらない。
また、テレワーク人口のKPI算出のための「テレワーカー」の定義は、「ITを活用して、場所と時間を自由に使った柔軟な働き方を週8時間以上する人」だ。いわゆる営業職のモバイルワークも該当するし、週1日だけ在宅勤務すれば、立派なテレワーカーだ。
私が思い描いていた「より多くの人が働き続けることができ、企業も生産性を高めるテレワーク」とは、違う。しかし、まずは国が本気でテレワークに取り組むことが重要だ。審判の年である2010年に向けて、自分ができることをやろう。
2008年、企業へのテレワーク導入のコンサルティングを専門とする(株)テレワークマネジメントを設立することにした。その際、国のテレワークを推進担当者に話をしたら、こう言われたた。
「新しい社名にテレワークを入れないほうがいいのでは?」
その理由は、「2010年になったら、国はテレワークの推進に区切りをつけるから」。会社名に入れてしまうと、後で困るのではという、親切心からのアドバイスだった。
ショックだった。国の政策というのは、そういうものなのか。世間の厳しさを感じずにはいられなかった。ええい。「毒を食らわば皿までも」と言うだろう。(いや、意味違うぞ)
2008年8月、(株)テレワークマネジメント 設立。
2009年9月、政権が自民党から民主党へ移行。政権が変わるということは、政策も大きく変わる。「テレワーク」という言葉自体が、徐々に消えていく恐怖を実感した。
審判の年である2010年。テレワーカー率は16.5%。KPIは達成されることなく、テレワーク人口倍増アクションプランは、終わりを迎えた。