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テレワークゆり物語 (47)三度目の首相官邸~安倍総理時代
「田澤さん、総理に会いたいって、言ってましたよね?」
武部新衆議院議員から、電話がかかってきたのは、2013年の年末だった。
その頃、私ははじめての「テレワーク本」の出版の準備に追われていた。ライターをしていたので書籍は11冊ほど出しているが、「テレワーク」の本は始めて。
当時は、テレワークの認知度は低く、どの出版社からもOKをもらえない。クラウドファンディングで資金を集め、出版社の理解と協力のもと、やっとやっと、実現する出版だった。
本の帯には、企業経営者の目を引く、著名人からの推薦文がほしい。
出版社からのリクエストに、いろんな候補を出したが、適任者がいない。
時は、安倍晋三 第2次内閣発足から1年。経営者どころか、国民の注目を一番集めているのは、安倍晋三総理だった。
安倍総理から推薦メッセージをもらえたら、注目されるはず
世間しらずの、怖いものしらずの、とんでもオバサンである。
「安倍総理にお会いするには、どうしたらいいですか?」
とにかく、いろんな人に会うたびに質問やお願いを繰り返した。下手な鉄砲も、数打ちゃ当たるかもしれない。
しかし、全員から「田澤さん、さすがにそれは無理だよ」と、適切なアドバイスをいただいた。
そのひとりだった武部新衆議院議員が、私の無茶な言葉を覚えていて、電話をくださったのだ!!
「おやじが、総理に挨拶にいくので、一緒に行きますか?」
武部新衆議院議員のお父様である武部勤氏(自由民主党第39代幹事長)は、当時は政界を引退されていたとはいえ、安倍総理にとっては、元上司。訪問のアポがとれ、私を連れていってもいいとのと。なんと有難いことだろうか。
行きます、行きます。かばん持ちでも何でもします。
かくして、2013年12月24日、人生三度めの首相官邸への訪問が実現した。
二回めの福田総理訪問のときと同じ、総理との面会室(?)へ。
武部勤氏が、政界引退後に取り組んでおられるモンゴルやベトナムとの交流事業について、総理にお話される。その後、私に話を振ってくださった。
緊張感MAXで、いただいた数分間は「テレワークがいかに必要か」という話を熱く語らせていただいた。その時の様子が冒頭の写真、そして、以下がそのときの資料である。
説明が終わったあと、私はとんでもない行動に出る。
「総理、テレワークの本を出版します。推薦文を書いていただけませんか」
部屋中の空気が固まった。「なんてことを総理に頼むのだ?!」
しかし、安倍総理は冷静だった。
静かに微笑みを浮かべながら、「いいですよ」と一言。
「ありがとうございます!」私は、深々とおじぎをした。
そして、私の三回目の首相官邸訪問が終わった。
その後、本の推薦はどうなったのか? それは、また改めて。
※冒頭の写真は、武部新衆議院議員が撮影くださった。高市大臣への面会のときも、武部勤さんと武部新さんのご配慮で、テレワークを大きく進めることができた。この原稿を書きながら、あらためて、心からお礼を申し上げたい。