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定年まで勤め上げる難しさ①

定年まで勤め上げるという事。
 本当に大変な事だと思う。
男女問わずとして50代くらいから更年期ってやってくる。
 ホルモンバランスが崩れてやる気、気力、体力がドドッと落ちて、あれ??っとなる事は誰しも経験する。
 芸能人のヒロミも最近、告白していたけれど、誰にでも訪れる事だ。
 結婚して、子供が産まれて、がむしゃらに働き、マイホームを買って、やがて、子育てが落ち着き、学費も無事に払った事だし、あとは夫婦の老後のお金を貯めていこうね。
 やっと貯金もできるようになってきたし、管理職の給料で安心して夫婦で旅行行ったり美味しいものを食べれるようになってきた。
 そんな折、それは突然やってきた。
 夫が仕事に行けなくなってしまった。
 53歳。適応障害。鬱病。

仕事のストレスが溜まり、体の不調、精神の不調、全てを誤魔化すための飲酒。やがてアルコール依存症になり。

 近年、評価が下がり上司から認めてもらえず、やる気が下がっていた。
 仕事量は誰よりも多くこなしてるのに、部下にも慕われているのに直属の上司からの評価が低い。ボーナス査定にも響く。直接、面談して聞いてみても「実力があるから、より上を目指せ。」と同じ回答をここ何年も前から言われてきたらしい。
 更に仕事に対する熱意がなくなり、社会人として、やる気を失っていた。それでも会社に行かなければいけない。自分が働かねば。脳が疲れてパンパンになっていたようだ。
 酔って呂律が回らない状態で、私に「俺さえ犠牲になればいいんだ。家族は必ず守るから。」そんな言葉を繰り返し発して眠りに落ちたりしていた。
 そんな夫を側で見てて妻の私は当然心配していたが、生活を考えると「それでも今は頑張って欲しい」とはっぱをかけるしかなかった。
 定年までは、あともう少し!なんとか!
「そんなに辛いなら休んで良いよ。」の一言は絶対に言えなかった。ただ、今のうちに転職に関する知識を得よう。きちんと計画立てて資金を準備して独立したいなら事業計画を立てていこうとは言っていた。そう。夫は合同会社を作って独立したいと言っていた。

そして夫はある日、限界値に達して、パタリと仕事に行けなくなった。朝起きて、会社に行かなくなった。

 実はその日からもう5ヶ月ほど経過している。2024、7月から今も休職中である。
 溜まっていた有給、傷病手当などで、細々と収入として入ってくるお金はあるが今までの稼ぎには到底及ばない。
 娘達は社会人になったといっても新築の駅近に家を買い替えた我が家。まだ7年しか住んでない。まだまだ組み替えたローンはたくさん残っている。私はずっと扶養内で働いてきた。夫の太い収入に甘えていた。

そんな折の休職、突入。
家にいる夫の姿に戸惑いながらも、支えてきた。
 そして、最近、50代半ばの夫の転職活動がようやく始まった。重い腰が上がってきたのである。エージェンシーの、力を借りつつ条件の良さそうな会社を見つけて応募するも、面接にすら辿り着けない。立て続けに二社落ちた。年齢的に難しい。
 わかっていた事である。
 この長い休職期間、もちろん定期的に精神科に通ってはいるが、お酒は一滴も飲んでいない。大好きな釣りに行ったりジムに入会して体を鍛えたり、好きなDIYをしたり、突然3Dプリンターを買って自室で籠って作品を製作したり。

好きなように過ごしてきた。
人間、心身ともに元気を取り戻してくると、セロトニンも増えて、暇を持て余し、遊びもいいけどそろそろ働かねばならぬ。また、働きたい。という気持ちが自然と湧いてくるもの。
そして現実が見えてくると、いうもの。

 そろそろ妻の私ももう我慢してきたストレスを夫にぶつけてしまう時期にもなった。
 この世から消えてしまいたいと言っていた当時は、何かあったらいけないと、腫れ物扱いしてきた。しかし、最近はとても元気だ。ご飯もたくさん食べてよく寝てる。もうそろそろ良いでしょう。というところまで回復している。(これだけ自由に過ごしたのは学生ぶりであろう。)

今までの経験を活かす事が最善なのだからと私が提言しても、まったく違う業界で好きなことを仕事にしたいと言っていた夫がほんの二社落ちただけで、異業種転職の難しさを悟ったようだ。
 自分で会社を立ち上げるのもリスクが大きすぎることも今はわかったようだ。税金を払うだけでも今の日本は大変である。やはり社会保険は大切だ。

 定年まで、あと7年だった。
でも我慢できなかった。誰もが知るような大手の企業に身を置いていた夫が今後、どうやって再就職できるのか。
 体力に自信はあるけど、元々メンタルはすこぶる弱い夫を、私はこれからも支えていかれるのか。老後の設計はどうなっていくのか。

これらの不安を今、私が唯一話して相談できるのが二人の娘達。 
 割としっかりとした収入を得て安定した生活を送る娘達。
 今まで絶対的エースだった夫のピンチに、動揺する私に
 
「お母さん。私たち社会人よ.学費も出してもらったんだから親孝行する時が来たのかも。みんなで支え合ってなんとかしていこう!」
 と、頼もしい声を私にかけてくれる。でも、二人はこれからお嫁に行く身。20代を、そろそろ終えようとしている娘達に負担をかけたくない。
 夫も男のプライドでそう思っている。
 …家族のために犠牲になる?
そんな悲しい人生を送ってほしくないのに今の日本は我慢が美徳になり.サラリーマンの無表情が詰め込まれた満員電車が、毎日走る。
 なんとか定年まで頑張ろう。やった!頑張った!そして今度は再雇用。
 そこで結局、給料はガタ落ち。一体何歳まで働くのか。
(私の父が58歳で胃がんになり定年を目の前にして退職。60歳で亡くなった.老後の楽しみも何もなかった。)定年まで働くことの難しさ。
 定年してもなお、働かされる今の日本。

そう考えて皆、サラリーマンは無気力になる。
 男の人が家庭を背負う重圧はいかばかりだろう。
 もう好きなことして過ごして良いよ!と言えたらどんなにか。
 

来年、どんな年になるだろう。まだまだ我が家の迷走は続きます…

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