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「主役のいない祝いの席」2024/03/13(水)の日記


・WOW!コロッケトチーズヲノセタダケノカンソナカレー!

・ウマイ!


・母親の誕生日。

・倒れた日以来、今日も今日とて話もできなければ、もちろん起き上がることもできない。その姿を見るたびに祖父の「代わってやりたい」という絞り出すような声が脳にチラつく。もちろんそんなにすぐに回復するなど思っていなかったが、身近にこんなにも文字通り「寝たきり」を丸々そのまま具現化したような現実が横たわっているところを目の当たりにするとは、予想できなかったししたくもなかった。

・とてもつらい、苦しい、そういう感情を超越する瞬間がやって来ないのは、普段通りの母親が戻ってくるまでは、現状が少しでも良くなっていることを肯定したくない自分がいるのか、何か話したそうにしているのに未だ一言も話すことができず、ほんの少し口を動かすことができても、それをさも全身が痛いとでも言うように顔を顰めているのが何より本人が苦しんでいるのを具体的に手にとるように見ることができるからなのか、分からない。分からないが、どちらかと言うより、どちらでもあるような気がしてならない。

・脳梗塞になった人がどれほどの確率で健常者と違わない生活を送れるまでに回復できるようになるのか、身近にいなかったので微塵も知る由はないのだが、こんなにも苦しいとは。母親自身は祖母が鬱病になってほぼ寝たきりになった時を知っているし、それを介護していたのだから本人のどうしようもないつらさを目の当たりにして、痛いほどにどうしようもなさを感じただろう。

・まさか誕生日を私と同じく病院のベッドの上で過ごす日々が来てしまうとは、我々も本人も、あるいは神ですら予想できなかったかもしれない。祝っていいのか分からないが、まあ祝われるのが嫌いな人ではなかったから祝ってもいいだろうと勝手に思っている。少なくとも、本人に許諾を得ることなく好き勝手にクリスマスイベントみたいなことを半ば強制的に行なっていた病院サイドよりは咎められることはないだろうという自負はある。


・祝いの席なので寿司。父親がだいぶ食べてしまっている。

・点滴しか摂っていない母親が一番食べたいだろうにと言う気持ちを噛み殺しながら。

・スパゲティ。なんか少ないとお思い?確かにそうだね。

・だがまだピザもあるんだ。このほかにも張り切り過ぎた父親が買ってきた唐揚げやらなんやらがわんさかあるのだが、バンド練習を終えて帰ってきて、父親にだいぶ食われた晩ごはんのなかでも、寿司以外は全く手をつけられていなかった。なんたる所業。

・これが家族3人ならもう少しは減っていただろうに。そんなことを考えてしまうようになってしまった。独り占めすんなと怒られそうだ。

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