まるっくす
何にも考えていなかった。
昨日我々夫婦は
犬を買った。
ことのはじまりは
旦那が今週ずっと私の家にいたこと。
(私たちは週末婚。家は別々。)
旦那が仕事を1週間も休むなんて
よっぽどの事態だ。
彼はお盆前くらいから
少しずーつ体調を崩していて、
無理をして誤魔化し続けた結果
胃が悲鳴をあげたようだ。
あんなに病院行けって言った私の声は届かず、
お盆が終わり帰って行ったかと思いきや
次の日に私の家に引き返してきて
言葉数少なく
「しばらくやすむ」と言った。
それから1週間、本当にずーっと寝ていた。
冬眠したかのように半日以上寝倒した。
朝も昼も夜も。
私は少しだけ嬉しかった。
ああ、休もうって思えるようになったんだなーと。安心した。
いつもいつも不安感が消えなさそうな彼が
体調が悪いという理由で休めるようになった。
大きな成長である。
そんな彼の胃も調子を取り戻し、明日うちに帰ると言ったので、2人でお出かけをした。
私は定期的に犬を触りたい衝動にかられるので
いつものようにペットショップにふらりと立ち寄ったら、夏のセールと称して
他の子犬よりひとまわり大きくなった白い犬が
10000円と書かれていた。
何かの間違い?
旦那が私に言った。
俺の見間違い?
いちまんえん。犬が。
セールって言葉を使われて。いちまんえん。
まあそんなこともあるんだろう。
人間って嫌なもんだな。と思いながら
周りの小さい子犬を見渡したが
妙に大きめの子犬が旦那も気になっていることが雰囲気でわかった。
小さい子犬とは別に
大きくなってしまった子用みたいな
別の箱に入れられた白いもこもこのそいつ。
私たちがのぞいたら、ぴょんぴょん跳ねる。
犬くさい。久しぶりの犬くささMAX堪能。
抱っこしてもいいですか?って店員さんに声をかけ、さあて、バタバタするかなと思ったら、奴は30分くらいずーっと私たちに抱かれ、嫌そうにもせず、ぼーっとしてるんだか
されるがままだった。
旦那のこねくりまわしにも動じず
なんなら膝に座り込んでお腹を触らせる。
なんだこれ?
今まで旦那に何回も犬欲しいとおねだりされてはいたが、死んでしまうのがつらいからダメといってお断りしてきた。
だけど、旦那とそいつを見ていたら、なんだか
飼ってあげないといけない気持ちになった。
今思い返してもその時の気持ちはよくわからない。
とりあえず白いそいつとは一旦バイバイして
私たちは家に帰ってお昼寝をしようと離れた
「わん!わん!わん!」
白いそいつは箱の中で3回鳴いた。
「この子、吠えるみたいですね(驚)」
店員さんも初めて聞いたらしい。
動物は大変だし、先に死ぬ。
耐えられる?なんて話をしながら
結局私も気になる
いちまんえんになったあいつ。
17時まで考えて欲しかったら買おう。
だけど、家が建つまでの半年くらい
どこで飼う??
あては実家しかない。
でもお母さんは、前に飼っていた犬が亡くなってから動物には反対していた。
今回もそれは分かりきっていたが、
私は母もきっとペットは欲しいだろうと思っていた。
だけど、看取るのがつらい。
なんたって、さいごがつらい。心から。
私にもそんなことくらい分かる。
最後まで一緒にいた人間が1番つらい。
最後に付き合ったお母さんが反対するのは当たり前だ。
だけど、きっと大丈夫だろうと
なんとなく思った。
「見るだけタダだからさ、いこ!」とラインで
ごり押しし、母と旦那と3人でまた
白いそいつを見に行った。
相変わらずそいつは抱っこを嫌がらず
かわるがわる触られてもぼーっとし、
最終的に旦那の膝でこねくりまわされていた。
私と母は何回もアイコンタクトした。
「しかたない」
母の目は言っていた。
そのくらい旦那と白いそいつは
なんかよく分からない雰囲気を出していた。
「うちにくるのか、おまえ。よろしくね」
わしゃわしゃ撫でながら
お母さんはそいつに言った。
そうして、昨日犬を買った。
諸々の手続きがあるからうちに来るのは今度の日曜日。
私は今日も会いたくなって、妹とめいっこと
白いそいつに会ってきた。
どんくさそうなそいつは妹とめいっこにも
なすがままにされていた。
早くうちに連れて帰りたい。