【SS】日本昔ばなし

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました

ある日おじいさんが山へ山菜を取りに行っていると、罠にかかった鶴がいました

「おやおや、痛かっただろう、今助けてあげるからね」

そうしておじいさんは、鶴の罠を外してあげると、鶴はおじいさんに感謝をして去っていきました。





昔々、あるところに、貧しいおじいさんとおばあさんがいました

おじいさんは今日食べるものだけでも、と山へ食糧を探しに行っていました

「今日は何も採れなかった…せめて…あの罠にさえ動物がかかってれば…」

そう言ったおじいさんは、今朝仕掛けた罠を見に行きました

「え…?そんな…そんな…」

なんと、今朝仕掛けたおじいさんの罠は、何者かによって外されていたのです

「そんな…これじゃ今日の食べ物がないじゃないか…誰がこんなことを…」

うなだれたおじいさんは、山から降りて、海岸をとぼとぼと歩いていました

すると、1匹の亀が歩いていました

「背に腹は変えられない…あの亀を捕まえて、持って帰るしかない…」

そうして亀を捕まえようとしていると、1人の青年にこう言われました


「おい!亀をいじめるな!可哀想だろ!」


おじいさんは慌てて逃げました。


「ツイてないなあ、仕方ない…ばあさんからもらったおにぎりでもたべるとしよう…」

そうするとスルッと、手元からおにぎりが落ちてしまいました。

「ああ、せっかくばあさんからもらったおにぎり、追いかけなくては」

おじいさんは必死でおにぎりを追いかけました

するとおにぎりは、先にあった穴へ落ちてしまいました

穴に落ちたおにぎりは、普通に考えて食べれないので取ろうとはしませんでした。

そうしておじいさんは少しばかりの山菜を採り、歩いて帰りました

その間、黄金に光る竹、寒そうなお地蔵さん、さまざまな不思議なものを見ました。

「こんな貴重な竹、切るわけにはいかないし、お地蔵さんは可哀想だけど、渡すものがないなあ…」

心優しいおじいさんは、自分の不甲斐なさを痛感しました

渡ろうとした橋には、「このはし、わたるべからず」と書いてあり、渡ることができませんでした。

「今日はなんだかツイてないなあ」

おじいさんは、自分のことが嫌いになってしまいそうでした

「ばあさんや、ごめんな、今日は食べ物を全然持って帰ることができなかった」

「おじいさん、何を今更、大丈夫ですよ、私は貧しくても、心優しいあなたと一緒にいれることが幸せだと思っているから、あなたを選んだのですよ」

おじいさんは、おばあさんに感謝をしました

劇的な物語にはならないかもしれない、自分のことを嫌いになるかもしれない、でも、愛する人と一緒にいて、その人を大切にしたいと思いあっている2人の物語は、決して悪いものではありませんでした。

それからも、おじいさんとおばあさんは仲良く2人で幸せに暮らしました

いつか必ず報われる、その日々を信じて

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