税務行政
皆さん、こんにちは。
税理士ラベンダーです。
先日「X」で、今話題の「定額減税制度」について、炎上案件がありました。
「この制度を導入したのは、税理士及び税務署など一部の国民の利権があるからだ」とポストをした人がいて、一時「税理士の利権」とトレンドにも上がっていました。
そのポストをした人は、国民民主党の支部長という人でした。
まだ衆議院議員ではありませんが、東大卒の元東大講師などを務めた旧民主党党首のご子息、いわゆる2世です。
その後、謝罪→撤回があり、炎上は収まりました。
しかし、学歴などは立派でも、税務行政を全く理解していない人が、これから政治の世界を担っていくであろうことに強い不安を感じました。
一見すると、国民寄りの発言をしているようにも取れます。ですが、的外れ感も否めません。
また、そもそも「税務行政」を理解していない人が多いのも、事実です。
そこで、今回は少し堅苦しいタイトルですが、私たちが納めた税金についての「税務行政」についてお話したいと思います。
1.税務行政
まず、税務行政はどのように成り立っているか。
財務省があり、国税庁・国税局、税務署があることは、皆さんなんとなくわかっていると思います。
では、これら機関がどのように機能しているかを、次に簡単に説明していきたいと思います。
2.財務省・国税庁・国税局・税務署
まず、税金のシステム、税法を作っているのはどこだと思いますか?
税制の企画・法制化は「財務省 主税局」及び「国税庁」になります。
また、財務省の外局である「国税庁」は、国税の賦課・徴収をつかさどり、租税制度を執行する実施機関でもあります。
税法改正により、ホームページなどで国民に周知徹底をするのは「国税庁」の仕事になります。
また、税理士の管理運営をしているのも「国税庁」となります。
私たち税理士がなにがしかの不正をすれば、懲戒処分を受けることになります。つまり、首根っこを抑えられていると言ってもいいでしょう。
続いて「国税局」はどのような機関なのでしょうか。
国税庁の指導監督を得て、管轄税務署の指導監督を行うとともに、大規模納税者の賦課徴収を行う機関です。
そして「税務署」は、国税庁・国税局の指導監督を得て、国税の賦課徴収を行う執行機関であり、納税者と密接な行政機関と言えます。
こうして見ると、税務行政は以下の流れに沿って成り立っていることがわかって頂けると思います。
財務省 → 国税庁 → 国税局 → 税務署
しかし、税務署だけでは国民すべての納税義務を、周知徹底し、賦課徴収を行うことが困難なため、税理士が間に入って、税務行政が滞りなく済むことが期待されています。
さて、冒頭にお伝えした「税理士の利権」についてです。
現政権の支持率上昇を期待して導入された「定額減税」ですが、一人4万円の所得減税を、年末調整ではなく、わざわざ月ごとの減税にすることは、企業の経理担当者や税理士の事務負担がとてつもなく増えます。
殆どの場合、その分の報酬を頂くことはなく、事務負担だけが増えます。
また、このような複雑な現行税制は、税理士が作ったものでもありません。
前述したように、「財務省 主計局」及び「国税庁」が企画・立案しているものです。
それを国会で承認・可決しているわけですから、複雑な税制や定額減税制度に異を唱えるのなら、まず現政権に言うべきことです。
税理士に言いがかりをつけるなんて、お角違いもいいところです。
3.税制の在り方
海外の税制を調べてみると、とても簡潔明瞭な税制になっています。
私のような外国人でも、すぐに理解できる仕組みとなっています。
また、税金の使い方についても、グラフや表などで、国民に理解しやすいように工夫されています。
税制というのは、国民すべてにかかわることなので、納税しやすく、使われ方がわかることが重要なのではないかと、思います。
今回は、以上になります。
税理士会でも「税制の簡素化」を提言しています。
複雑な税制は、納税者にとっても我々税理士にとっても、煩雑になり、ミスしかねません。
しかし、残念ながら一向に実現されません。
国民の声を反映していくためにも、選挙が大切であると常々思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
(参考文献)
国税庁ホームページ 「国税庁の概要」
国税庁 Wikipedia
税理士ラベンダー
24.6.22