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「年収の壁」と「キャッチ22」
※お知らせ※
減税新聞では有料記事設定をさせて頂いていますが、筆者のやる気の源であるプリン代になる投げ銭的な意味合いですので、記事は全文最後まで無料でお読みいただけます。
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
昨日の記事では「どちらを選んでも悪い結論になること」を表す
モートンズ・フォーク
という言葉をご紹介しました。
今日はそれによく似た意味を持つ
キャッチ22
という言葉をご紹介します。
「キャッチ22」とは
二つの相反する事柄の板挟みになること
を指す言葉で、一言でいえば「ジレンマ」のことです。
この語源は1961年にアメリカで発表されたジョセフ・ヘラーの小説「Catch-22」から来ています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721195945449-9Q46nLX19A.png)
小説のタイトルにもなっている「キャッチ22」とは「軍隊規則第22条(もちろん架空の軍規です)」のことなのですが、物語ではアメリカ空軍パイロットである主人公が「軍隊規則第22条」にある「精神障害に陥った者は除隊とする」という条文に目を付け、出撃を逃れるために気が狂ったふりをして除隊を申し出ます。
しかし軍は「自分で自分のことを精神障害と判断できるお前の精神は正常だ」と返し、除隊を認めません。
つまり「軍隊規則第22条」では、「私は気が狂ってる」と申告すれば正常な判断が出来るとみなされ除隊は出来ず、逆に本当に発狂した場合でも申告が出来ないからやっぱり除隊は出来ないという条文になっているというわけです。
このことから「キャッチ22」は「ジレンマ」を表す俗語として使われるようになり、その後定着していきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1721196038340-55xnwxeNyG.png?width=1200)
さて、皆さんもここまで読んで日本政府が作り出した「キャッチ22」を思い出したのではないでしょうか。
その「キャッチ22」とは
年収の壁
です。
「年収の壁」とは
企業などに勤め、厚生年金や健康保険に加入している配偶者の扶養に入っている人は、みずから社会保険料を支払わなくても、基礎年金を受給できるほか、保険診療を受けることができます。
ただ、パートなどで働き一定の年収を超えると扶養を外れてみずから保険料を支払う必要があり、手取りが減ることから「年収の壁」と呼ばれています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721196206701-2IcY20dc7r.png?width=1200)
少しでも家計を楽にしようとパートタイムで働きに出ようとする人達に立ちはだかるのが「年収の壁」ですが、その条件を超簡潔に整理してみるとこの様になります。
・100万円の壁→住民税を取られるようになる
・103万円の壁→所得税を取られるようになる
・106万円の壁→扶養から外れ、社会保険を取られるようになる(条件あり)
・130万円の壁→扶養から外れ、社会保険を取られるようになる
・150万円の壁→配偶者特別控除が満額(38万円)とれなくなる
これらの「壁」による収入減は、勤務先の規模や住んでいる地域によって変わるものの、二人世帯で夫の税込年収が500万円のケースの場合、パートに出た妻の年収が所得税を取られる103万を超えた辺りから世帯の手取りは減少し始め、扶養から外れる106万円を超えると社会保険料によって手取り額が24万円も減るという試算もあり、この「働き損」が年収の壁を超えないように労働時間を調整する強力なインセンティブを生み出しています。
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ところが政府は、この壁をそのままにしながら「最低賃金の引上げ」を推進しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1721196410541-60UmpftEHJ.png?width=1200)
説明するまでもありませんが、最低賃金が上がれば当然「年収の壁」に到達するのも早くなります。
そうなればパートで働く人達は、今以上に労働時間を減らす方向に向かいます。
実際に1997年には96.8時間だったパートで働く人の1か月の平均労働時間は、2021年には78.8時間まで減少しています。
一方で過去25年間で約30%上昇してるパートの平均時給とは裏腹に、パートさんの年収の伸びは約5%しか伸びていないという内閣府の調査結果もあり、いかに最低賃金の引き上げと年収の壁が働く人の邪魔をしているかが如実に表れる結果となっています。
また、こうしたパートさんの労働時間の調整は世帯収入への影響だけでなく、当然企業側の「労働力不足」を引き起こします。
そしてその労働力不足は企業のサービスの質の低下の発生に繋がり、それらは「販売機会の損失」などによる売り上げの減少を招いていきます。
しかしその分、106万円とされる「年収の壁」に早く到達することから、配偶者の扶養の範囲内に収めようと労働時間を減らす人が増えているということです。
山梨県中央市の店舗では、毎週木曜の安売りの日には、客が増えるものの従業員の数が足りないためレジを十分に開けられず、稼働できないレジの前には休止中の看板が置かれていました。
また、パンのコーナーでも一日に何回もパンを焼き、焼きたてを提供してきましたが、従業員不足の影響で午後早い時間までにすべて作り終え、夕方以降に焼くのを取りやめざるをえなくなったということです。
売り上げが上がらなければ労働力不足を補う新たな雇用も難しくなりますから、こうしたことがボディーブローのように体力を奪っていき、やがては膝をマットにつき立ちあがれなくなる企業が増えることになるでしょう。
それもこれも全ては、働けば税金や社会保険料を奪って手取りを減らし、労働時間をセーブすれば「もっと収入を増やしてあげる」と最低賃金を引き上げることでますます労働時間のセーブに走らせる政府の「キャッチ22」が原因であることは言うまでもありません。
この解決方法は壁を取り払う事であり、極端な話を言えば例えば自民党議員が収支報告書に不記載でも起訴されない金額を基準に
「年収4000万円までは社保も所得税も住民税も非課税」
とすれば良いだけです。
それによって減収しようが政府が調整をすればいいのであって、国民が調整する必要は1ミリもありません。
それなのに政府は、現在「106万円の壁」で扶養から外れてしまう「被保険者の総数が101人以上の企業」という条件を、今年10月からは「51人以上の企業」に変更するという全く逆のことをやろうとしています。
これは社会保険料の対象者の拡大ですから、事実上の「増税」です。
この増税はますます「キャッチ22」を引き起こし、働き控えの増加による労働力不足に今以上の拍車を掛け、また企業にも社保負担を強いることになるので更に国民生活を疲弊させることになるでしょう。
「2024年問題」といい、政府は「キャッチ22」を作る「大きなお世話」な存在でしかありません。
右肩上がりの国民負担率を見てもわかるように、そんな政府に任せれば任せるほど私たちのお金は奪われていく一方でしょう。
だからこそ大事なことは
「国民の自由を守ること」が政治の役割であること
をみんながもう一度考えることです。
今の政治家に圧倒的に足りないものは
政府とは個人の生活に介入し、規制を作り、国民が稼いだお金を本人の同意なしに押収出来る組織という自覚
です。
しかしそれを理解する政治家は残念ながらこの国にはほぼ皆無です。
ですのでそんな驕った政治家から国民の自由を守ることが我々のやるべきことでしょう。
それを端的に表した言葉が
全ての増税に反対
です。
我々は常に社会保険料の対象拡大も含めた全ての増税に反対していきましょう。
ということで、今日はここまで。
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