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世論がNYの混雑税を無期限延期に追い込む
※お知らせ※
減税新聞では有料記事設定をさせて頂いていますが、筆者のやる気の源であるプリン代になる投げ銭的な意味合いですので、記事は全文最後まで無料でお読みいただけます。
こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
今日はこちらのポストから。
Gov. Kathy Hochul (D-NY) has ordered that NYC’s first-in-the-nation congestion pricing plan — set to take effect later this month — be paused indefinitely.
— The Recount (@therecount) June 5, 2024
“Implementing the planned congestion pricing system risks too many unintended consequences for New Yorkers at this time.” pic.twitter.com/JfxTDNZuNh
こちらはニューヨーク州のキャシー・ホウクル知事(民主党)による
混雑税の無期限延期の発表
を伝える6月初旬のポストです。
このnoteでも過去にお伝えしましたが、ニューヨークでは渋滞緩和を目的とする「混雑税」が6月30日から導入される予定でした。
「混雑税」とは、都市部の指定されたエリアに乗り入れる車に課税する制度で、ニューヨークの場合は橋やトンネルの通行料金とは別に、マンハッタンの最も混雑するエリアに入るほとんどの車両に約15ドル(2300円)を課すという内容でした。
また仮に導入されれば全米初であったために、新たな財源確保のテストケースになるとして他の州や専門家の注目を集めていた政策でもありました
それが導入まで数週間という土壇場になって「混雑税はニューヨーク市民にとって予期せぬ結果を招くリスクが多すぎる」として知事が無期限の延期を決定したというのが冒頭のポストとなります。
ではどうしてすでに混雑税の徴収システムの整備等に数億ドルもの予算を投じ、導入を目前としたこのタイミングで知事は「無期限の延期」に踏み切ったのでしょう?
その答えは「世論」です。
「混雑税」は2019年のアンドリュー・クオモ州知事(民主党)時代に可決された増税法案であり、その後任である同じ民主党のホウクル知事もその導入には積極的に賛成していました。
しかし2年前の州議会選挙において、有権者は民主党ではなく共和党に過半数の議席を与えました。
また今年秋の下院選挙でも、世論調査では民主党に「NO」を突き付けている状況です。
それに加えてニューヨークの6割の有権者が混雑税導入に反対しており、そうした世論の圧力はこの政策を見直させるには十分のインセンティブを生み出したようです。
ということで、その政治的背景について書かれた冒頭の発表の2日前の報道をご紹介しましょう。
Hochul considering congestion pricing delay amid concerns from Democratic leaders https://t.co/gV4Y9I9r8N
— POLITICO (@politico) June 5, 2024
民主党幹部の懸念を受けホウクル知事が混雑税の延期を検討へ
ニューヨーク州のキャシー・ホウクル州知事は、今年の下院選挙で民主党が不利となることを懸念し、同州の混雑税の延期することを検討していると関係者が匿名を条件に明らかにした。
関係者によると、民主党のホウクル知事とその側近は、今年の州議会選挙で共和党から過半数を取り戻すことを切望しているが、そのためにも物議を醸している混雑税について懸念を示し始めたという。
日中にマンハッタンの指定区域に入る多くのドライバーに15ドルを課す混雑税は、その導入によって年間約10億ドル(1600億円)の税収があるとニューヨーク都市圏交通公社(MTA)によって試算されており、それらは公共交通インフラの建設と補修のための150億ドル(2.3兆円)の財源に充てられる予定だった。
この混雑税は、2019年に当時のアンドリュー・クオモ知事時代に可決された増税法案だが、それから5年が経過した今でも多くの市民の反感を買っており、4月の世論調査ではニューヨーク州の有権者の約63%が反対と答え、賛成したのはわずか25%だった。
またドナルド・トランプ前大統領はこの増税を激しく非難しており、大統領に復帰した最初の週にはこれを「廃止する」と発言していた。
以上のようにこうしたリークがあり、その通りに混雑税は数日後に無期限延期をなったわけですが、まさしくこの件は「政治は数」を表す一例でしょう。
昨年の6月にホウクル知事は「混雑税による交通量の削減は、大気環境の改善に繋がる」「世界を見れば、混雑税を取り入れて成功した例がある」とその必要性を強調していました。
それが選挙が危ないとなれば手のひら返して
「混雑税が導入されれば通勤者は在宅勤務に戻り、現在20%の空室率となっているマンハッタンのオフィスをさらに空っぽにしてしまう」
と反対するのですから、増税の根拠はそれを正当化するためだけの屁理屈でしかないと改めて思うと同時に、政治家は票になびく非常に単純で分かりやすい生き物であることを再認識したのも私だけではないでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1721797190905-qwIBF5LQbB.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1721797268686-wIQckoU1UA.jpg)
このような生き物だからこそ私たちは政治家を救世主として崇めるのではなく、票で殴ることで「選挙に負ける」という危機感を政治家に持たせてこちらの要求である増税の阻止や減税を飲ませるべきなのです。
実際に「増税メガネ」という批判は防衛増税やサラリーマン増税を阻止し、ショボいながらも定額減税を引き出しました。
政府を動かすのに必要なのは政策論や経済論ではありません。
「世論」です。
“減税運動は政策議論ではなく政治運動です。
— 七篠ひとり編集長@その補助金は誰が払うの? (@w4rZ1NTzltBKRwQ) September 19, 2023
その方法として、利権業界がやっているのと同じように「減税しろ」と政治家に言い続け、「しないなら投票しません。落選してください」と言い続けているのです。”
政治に経済論はいらない|減税新聞(N) https://t.co/S1ECM4YxK2
ニューヨークの混雑税を止めたのも6割が反対という世論調査と、民主党の議席を削るという選挙結果でした。
日本は野党が対立軸を作らずに逃げ腰なので難しい点があるのは百も承知ですが、それでも自民党の票や支持率を削ることは次の減税を引き出すためには大切です。
政策は選ぶものではなく作らせるものです。
![](https://assets.st-note.com/img/1721797637693-FWEcuuUpAn.png?width=1200)
全ての増税に反対し、世論で減税を飲ませていきましょう。
ということで、今日はここまで。
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それでは、ナイス減税!
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