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北朝鮮の闇市は富と個人主義を生んだ
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こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。
今日はこちらのポストから。
Jangmadang Marketization in North Korea https://t.co/h9dfD6sDJ8
— Dr. Mark P. Barry (@DrMarkPBarry) October 6, 2021
こちらは
北朝鮮におけるジャンマダンの市場化
という記事を紹介するポストです。
北朝鮮はキム一族の長年にわたる支配により、国民に対する厳しい監視や思想統制が行われていることで知られています。
しかしそんな北朝鮮でも「自由の芽」は存在しています。
それが「ジャンマダン」と呼ばれる半合法的な「闇市」です。
北朝鮮社会を統治するシステムだった配給制度が崩壊した時、人々は生き抜くために「ジャンマダン(闇市)」を作りだしましたが、それは命を救うだけではなく、多くの富も生み出しました。
これは「富」は政府権力によるトップダウンではなく、人々が持つニーズと努力によってもたらされるという実例です。
「自由」とはかけ離れている北朝鮮からでも学ぶべきことはあるということを考えながら、記事を読んでみましょう。
北朝鮮初の民間市場は、大飢饉「苦難の行軍」を人々が生き抜くための手段として生まれ、発展した。
ソ連の崩壊後、ただでさえ金正日による軍事への過剰支出によって悲惨な状況に陥っていた食料や衣類や生活必需品の公共配給制度(PDS)だったが、1994年、95年に発生した大洪水は追い打ちをかけるように150万トンの穀物を奪い去り、国の電力の85%を停止させるのに十分なインフラを破壊してしまった。
これによりPDSは一気に崩壊。
1日450グラムだった食糧配給はわずか128グラムに削減され、さらには北朝鮮の人口の約6%にしか供給できない状況となってしまった。
その結果、1994年から1998年にかけて壊滅的な飢きんが発生し、推定60万人から100万人が死亡したとされている。
そのため北朝鮮の人々は、今日を生きるために穀物や野菜や日用品の行商、自家製食品の販売、中国との小規模貿易などを行い始めた。
またこうした行為に対し、北朝鮮政府は条件付きではあるものの黙認をすることを決定した。
こうして北朝鮮に誕生したのが「ジャンマダン」だった。
この新しい市場システムは、北朝鮮の人々に利益と消費主義(大量生産・大量消費に基づいた考え方)という新しい概念をもたらした。
多くの人々が市場に群がり、それはやがて政府公認の「小さな市場」から「大規模な闇市」へと拡大していった。
PDSなどの国家による支援が消滅し続ける中、ジャンマダンは進化し拡大していったのだ。
商人たちはより高い利益を求め、独自のネットワークを作った。
また、流行のファッション、テクノロジー、メディア、コーヒー、ビール、チョコレート、コカコーラなどの人気があり利益の高い外国商品を持ち込むために密輸業者を雇った。
商人の中には、事業の株式を売り始める者もいた。
これにより多くの北朝鮮人は、お金があれば欲しいものは何でも買えることを理解した。
しかししばらくすると金正日政権はジャンマダンを規制し、禁止する動きを始めた。
2005年には一部の食料品の取引を禁止。
2008年には商人の年齢制限を設け、2009年には商人たちの私有財産の価値を破壊し、市場を閉鎖するために外貨の禁止と自国通貨の切り下げを行った。
一方で金正恩体制ではジャンマダンに対する多くの規制を撤廃し、容認する動きを取った。
民間市場は私有財産を禁じる政権の原則には反するが、国ではなく市場が価格を設定することを認め、しぶしぶジャンマダンを承認したのだ。
そのため今日でもジャンマダンは半合法的な存在として営業しており、一部では「灰色の市場」と呼ばれている。
2018年2月現在、 少なくとも482の市場が政権に公式に認められているが、外国からの輸入と無申告の販売は法律で禁止されている。
しかし政府はジャンマダンでの「闇取引」を黙認しており、それを止めることはほとんど不可能だということも認識している。
さらに政府はこれらの闇市が国民にとって不可欠であると理解しているだけでなく、自らもジャンマダンから利益を得ている。
例えば北朝鮮当局は露店商から「露店税」を徴収している。
また当局は日常的に密輸の手助けをし、市場での出店料を支払うために露店商に電子カードを発行している。
そのうえジャンマダンでは当局者の妻が働いていることも多い。
今日、ジャンマダンは北朝鮮国民の経済生活において中心的な役割を果たすまでに成長した。
2015年時点で、16歳以上の北朝鮮国民の83%がジャンマダンに関係していると推定され、平均して毎日約1万人が利用しているとされている。
またジャンマダンは国民の生活基盤として機能することに加えて、お金を貸したり両替を行う金融機能や、求人などを行う職業紹介業、運送や清掃など様々なサービス業を生み出し、国民生活の向上のための重要な機会も提供している側面があることも見逃してはならない。
長くなるのでこの辺にしておきますが、北朝鮮は近くて遠い国だけあって多くの人はこのような事実を知らなかったのではないでしょうか。
余談ですが大飢饉やジャンマダンが出来た時期に幼年期を過ごした人たちのことを北朝鮮では「市場(ジャンマダン)世代」と呼んでいます。
彼らは幼い頃に北朝鮮政府が提供してきた配給制度の崩壊と、それによる餓死、そして闇市で働き必死で生き抜こうとする大人の姿を目の当たりにしてきたので、「国家は頼るものではない」という古い世代とは全く異なる価値観を持っている人が多いことが特徴です。
例えば国営テレビや学校でどれだけ「偉大なる将軍様」と繰り返しても、彼らは礼賛するふりはするものの、その心の中には忠誠心を全く持つことはありません。
そのためそうした世代は「花よりパン(金日成の銅像に捧げる花よりパンを買うことを優先するという意味)」と揶揄されてもいますが、強烈な全体主義社会の北朝鮮において、闇市が個人主義世代を作り出したという事実は非常に興味深い話だと思います。
日本でも昨今の物価高により、真綿で首を締めるがごとく国民生活はじわじわと追い込まれつつあります。
しかしそうした状況でありながら、やると決めた103万の壁やガソリン減税に対し、その協議を再開するかしないかで40日間以上も浪費するのがこの国の政治です。
そろそろ私達も「国家は頼るものではない」という事実に気付くべきでしょう。
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「自由」とはかけ離れている北朝鮮からでも学ぶべきことはある。
この言葉をもう一度書いて、今日の記事は終わりにしましょう。
ということで、今日はここまで。
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