見出し画像

ガソリン減税の行方

※お知らせ※
減税新聞では有料記事設定をさせて頂いていますが、筆者のやる気の源であるプリン代になる投げ銭的な意味合いですので、記事は全文最後まで無料でお読みいただけます。

こんにちわこんばんわ。
全ての増税に反対し、全ての減税に賛成する自由人、七篠ひとり(@w4rZ1NTzltBKRwQ)です。

今日はこちらのポストから。

立憲民主党が約束通りに「ガソリンの暫定税率廃止」を含む法案を衆議院に提出しました。

とはいえ日本維新の会が「中身ゼロ」の社会保険料引き下げによって予算案に賛成するという報道が出てきたので、もしそれが事実なら与党はガソリン減税を無理に飲む必要がなくなったので、この法案も特に意味を持たないものとなります。

そのことは早速「ガソリン減税の先送りを与党が提示」という話も出てきたことからも明白でしょう。

しかしながらリクエストも頂きましたし、良い機会ですので立憲が出した「議員立法」についての解説をしながら「ガソリン減税の行方」について書いてみようと思います。

その前にまずこの立憲民主党の出した法案を覗いてみましょう。

⑤はほぼ増税の検討なので論外として、①~④を簡単に見てみると

①防衛増税の中止←いいね
②ガソリンの暫定税率廃止←いいね
③租特透明化法の強化←政策減税を受けてる法人を公開しろというものだから法人税増税の布石。当然反対
④納税者権利憲章の制定←いいね

という感じになります。

特に④を簡単に説明しておくと、「納税者権利憲章」とは「政府から納税者の人権を守る憲章」のことで、例えば事前通知なしの税務署の突然の税務調査などの人権を軽視した税務行政を禁止するものです。

驚くことに日本にはこの「納税者権利憲章」がありません。

したがってその法律を作れと言うのがこの4番となるのでぜひ議論を進めて頂きたいところです。

さて、今回は立憲民主党がこのような法案を作り国会に提出したわけですが、こうした議員が作る法案のことを「議員立法」と言います。

一方で政府が提出した法案のことを「閣法」と言います。

この議員立法については、乱発を防ぐために衆議院では20人以上、参議院では10人以上の賛成者が必要(減税などの予算を伴う法律案については衆議院では50人以上、参議院では20人以上必要)というハードルが設けられていて誰でも出せるわけではありません。

例えば立憲民主党は衆議院で148議席を持っているので、今回のような予算に関係する減税法案を単独で出せますが、国民民主党は28議席なので単独では出せません。

したがってこれまで国民民主党が提出してきた「トリガー条項法案」などはあくまでも政府にトリガー条項凍結解除に向けた具体的な手順を定めてねとお願いする「プログラム法案」であり、直接的な減税法案ではありません。

では人数さえ揃えばそれで良いのかといえば、そう簡単に物事は進みません。

ここであらためて法案成立の流れを説明しますと、まず議員立法が提出されると議院の議長により関係する委員会に付託され各委員会で審議に入ります。

そして委員会での採決が行われ、過半数をもって可決されると本会議に送られます。

その本会議でも採決が行われ、衆参両院の賛成多数をもって法律は成立し施行されるという流れになっています。

ところが各委員会では「閣法」の審議が優先という「永田町のお作法」があるので、議員立法は全ての閣法が審議された後の残り時間で審議されることが普通です。

また政府与党の方針から大きく外れる法案はさらに後回しとされるので提出されてもまず審議されることはなく、時間切れ廃案か良くて継続審議という名の棚ざらしになるのが慣例となっています。

そのことはデータを見ても明らかで、例えば2022年の通常国会では政府提出の閣法は59本中55本が成立したのに対し、議員立法は57本中8本しか成立していません。

しかしこれはあくまでも与党が過半数を占めているからこそ起こることで、現在のように過半数割れをしているとこれまでの慣例が通用しない部分も出てきます。

実際に冒頭の立憲・重徳政調会長のポストでは

来週、所得税法等の修正(ガソリン税を含む)は財務金融委で、地方税法等の修正(軽油引取税を含む)は総務委でそれぞれ審議される予定

とポストしており、これを文字通り読めば立憲の法案が委員会での審議のテーブルに乗るということになります。

そして財務金融委も総務委員会も自公は過半数割れををしていますから、野党が賛成に回れば委員会では可決されることとなります。

そうなれば本会議での暫定税率廃止法案の可決の可能性もあるのですが、一方で予算案はガソリン減税を含まない修正内容で維新の賛成を前提に走っているのでそこにガソリン減税が入る余地はありません。

もちろん年度内成立を捨てて予算案を組み直すか、予算成立後に補正予算を作ることでガソリン減税を入れることは十分可能なのですがそれはあくまでも理論上であり、前例踏襲が染みついた政界でそれが出来るパワーがあるのかは疑問です。

それよりも一番現実的なのは国民民主党の玉木議員が言及していた「シン・トリガー法案」を入れることでしょう。

しかし玉木議員の言っているのは減税ではなく、経産省の予算にある燃料高騰激変緩和措置の1兆円を使って「25.1円のガソリン補助金」を行い、ガソリン価格を暫定税率廃止と同じだけ引き下げながらその間に廃止時期を議論しようというものなので「先延ばし」でしかありません。

されど補助金とは言え一度25円も下がったガソリン価格を再び上げることは世論の反発が必至なので、それを考えれば暫定税率廃止に繋がる可能性はあります。

といっても相手は狡猾な自民党ですから、甘い考えをもって補助金に逃げることなく高いガソリン価格のまま「減税を邪魔したのは自公維新」と言い続ける方が良いと私は思います。

とまあ色々書きましたがガソリン減税の実現が非常に難しくなったことは間違いないでしょう。

とはいえ維新が予算案に賛成するかはまだ正式に決定されたわけでもありませんし、衆議院での予算案採決は3月2日以降になることが濃厚です。

そして来週もまだ自公国協議は行われるでしょうから、我々がやるべきことは

「与党と維新が一緒になってバラマキのために減税の邪魔をした」

という世論を作ることでしょう。

この世論によって圧力を掛けることこそがわずかに残された可能性を広げることになると思います。

ガソリン減税の行方については「まだ諦めるのは早い」ということで今日はここまで。

お知らせです。
SUZURIにて電子書籍を販売中です。
詳しくはこちらから。

更新の励みになりますので、ナイス減税!と思った人はスキ、コメント、サポートお願いします(・ω・。)

それでは、ナイス減税!

ここから先は

0字

¥ 300

温かいサポートありがとうございます! 頂いたサポート代は、書籍の購入などに使用し減税活動に還元させていただきます。