10. 自分のチームの目標、目指すところを自分で立てて言語化して発する
前回、「自分や自分のチームの目標、目指すところを自分の言葉で語る」を実践する」というテーマで最近の取り組みを1つ文書化させていただきました。
今回は、もう一つ取り組んでいる施策をご紹介させていただきます。今回は、「もし自分がリーダー的役割だったならば、周りのメンバーにどうよい影響を与えていくことができるか?」とうことを理解、体現していくための取り組みです。
仮想的に今の役割の1つ上の役割の目線にたって、自分で目標を立てる機会を作る
普段の自分の役割でお仕事をしていると結構目線が狭くなりつつ、限られた部分で物事を見がちになってしまいますよね。自分たちの役割を日々こなして着実に成果を上げていくことは大切なことなので、それが悪いわけではないですが、そこにだけフォーカスしていると、自分がなぜそれをやっているのか?何を目指しているのかという広い視点での大切なものが欠如してしまいがちです。たまには立ち止まって落ち着いて一歩引いた目線で全体を眺めてみると見えてくるものや、普段のモヤモヤすることに答えが見いだせたりするように思います。
また、「次世代のリーダーを育てよう」という試みをするにあたって、リーダーとして大切なのは「指し示すこと」だと思うのです。想いを語ってメンバーがモチベーション高く役割を全うできるように率いていき、全体が結果に結びつけるようにすることです。ただ、こういう部分は、「目線を高くしないとだめだ」といってもそう簡単に高くなるものでもありません。普段日本語で生活してるのに、「英語ができなきゃだめだ」といってもすぐにできるようにはなりませんから。
そのために考えたのが、「そういう目線で考える時間をあえて作り、実際にやってみること」です。まずは体験からでも、その役割をやってみて感じるところは多いはずだし、実務から遠くかけ離れたものでなければ、そこで得られた示唆で改めて自分たちの役割や求められることが認識できるのだと思うのです。こういう機会を何度も得てトライしてを繰り返すことが大切だと思うのです。なかなか教科書だけでは理解できない、できるようにならないことを実際に体験してみることでクリアしようという試みです。
目標の連鎖、構造を理解し、期待値を整理する
自分のチームの目標を考えた場合、以下のような構造で考える必要があります。
自分たちのチームの目標は、直接的/間接的かはありますが、最終的には会社や組織全体の方針目標ミッションにつながっていくはずです。その最終的な向かうべきところを全体で目指していくわけですが、それを1つずつブレークダウンしていくと、自分たちのチームや組織が果たすべき役割/期待値は、その組織のステークホルダーの人たち/チームからの期待値から構成されれて連鎖されていることになるはずです。
更に、今のチームや周りの状況のGood/Moreな部分、課題提起の部分があり、更にはチームのリーダーとして「このチームをどうしていきたいのか?何をなし得たいのか?」という思いがあります。チームのリーダーはメンバーを率いていく存在、そのリーダーが指し示す思いもチームの方向性を決めるためには大切な要素です。
これらの期待値と、現在の状況と課題、リーダーの想いが合わせられてそのチームとしての目指すものが出来上がるはずで、これであれば、自分たちの日常の成果を精一杯頑張ることが全体の成長に連鎖していくことになるわkです。
周りの人たちの期待値を自分で収集し、肌で感じてみる
いつもの自分の役割よりも1つ上段の役割になったつもりで自分のチームの目標を立てるとなると、いつも接する人と違う人達と議論をすることになるはずです。いつもはチームリーダーにお任せお願いしていた周りの人達との調整役を自分でやってみると、いつもとは違う緊張感が生まれるのではないでしょうか。また、周りの人達からの期待値を直接的に聞いて理解することで、今までは感じられなかった細かいニュアンスやその人の想い、感情に触れることができる機会になるはずです。今までなんとなく聞いていた組織の目標が、どういう想いでそういう形や言語化になったのか?
また、普段接していない人たちから自分への期待を聞いてみると、普段は感じられないようなものもあったりします。そんなふうに見られていたのか?、そんなふうに期待してくれていたのか?など、普段だとなかなか伝わってこない自分や自分たちへの想いも感じ取れる機会になると思います。
そういう場を経験することで、普段あまり考えない領域のことを考えてみる機会にしつつ、普段はあまり聞くことがない周りの人達からの期待値を知ることで、より一層自分たちの役割や置かれている立場が理解できるようになるのではないでしょうか。そういうものを感じ取って自分の中の力にしていけることが、人を成長させるのではないでしょうか。
期待値をヒアリングし、以下のようなシートを完成させてみましょう。
下のシートは関係者は3人になっていますが、3人である必要はありません、自分の組織の状況に合わせて調整してみるといいでしょう。自分のチームに直接的に関係する人々の期待値を集め、その内容を整理しましょう。
周囲の期待値を整理し、自分個人の目標を今一度整理する
チームの状況を洗い出す前に、先程の期待値を再整理し、以下のようなシートの左上に言語化したものを書き出してみましょう。
また、右上に、リーダーとしての自分の想いや目標を整理してみます。will/can/mustを実施してればその時の内容を再度思い起こして再整理して書き出してみます。もしwill/can/mustの実施ができていない場合には、自分自身の個人目標や目指す姿を思い浮かべて右上の項目を埋めてみます。
チームの目標を立てるのに、リーダーの意思や考え方も大事な要素になるはずです。
今の自分のチームの状態、課題を書き出してみる
今度は、自分の組織やチームの状態を自分なりに分析してみます。今のチームの状態を思い起こしてみて、良いところ/強み(Good)、いま一歩/弱み/課題(More)、自分が感じているモヤモヤな点(モヤモヤ)を、自分の感じることをそのまま書き出してみます。自分が感じているモヤモヤも正直に書き出してみましょう。そして、以下のようなシートの上半分を埋めていきます。
ここでは、チームの中の状況や自分の普段思っているモヤモヤを出してみることにあります。正直に書き出して一旦整理すると、そこからチームの中の課題が見えてくることもありますし、自分が思っているモヤモヤする感情は、他のメンバーも同じことを思っている可能性は高いです。そういうところに向き合うことで、チームの課題を解決してよりよいチームが作れるのではないかと考えます。
上半分が埋まったら、Good/More/モヤモヤな状況を整理し、「今のチームの状況をまとめると?」の部分に、一言で簡単にまとめてみるとどんな言葉が思い浮かぶでしょうか?書き出してみましょう。
周囲の期待値と現在のチームの状況、リーダーである自分の想いを整理
最後のまとめです。
最初に、自分の組織チームに対する周囲の期待を言語化しました。
次に、リーダーとしての自分の想いや目標を書き出しました。
3つ目に、自分のチームのGood/More/モヤモヤを書き出してチームの状況を言語化してみました。
これらを整理して、チームとしてどこを目指し、何をなすべきか?どうすれば周囲の期待に答えられて、チーム全体で会社や組織の目標達成に貢献できるのか?、その想いをマージします。周りの人たちの期待を理解し、今のチームの状態を自分なりに分析し課題を洗い出し、リーダーとしての自分の方向性も加味して目指すところを言語化してみます。
きれいな言葉でまとめる必要はありません。まずは大切なエッセンスがちゃんと漏れなく含まれていて、自分の意思が感じられる言語化ができていることが重要です。一発で1つの単語に集約させる必要はないので、重要なポイントがちゃんと含まれているかを確認しながらまとめていきましょう。
チームリーダーとして言語化したものを周囲に発表する
リーダーの大事な役割の1つが、メンバーに伝え、みんなを同じ方向に導くことである「指し示すこと」があります。自分で言語化したものを周りに伝えて理解してもらえるか?伝わるかがとても大切です。美しくきれいな言葉よりも想いが伝わる言葉、自分の言葉で自分の想いを表現し周りに語りかけ理解してもらい、同じ方向を向いて頑張れる状態になってもらうことが大切です。メンバーが複数いれば、解釈の仕方も複数通りです。1人1人が納得してくれるように、丁寧に伝わる言葉で話をしていきます。
実際に作成できた目標を、研修の参加者の前で1人ずつ発表していきます。普段人の前で話すことが少ない人もチャレンジしてみましょう。緊張感があり、かつ、普段の自分のリーダーの方々の大変さや辛さも理解できるようになるのではないかと思います。大変さが理解できれば、これから更に一緒に協力してがんばっていこうという思いにもつながっていくのではないでしょうか。
参加者は自分がチームメンバーだと思って聞き、リアルにつっこむ
周りで聞いているメンバーは、自分がチームの一員になった気持ちでその内容を聞き、聞いていて疑問に思ったこと、納得できないこと、感想を発言する場を設けます。チーム目標の発表会的なイメージで、質問を開始するときにも仮想的に「半年前に入社したXXXですが、今のチーム目標に対して疑問があります」的な入り口で、実際の場のシミュレーション的なイメージで実施します。回答が理解できないときにはちゃんとその旨指摘をします。
リアルな設定で目標を聞き、質問し、それに回答するサイクルを繰り返すことで、発表をする方も自分の考えをしっかり考える必要性がでてきますし、緊張感も増します。うまく答えられる必要はないですが、自分の思いで相手を納得させることができなければいけないので、その過程の中で自分の考えもまとまってきます。
最後に
こういう感じで、以下のようなプロセスを経ながら自分のチームの目標を自分で言語化してみるというような機会を作ってみます。言語化を周りに共有し、周りからのフィードバックを得ることで、更に理解を深める/深めなければいけなしし、周りに伝えるために考える機会を得ることで、自分自身でより一段深い理解をする機会となります。
■ 自分で周りのステークホルダーに期待値を聞く
■ ステークホルダーの期待値を整理し、自分の思いも整理する
■ 現在のチーム状況を整理し、課題ややりたいことを整理する
■ すべてを合わせてみて、何をすべきなのかを言語化する
■ 言語化したものを周りに話をして、伝える
■ リアルな質問を受け、回答する
このような擬似的ではありますが、場を作ることで、より考えをシャープにし、自分の中でも理解を深めて、より納得感ある形に落とし込んでいけると、自分たちがやっていることに対しても意義と目的を理解し、業務にも納得感と想いが深まっていくのだと考えています。
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