6.「誰をバスに乗せるか」と「自分で降りれるバスを走らせる」
「誰をバスに乗せるか」とは?
前回の「大切なのはその人の想い」の中で、どういう人を採用するのか、の判断において、「熱い想い」「一緒に長く働きたいと思える人なのか?」を大切にするというお話をしました。組織で成果をおいながら価値貢献をしていくためには一緒に働く「仲間」が何よりも大事なので、一緒に頑張って困難にも立ち向かっていける人と一緒に働けることが大切だと思うからです。
有名なビジネス書である『ビジョナリー・カンパニー2』では、一緒に仕事をする仲間、採用するべき仲間を、「バスに乗せる」という表現をしています。企業や組織、チームがバスで、バスの向かっていくところがバスの進行方向/行き先になり、バスに乗っている人たちが、一緒に目標を追っていく仲間になるという構図です。
多分、バスの中の雰囲気や過ごし方がその組織の考え方だったりするのかなと思います。座っている座席の位置が、普段の組織内の人間関係だったりするのでしょうか?
その「バスに誰を乗せるのか?」
偉大な企業への飛躍をした経営者は、まずはじめに適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、その後にどこに向かうかバスの行き先を決めているという事実から来ている例え話です。そういう部分も含め、「バスに乗る」という表現は結構わかりやすい表現です。
「誰バス」
我々の組織でもこのビジョナリー・カンパニーシリーズの本は推薦図書としてみんなに読まれている本です。いろいろと学び多い本で、偉大になった企業、飛躍をした企業を率いた経営者の行動洞察を分析した書籍です。
このシリーズの中の『ビジョナリー・カンパニー2』では、このバスに誰を乗せるかが大事だということが書かれていて、これを我々は「誰バス」とよんでいます。
この「誰バス」、自分たちがどういう人を選んで自分たちのバスに乗ってもらうのか?一緒にバスに乗る人達はとても大事で、どういう基準で選んでいくのか?を決断していく必要があります。
一緒に乗ってもらったからには、バスに乗って一緒に同じ方向を向いて走り続けられるのか?乗ってしまったバスは目的地に向かって走り続けてしまいますので、その状態でちゃんと目的地まで一緒にいくことができるのか?
一緒に組織を作って価値を創出していくためには、大切な部分で、我々にとって「誰をバスに乗せるのか?」の判断基準で大事なのは、前章でも書いた「その人の熱い想い」「一緒に長く働けるのか?」です。
一緒にバスに乗れる人を探し続ける必要性
チームを構成する上で一番大切な「仲間」、誰を自分たちのバスに乗せて一緒に走っていくか?自分たちがどういう人を選んで自分たちのバスに乗ってもらうのか?非常に重要な問題です。そこに一緒にいる人達の中からしか貢献価値というのは創造されないですから。
やっぱり大切なことは、大変でも妥協をせずに、一緒にバスに乗れる人を探し続けることだと思います。仮に席が空いてしまっていても、安易に人を乗せることをせず、自分たちの大切にすることに共感して一緒に頑張れる人なのかを見極める必要があります。
短期的に、一時的に必要な人数を集めるためにというのはあるかも知れません。ただ、目指すべき方向が違っている人たちに無理やり同じ方向を向いてもらうために必要な労力は大変大きいと思います。また、仮にその状況に満足せずNegativeな空気や発言を出す人であれば、周りのメンバーや環境に与える影響は甚大になります。目指すべき方向が違っている人たちと向き合う労力と時間、仮にバスから降ろさなければいけなくなるようなことを想定すると、やはり安易に妥協することは得策ではないのかもしれません。
自分でバスから降りれる仕組みも大切
「誰バス」の話で、一緒にバスに乗っている人たちはどういう人なのか?「その人の熱い想い」「一緒に長く働けるのか?」を重要視しての決断だったが、やはり実際に一緒にやってみると方向性が違ったり、思いが一致しなかったりということも発生することがあります。また、一緒にやっているうちにずれが発生してくるパターンもあるかもしれません。
「誰バス」の話になると、とかく合わない人をどうやってバスから降ろすのか?的な話になりがちで、『ビジョナリー・カンパニー2』の中でもその部分について記載がされています。
もちろん、いろいろな経緯で一緒に走っていけないのがわかったならばバスから降りてもらう必要があるのかもしれません。合わない人にどうバスを降りてもらうのか?はきちんと対応方法を考えておかなければいけない観点ではあります。
ただ、個人的に思うのは、それと同時に、メンバー自分自身で
「このバスは自分が乗るべきバスなのだろうか?」
「このバスの目的地は、自分がやりたいこと目指すことにつながるのだろうか?」
というようなことを考えられる機会を適切に設け、もし違和感を感じるならば、自分から降りれるようにもすべきなのではないかと思うのです。
実際の路線バスも、ボタンを押せば次のバス停で止まってくれますが、そのように、自分の将来に向き合ったときに、必要とあらば自らの意思で決断してバスを降りられるようにしておくべきなのだと思います。むしろ、自分に向き合い、自分の道を自分で選択してバスを降りるという決断ができるのであれば、それは応援してあげるべきことなのだと思うのです。
大切なメンバーがバスを降りないようにするために
メンバー1人1人が自分の人生や想いに向き合い、自分で決断していくことは大切なことですが、一緒に頑張る大切な「仲間」がどんどんバスから降りてしまうのも問題です。
自分たちのチームで一緒に前進していける仲間が、バスを降りずに一緒に頑張り続けられる環境や制度、土壌を作ることがマネージメントと言われる人たちの仕事なのだと思います。
終身雇用の働き方が一般的ではなくなり、転職も今では当たり前、むしろそのタイミングでより良いキャリアや待遇を求めていける醸成になる中で、自分たちのチームや環境を選択してもらえるのか?メンバーがみんな、ここでなら自分の将来が描ける、自分のやりたいことができる、いつも幸せに満足して働ける、そう思ってもらえる環境を構築していくことができるのか?そういう部分がマネージメントの役割の人たちに問われてくるのだと思います。
自分の目指すべき方向性に気づくための仕組みづくり
私のチームでは、メンバー1人1人が自分の人生や想いに向き合い、自分が何をやりたいのか?何を目指すのか?自分で決断し、自分で自分の輝かしい人生を構築していくために、「will/can/must」と呼ばれる研修という形で自分の心に向き合うための時間を取っています。
will/can/mustは、自己分析のフレームワークですが、この仕組を利用して自分たちの考え方に合うように再設計をし、チームメンバーとグループワークしながら、その人の目指すべき方向性を理解してもらう機会にしています。
この研修の目的、内容、やり方については、次回に詳細を記載したいと思いますが、この研修を一緒に設計し、実施していただいている株式会社壺中天の坪谷さんの「キャリア研修 Will Can Must 【自分の人生を輝かせる目標設定 03】」をご紹介します。
このwill/can/mustを利用し、自分と向き合う機会を設けることで、その人のやりたいことや想いを整理する時間を設け、自分が今そこにいることをの意味や意義を感じ取ってもらい、自分の人生を輝かせるための目標を設定するワークを実施しています。
ここで自分が目指すべき目標が定まって、次からモチベーション高く行動していけるようになれば最高です。
仮にそこで、自分の方向性が自分のバスが向かっている方向と違うと気付きがあり、自分でそのバスを降りたいと考えた場合、我々はその決断を歓迎尊重し、自分の決断で前へ進むことを後押しするようにしています。
自分の新たな方向性が理解でき、今乗っているバスに間違って乗ってしまったと気づいたならば、その気づけたことに感謝して、降りやすくしてあげることが大事だなと感じます。
降りたいという意思は悪いことではないですよ。お互いwin-winになるために大切な考え方です。
参考文献
ここで記載した『ビジョナリー・カンパニー2』と、我々の研修「will/can/must」の考え方のベースになっているキャリア・アンカーの文献を以下に記載いたします。もしご興味のある方は参照ください。
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