アイルランドの物語を読もう!〜クーリーでの思い出〜 #土曜夜にアイルランドを語る
たわらです。
普段はクラスやケーリーで踊っているのですが、今は家でソロダンスをぱたぱた練習中です。(オールドスタイル・ステップダンスはいいぞ...!)
今回はアイルランドの民話・神話を読んでみませんか?というお話です。
というのも、アイルランドのクーリー半島を旅行していたとき、ある神話を知っていたおかげで、素晴らしい思い出ができたからです。
アイルランドの神話:「クーリーの牛争い」
皆さんは「クーリーの牛争い」(Táin Bó Cúailnge, The Cattle Raid of Cooley)という神話のエピソードを知っていますか?
本当は長ーーいお話ですが、今回必要な部分だけまとめます。
「アイルランド東部のクーリーに、精強な茶色の雄牛ドン・クアルンゲ(Donn Cuailnge)がいた。西部のコナート王国の女王は、この雄牛を死闘の末に強奪するが、ドン・クアルンゲはコナート王国の雄牛を倒して王国を去った。ドン・クアルンゲは各地を彷徨った後、クーリーに辿りついて死んだ。」
(他にも、某ゲームでも有名な英雄クー・クーランが一騎当千の活躍をしたりするのですが...。)
もっと知りたい方はこちら。英語ですが、子供向けで比較的読みやすい!
私の珍道中とドン・クアルンゲ
私は昨年、ダンスのイベントに参加するため、神話の舞台であるクーリー半島に滞在していました。
クーリー半島は北アイルランドとの国境すぐ側、地図の赤い印が付いているあたりにあります。(Google Mapsより)
半島の中心には山々(Slieve Foye)がそびえ、ハリエニシダの花が咲き誇っていました。のどかで本当にきれいな場所です。
私はサイクリングに行くことにしました。最初は春の一日を満喫していたのですが、帰りの道で(文字通り)雲行きが怪しくなってきます...。
そう、アイリッシュ・ウェザー(変わりやすい天気)です。しかも少し前のハリケーンの余波で、暴風雨が襲い始めます。寒い!!
滞在場所から遠くなかったので、とにかく帰ろうとするのですが、色々あって山がちな道に迷い込み、アップダウンが出てきます。キツい!!
必死に坂を上り切り、下り終えたところで私を待ち受けていたのが...
ドン・クアルンゲの像でした。
...私は「クーリーの牛争い」の最後、この雄牛がぼろぼろになりながらも住処に辿りついた場面を思い出しました。
そして、私が迷いこんだ山が、かつて神話の英雄たちが駆け回ったという山であったことを思い出します。...
自分の境遇と重なって見えたのか、ひどく感動したことを覚えています。(私の場合は自分で勝手に迷っただけですが...。)
それ以来、私はこの雄牛が好きになり、たまにドン・クアルンゲのTシャツを着て踊っています。見つけたらこっそり教えてくださいね。
ひとまず、めでたしめでたし!
※ちなみに、ハリケーンの余波と私のうっかりさえなければ、サイクリングにはぴったりの場所です。こちらのレンタルバイク屋さんにお世話になりました。親切なご家族が経営されています。ご旅行の際はぜひ!
アイルランドの物語を読んでみよう!
アイルランドでは、物語を口承で伝えていく"Storytelling"という文化が大切にされてきました。そのため多くの物語が各地に残っており、一部はインターネットで探すこともできます。
今回は私が行ったクーリー半島の神話をご紹介しましたが、皆さんも自分の好きな地方にまつわる民話・神話を探してみませんか?
アイルランドへの理解が深まること、そして次の旅がもっと楽しくなること請け合いです。
家にいる時間が長い今だからこそ、ぜひ。
何もとっかかりがなければ、英雄「クー・クーラン(Cú Chulainn)」、巨人「フィン・マックール(Fionn mac Cumhaill)」で検索してみては?日本語でもたくさん記事があります。
ほとんど私の思い出語りでしたが、今回のお話はこれでおしまい。
【参考情報】クーリー半島のDancing Weekend
毎年4月の最終週の3日間、"Lordship Workshop Weekend"が開催されます。
2020年は残念ながら中止ですが、アットホームでとても楽しいWeekendなので、是非参加してみてください。
皆さんご存知(?)のBill Lynchさんのレポは、下のリンクから読めます。
私が参加した2019年は、毎日ケーリーがあったほか、セットダンスWS、シャンノースWS、2-hand Dancing ミニWSがありました。
ケーリーで特筆すべき情報は3つです。
1つ目は、毎回Rinkinstown Setを踊ることです。やはり東海岸の定番です! ...というかCo.Louth(ラウス州)の定番?
2つ目は、シャンノースタイムがあることです。シャンノースWSの参加者皆で踊ります。最後のケーリーだけですが、楽しいです。
3つ目は、ブレイクタイムが充実していることです。皆で料理やお茶を持ち寄るのですが、これが楽しくておいしい!時間は長めで、その分参加者の皆さんと色々お話ができます。
ちなみにCCÉ Japanのダンスクラスでは、Rinkinstown Setをクラスの終わりによく踊ります。再開したら遊びに来てくださいね!
...という訳で宣伝タイムです!!
アイルランドの文化を一緒に学びましょう!
私はCCÉ Japan(アイルランド音楽家協会 日本支部)の運営のお手伝いをしています。世界中に支部があり、アイルランドの音楽・ダンス・言語等の文化を未来に繋げるための活動を行っている非営利団体です。
少なくとも4月中はお休みですが、中野サンプラザで音楽は月1回、ダンスは月4回クラスを開催しています。アイルランドから来たゲストと一緒に踊ったり演奏したりする機会もあります。
5月以降のクラス・イベント情報はFacebook等にアップしていくので、ぜひチェックして遊びにきてください!(4月は中止ばかりで寂しい...。)
寂しがるばかりではしょうがないので、4月19日(日)からオンラインレクチャーも始めます。反響次第では今後も続けるので、ぜひご参加ください!
これは「中の人」ではなく個人の印象ですが、CCÉの良いところは、技術的な面もそうですが、ダンスや音楽が生まれ、伝わってきた経緯を学び合いながら、踊ったり演奏したりできる点にあるのかなと思っています。
私は、それぞれのチューンやダンスの背景にある人の繋がりが本当に好きです...。この点についてはいずれ、機会があれば書こうと思います。
またお会いしましょう!Slán go Fóill!