私の知らなかった私

私は旅行会社に勤務していた。

毎日同じ業務の繰り返しで、営業成績も伸びず上司に怒られる日々。
退屈でつらい日々。さらにこのご時世で、「足で営業に行け!」という古い習わしは通用せずに、在宅勤務を命じられた。

そんな日々の中で私の日常をごまかせるのが漫画である。
私は仕事をやっているふりをしながら、在宅で漫画を読んでいた。

そこで出会ったのである『I”s』に。

『I”s』は1997年に週刊少年ジャンプで連載された漫画で、なんで今更『I”s』なのかと思うと思う。

ただ、いろんな漫画を読み尽くしてからの『I”s』なのである。
ドラマ化もされたっぽいし、空気階段のラジオでも言ってたし、読んでみるか・・と軽い気持ちで読んだ。

「え、これエロ本じゃね?」

読んでみて、1番率直に思った感想である。

1990年代は、こんなエロ漫画をジャンプで連載してたの!?という衝撃。青年誌じゃないかと疑うエロさ。
正直、内容などどうでも良い。とにかくエロいし、当時の学生には重宝したであろう。

そして、何よりよかったのが、『お尻』である。

『I”s』の作者、桂正和さんはお尻を描かせたら右に出るものなどいないくらいお尻を書くのが上手で私は魅せられた。

「私は尻フェチだったんだ」

退屈な日常にかまけて、自分が何を好きだったのか忘れていた。
何に興奮するのか、何に刺激を求めていたのか、
自分の性の欲求なんて1番後方の後回しも後回し。

そんな日常で気付かされた尻フェチ。

内容なんて、頭に全く入れずにとにかく桂正和さんの描くお尻ばかり読んでいた。
丸みをおびた桃のようなお尻に魅せられていたのである。

時代はコロナ化。在宅になって上司にバレずに堂々と漫画を読めることがなければ『I”s』に出会って、お尻フェチという自分の新しい面を知ることが出来て良かった。

上司の尻にしかれるのは嫌だけどね。



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