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10小さな街から来たリコ

今日のピアニストは静かめの曲が多い。いつも一曲は日本の童謡をアレンジした曲が入る。今日は「荒城の月」をジャズアレンジすることもなくしっとりと。会話するのにイイ感じだ。

料理を食べながらリコはとつとつと語り始めた。

アタシの生まれた町ってサァ、ホント田舎で同級生の男子が60人くらいだったかなぁ。アタシその全員とヤッたんだよね。だからサァ実家に帰ると同級生の奥さん達は全員ダンナを家から一歩も出さないの。笑っちゃうでしょ。こっちはいまさらどうこうしようって思っていないのにね。

でもねぇ、去年のことだったんだけど、地元で同級生と結婚して子供もいる建設会社の2代目から電話が来たのよ。もちろんヤッた相手だけど。そいつが

「会いたいから、いまからクルマで行くから」

だって。いまからったって高速使わなきゃ遅くなっちゃうしと思っていたらその通り高速飛ばして来たわけよ。

「高速ってETCは会社のカードじゃないの?」

「大丈夫だよ、バレやしないよ」

いやー、マズイと思うんだけどなぁ、って思いながらもラブホに行ったのよ。昔からガタイはしっかりしていてアッチも強かったから久しぶりに2回戦いけるかなって思ちゃったから。まぁ、アタシも悪いかなとはおもったんだけどさ。そこから先は期待通りだったからアタシは満足したんだけどね。

さて、帰ろうかと思ったら、そいつラブホの支払いもカードでするもんだからコッチがビックリして

「ダメだって、絶対バレるって」

「大丈夫、ダイジョーブ、ダイジョウブイッ」

って言っていたけど、やっぱり奥さんにバレてさ。アッチは強かったけどいっつも赤点だったからアタマは弱かったんだよね。

奥さんが同級生ってコトはアタシも同級生ってコトでさ、そりゃあもう町中の同級生仲間に広まったさ。だから実家に帰るといままで以上に地元の風当たりが強くてね。そんなんだから足も遠のいて地元に戻れずにここにいるワケよ。

だからもう面倒なのはイヤなんだよね。

ねぇ、私たちセフレでいいよね。

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