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初めての海外ひとり旅1

もう10年以上前の話…

仕事を辞めるのが決まった時に、一人旅が出来る大人になりたいと漠然と思った。

私には数年前に知り合った旅のプロがいる。彼女はおばあちゃんが結婚費用にと貯めてくれた貯金を使って世界を廻った強者だ(笑)

早速彼女に相談した。どこに行きたいのか聞かれたが、特に行きたい所なんてない。ただ、一人旅ができる大人になりたい。人生観が変わるような経験をしてみたい。ただ、それだけだった。

安くて初心者向きな所なら、タイはどう?と言われた。じゃあそこでと何も考えずに決めた。

とりあえず期間は8日間、タイ航空のチケットを購入した。そして、タイ版の地球の歩き方を購入した。

タイでバックパッカーといえば、カオサンだと言うことで最初の宿泊地はそこにすることにした。当時のバックパッカーは予約せずに安宿街を廻って宿を決めていたが、私がカオサンに着くのは夜。初めての土地でそんな時間から宿探しする勇気なんてない。だから初日はホテルを予約することにした。

PC持ってないし、スマホもない時代。地球の歩き方に載ってるホテルのアドレスにガラケーから英語でなんとか予約した。返信が来たのに感動すらした。世界と繋がってるんだって。

そして1月末、タイ航空に乗った。飛行機の窓からミニチュアみたいな街を見ながら、あー始まった。もう後戻りは出来ない。旅をするしかないんだって思った。(今でも初めての土地に行く時はそう思う)

不安な気持ちも持ちつつ、その数分後にはタイビールを堪能し、なんならおかわりまでした。ビール、機内食、お菓子…お腹いっぱいになった所にアイスが来た。え?今?棒のアイス?これ持ち帰りできないよね。でもタイのアイス食べたい。腹がはち切れそうになりながらアイスまで完食。

そんなこんなでバンコクに夕方到着。たしかドンムアン空港。ここしかまだなかったんだよね、この頃。出入国審査のあたりがごった返してて、めっちゃ時間かかった。そしてトイレで着てきた長袖を脱ぎ半袖になった。急いで空港の外にあるエアポートバス乗り場に行き、カオサン行きのチケットを150バーツ(450円位)で購入した。

道中も混んでて、私は気が気でなかった。なぜかと言うと、ホテルの返信メールに21時までに到着しなかったらキャンセルしますと書かれていたからだ。今ならスマホでメールするか電話すればいいって思うけど、圏外のガラケーしか持ってない。

カオサンのバス降り場に到着したのは20時50分頃。方向音痴な私はもちろんすぐ近くのホテルを予約してた。だが、夜でよく分からない。降りた途端にタクシーの客引きのおじちゃんに囲まれる。怖い。どーしよう。ぼったくられる。

結局、人の良さそうなタクシーのお兄さんに声掛ける。歩いていける距離なのに。お兄さんはちょっと笑ってタクシーに乗せてくれた(多分近すぎて笑ったんだと思う)

どう考えても違う方向に向かってる気がして、21時までにチェックインしたいの!急いで!大丈夫?って何度も聞いた。お兄さんは大丈夫。大丈夫って言いながらナンパしてきた。あとタクシー貸切で明日観光しようよとも。

結局すぐホテルに着いた。着いたよって言っても降りない私にお兄さんがえっ?って顔をした。私もえ?ってなった。自動ドアじゃないことに気づき慌てて降りた。そしてドアを閉めるのを忘れて怒られた。乗せてくれる時にドアを開けてくれたから気づかなかった。そう、自動ドアは日本だけ。

そんなこんなで慌ててチェックイン。シングル(エアコン·ホットシャワー)で580バーツ(1740円位)だった。英語でまくし立てられて、それだけでも軽くパニックなのにデポジットを要求された。当時の私はデポジットを全く知らなかった。宿代以外にお金1000バーツ位(3000円位)請求され、ぼったくり?と疑った。何も無ければ、チェックアウト時に返すと言うフロントの言葉を信用することにした。

まだ初日なのにヘトヘトになった。お腹空いたけど怖くて、外に出られなかった(今考えると1階にセブンイレブンがあった)

あとクーラーが死ぬほど効きすぎてて、止めようにもリモコンがない。クーラーは死ぬほど高いとこについてて椅子に乗っても、テーブルに乗っても届かない。フロントに電話する力もない。さっきデポジットのやりとりで疲れたからだ。

シャワー浴びると水か熱湯しか出ない。どうやっても無理だ。え?ここホテルだよね?タイではあるあるというのを地球の歩き方で読んでいた私はさっと身体を流し、髪は諦めた。

寝ようとしたら、掛け布団がない。え?どういうこと?この寒い部屋で凍死させようとしてる?日本から着てきたコートやらバスタオルやらを掛けまくって寝た。怖いから電気付けたまま。

もうやだ。帰りたい。








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