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「親友」のこと

小学生の頃からの親友がいる。
名前は、はじめ☆ちゃん。

クラスが別だったにも関わらず、なぜか仲良くなった。たしか、お互いに絵を描くことが好きだったことで親しくなったように記憶している。

中学で席が近くなると、いよいよ私たちは創作への情熱を爆発させた。毎日おもしろおかしくすごし、給食中には笑かし合いで牛乳を吹き出しそうになるほど。

それから長いこと、「私たち親友!」とお互いに言い合ってきた。中学卒業後は別々の進路をたどり、滅多に会えなくなったものの、それでも私たちは「親友」と言い合ってきた。

だけど、私は、実は、不安に思っていた。
私って本当に親友なんだろうか。
本当に親友だと思ってくれているんだろうか、と。

人気者のはじめ☆ちゃんが、私のことを「親友」と呼んでくれるたび、私はいつも、「嬉しい。でも、本当なのかな……」と自信なく思っていた。

幼い頃は自信家だった私。でも世の中を知るようになると、「私なんて大したことないじゃないか」と、己の格の低さが身に染みてくる。そうなると自信のなさは、はじめ☆ちゃんとの関係にも向く。

――どうしてはじめ☆ちゃんは私のことを親友と言ってくれるんだろう。客観的に見て、私はそんな魅力ある人間でもないと思うし。ノリで言ってるだけかな。私だけが親友ってわけじゃなくて、人類皆親友で、私もその一人ってことかもしれない。

だけどその自信のなさは、私の結婚披露宴を境に変わる。

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652字
日記と回顧録と。

日々のこと。時々物思うこと。 過去の悪口は言いたくない。 関わりも持ちたくない。 意味がなかったとも思いたくない。 ネガティブにもポジティ…

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