はたしてあの結婚生活は「ただの無駄な時間」だったか
時々思う。あの13年間の結婚生活は、私にとってただただ無駄な時間をすごしただけだったのだろうかと。何も得ずに終わったのかと。
否。何も得なかったわけではなかった。
そのことを、母が教えてくれた。
母に言われてわかったのだが、知らず知らずのうちに私は、葬儀や法事関連の作法をインストールしていたらしい。
実家で暮らし始めて、まもなく父を失い、コロナ禍で姉や親戚が来られない状況だったあの頃、それは効力を発揮していたのだろう。葬儀から数日後、私は母から感謝の言葉をかけられた。