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【VLOGCAM ZV-E1】フォトグラファーからみた動画機

※機材提供:ソニーマーケティング株式会社

いま(4月22日現在)ソニーさんからVLOGCAM ZV-E1を借りています。

「動画の作例を撮ってほしい」と言われたときは、依頼先を間違えてるんだろう・・・と思ったのですが、よくよく話を聞いてみると「フォトグラファーが動画機を使うとどうなるのか」を知りたかったようです。

正直なところ「VLOGCAMか・・・」と乗り気になれなかったのは事実です。これまで動画機が発表されたとしてもスペックを調べることもなく、商品ページを開いたこともない。それくらい興味がなかったのです。

普段使っているメインのカメラは高画素機のSONY α7RIV。
サブでFUJIFILM X-T20。もちろん写真撮影用。

実は動画はたまに撮影していて、タイムラプスやドローン、GoProは出始めの頃からやっていたし、興味本位でジンバルも持っていたこともあるので、そこそこの知識はあります。

とはいえ、動画作品を作って公開するほどの熱量は無く、家族のイベントをプライベートで年に1-2度撮る程度。なので、動画についてはフレームレートなど基本的な知識はあるが、撮影や編集テクニックは素人と思ってください。

そんなレベルなのに、動画作品を撮らなければならない。
しかも納品するまでの猶予期間も短い。

何を撮れば良いか想像もつかず、これは無理じゃね?と依頼を受けることをかなり渋りました。作品レベルの動画を撮影できる自信がなかったからです。

ただ、同時に「面白そう」と思う気持ちもあり、これまで動画に本格的に取り組む機会がなかったのでよいキッカケになりそうだなと。

かなり悩んだ結果、短い動画でもOKという条件で引き受けることにしましたのでした。

動画作品はそのうちソニーさんのサイトで公開されるはず。

そんなわけで、実際に触ってみた感想などつらつらと書いてみたいと思います。

■ZV-E1の外観・操作感

手に取ってみるとかなり小さく感じる。普段使っているα7RIVとの比較なので余計にそう感じるのかもしれません。
APS-C機のFUJIFILM X-T20と比べても小さい。

VLOGCAM ZV-E1 + FE 50mm F1.4G

小型機はよく指が余るとか言われますが、持った感じ特に気にはならない。握りやすい形状なので、私はしっかりホールドできました。この辺は個人差があるかもしれませんね。
ストラップもつけず70-200mm F2.8 GMを付けて片手でプラプラ持ち歩きましたが、不安になることはありませんでした。(マネしないように)

ZV-E1にはファインダーがないので余計な出っ張りがなく、かなりスッキリしています。これなら持ち運びもしやすいし、ジンバルに乗せるにも良さそう(というか、よかったです)。

最初ボタンやダイアルの数が少ないと思いましたが、実際に使ってみると動画撮影用であれば特に問題はないと感じました。シャッター速度はほぼ固定にするし、絞りとISOはダイアルで変更できる。親指AFも動画では使わないし、ピント位置は顔認識やタッチトラッキングで事足ります。

ボタン類は少ないが特に問題なし

ファインダーが無いことは最初戸惑いました。晴れた屋外で全くモニターが見えず途方にくれたのですが、設定で「モニター明るさ」を「屋外青天」にしたら解消。快晴の日中でも十分視認できるようになったので問題はないです。バッテリーの消費が激しくなるかな?とも思ったが、1日出かけてもバッテリー1本で済んだので大丈夫そうですね。

あ、あとバッテリーがα7RIVと同じNP-FZ100なのはうれしいです。

まとめると、小型でスッキリしたカメラではあるが、動画撮影メインであれば持ちにくいとか、操作しにくいといったマイナス要素は感じませんでした。

■ZV-E1の用途

普段α7RIVを使っていることからもわかるように、私は高画素大好き人間です。まれにですがポスターサイズに印刷することもあるので画素数には余裕が欲しい。等倍で見てニヤニヤしたいというのもあります。

そのため、ZV-E1の1200万画素は少なすぎる。というのが最初の印象です。α7sIIIもそうだけど、画素数の少なさから写真用途ではどんなに勧められても私は買わないと思ってました。

※誤解の無いよう補足しておきますが、一般的な用途であれば1200万画素でも十分と思います。SNSの投稿やA4サイズくらいまでのプリントなら十分にこなせますし。単に私が高画素好きなだけです。

ZV-E1 + FE 16-35mm F2.8 GM

ただ、動画専用機として考えた場合は話は違ってきます。人間欲張りなもので、写真と動画を両方撮りたいと思ってしまう。しかし、やってみるとわかりますがカメラ1台では非常に困難なのです。

一番の問題はシャッター速度。写真はブレずに撮ることが基本なので、可能な限り早いシャッター速度にすればいい。
しかし、動画では24fpsなら1/50秒、60fpsなら1/120秒など遅いシャッター速度を求められる。日中動画を撮影する場合は、必然的にNDフィルターを装着することになるのです。

写真の時はNDを外して、動画の時はNDを付ける。他にも、動画の時はPPを有効化したり、それ用の設定に変更する必要がある。ジンバルにも乗せたくなるし、付けたり外したり。

・・・非常にメンドクサイ。

α7RVを買って1台で写真も動画もやろうと思っていたのだが、どうにも無理そうです。結論として写真と動画を両方撮るなら、カメラは2台必要という考えに至りました。

2台体制と考えたとき、ZV-E1は非常に魅力的。

1200万画素であることが逆に良く思えます。たとえばサブカメラをα7IVにしちゃうと、画素数が多いので写真を撮りたくなってしまう。

そこで画素数の少ないZV-E1が活きてくる。動画専用機として割り切れる。ZV-E1に可変NDフィルターを付けっぱなしにして、ジンバルに乗せたままでも運用できる。サイズも小さく、2台目として持ち運びやすい。

写真も撮りたいし、動画も撮りたい人にとってはベストな選択に思えます。

■ZV-E1の性能

クロップなしで4K 60p 4:2:2 10bitで撮影可能。(更にファームアップで4K 120pで撮影できるようになる)

動画を本気でやりたいのなら、この数値はとても魅力的です。同等の性能を満たすカメラはソニーだとFXシリーズとα1、α7sIIIしかないはず。

例えばα7IVは4K 60pだと1.5倍クロップになってしまうし、α7RVは4K 60pで1.2倍クロップ。それ以前の機種(α7III、α7c、α7RIV)では10bit撮影はできない。

60pで撮影して、24p書き出しでスローモーションにすることは多いので、ZV-E1なら常時4K 60pで撮影しておいて、編集時に必要に応じてスローにすることができる。

あと、S-Log撮影をしたいなら10bitが望ましい。8bitで編集するとバンディングが起こりやすいので、α7RIVではPP10を使ってました。

となると、動画を本気でやるなら必然的にα7sIIIに行きつくこととなるのですが

α7sIIIは45万円くらい・・・一方、ZV-E1はソニーストアで30万円を下回る。

α7sIII以上の動画性能を10万円以上も安く手に入れられると考えると、ZV-E1は非常にお買い得に感じてしまう。

本当に悩ましい。

■ZV-E1の機能

・シネマティックVlog
ZV-E1に搭載されたシネマティックVlogという機能が売りのようです。

機能を有効化すると、24pに固定され、アスペクト比がシネスコープの2.35:1となる。実際に撮影してみると色合いも淡い感じで、撮って出しで映画っぽい感じ。これは手軽で良いなと感じました。

本来なら動画を撮影した後は、編集でカラーコレクションやカラーグレーディングを行う必要があるのですが、日常的なスナップとか、作品作りをしない場合は、このシネマティックVlogで撮って出しでいいかも。

ただ、私は使うか?と言われれば使わないかな。24pに固定されてしまうので、60pで撮影して編集でスローモーションにするといったことができなかったのが残念。(音声は入らないが、クイック&スローにすれば撮影できるらしい)
あと、せっかく10bit S-Log撮影できるので、自分でカラーグレーディングを楽しみたいし、独自性を出したいです。

・手振れ補正
良いなと思ったのはダイナミックアクティブ手振れ補正。
従来のアクティブ手振れ補正より、更にブレを防いでくれます。
約1.5倍くらいクロップされてしまうけど、本当にジンバルいらない感じ。登山で動画を撮影したいけどジンバルをもって登るのはキツイので、ZV-E1なら手持ちでいける。16-35mmや20mm F1.8Gと相性良さそうです。

・その他
他にもオートフレーム機能とかあるようですが、私の用途だと使わないかな。Youtubeとかで自撮りする人なら重宝するのかもしれません。

■まとめ

VLOGCAM ZV-E1は動画を本気でやりたい人にとっては非常に魅力的という結論です。α7sIIIと同等以上の動画性能にもかかわらず、10万円以上も安い。

ファインダーが無いとか、スロットが1つとか劣る点はありますが、動画機としての完成度は非常に高いと思います。そして写真も動画も両方撮りたい人にとって、2台目としてベストな機種だなと。

私は買うか?というと・・・本気で悩んでます。

今回の作品づくりのために、動画用にいろいろ買っちゃったんです。

・可変NDフィルター:H&Y REVORING Vari ND3-ND1000 CPL 67-82mm +  Black Mist 1/8 + Cap

H&Y REVORING Vari ND3-ND1000 CPL 67-82mm


・ジンバル:DJI RS3 mini

DJI RS3 Mini + ZV-E1

・音楽サービス:Artlist Music & SFX Pro

せっかくなので動画に本気で取り組んでみようかなと思っていて、でも4月末にはZV-E1をソニーさんに返却しなければならない。早急に動画機を手に入れる必要がある。

余裕があればZV-E1を買いたいところですが、写真用にα7RIV→α7RVに買い替える予定だったので両方は難しい。

悩んだ挙句、サブ機に使っていたFUJIFILM X-T20を売って、α7cを買っちゃったんです。

SONY α7c + FE 16-35mm F2.8 GM

でも、動画性能で考えると、α7cは8bitだったり、4K 60p撮影ができないなどちょっと物足りない部分もある。十分と言えば十分な気もするけど、せっかくだからS-Log撮影&編集も極めたい。

なので、当面メインはα7RIVで我慢して、サブ機をZV-E1にしちゃおうかとも考えたり、考えなかったり。でもやはりメインは写真な気もするし、あーだこーだ悩んでいます。

それくらいVLOGCAM ZV-E1には魅力があります。そして、FE 50mm F1.4 GMも借りてて、これまた素晴らしいので返したくない。

結論としては、ソニーさんに機材を借りると欲しくなるので注意しましょう。

むしろそれが狙いなのか・・・

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