見出し画像

自転車都市に変革中のパリを走る 欧州自転車旅9日目(アムステルダム→ブリュッセル→パリ)~

 欧州自転車旅10日間の旅行記の9日目です。この日はスキポールからブリュッセル経由でパリに鉄道で移動し、その後パリを走りました。デンマークやオランダの都市が古参の自転車都市だとすれば、パリはまさに新興の自転車都市です。素晴らしい自転車インフラに感動しつつも、まだ不完全さを感じる場面もあり、急速に自転車都市へと変革している最中であることを実感しました。
めちゃめちゃ長くなりました。ダラダラした個人の旅日記です。
出発  :8時4分
到着  :21時10分
走行距離:50km


全日程のダイジェストはこちら。

ホスト宅からスキポール空港駅へ

ホスト宅からスキポール空港駅へのタイムラプス動画です。空港までの道にもしっかり自転車道がありました。ホストは朝早くから予定があるとのことで、朝ごはんはいただかずに出発しました。ズヴォレのホストからいただいた非常食を朝ごはんとして走りながら食べました。

泊めていただいた家
スキポール空港にて

在来線を乗り継ぎブリュッセルへ

 さて、この日は鉄道でパリまで向かう必要があったのですが、ネットで予約してもパリ行きのタリス(ちょうと2023年10月にユーロスターにブランド統合されたばかりでした)はすでに満席でした。駅に行けば何とかなるのではと思い、スキポール空港駅の駅員に助けを求めました。
 すると、在来線でのブリュッセルまでの行き方を丁寧に教えてくれて、印刷までしてくれました。ありがてえ。ブリュッセルからパリまではユーロスターの席を予約できていたので、これで何とかなるかとめどが立ちました。ただし、タリスは遅い時間しか予約できず、パリでの観光の時間を十分とれなくなりそうで落ち込んではいました。(その後早い時間に切り替えられました)

こちらのサービスカウンターの左の女性が対応してくれました。
印刷してくれた時刻表

 自転車については、駅員さんに相談のうえ輪行したのですが、結局在来線、ユーロスターのどちらでも不要だったと思います。電車の中で乗客の淑女に話しかけれら、「この袋は何?自転車なら、そのままでいいのよ」というようなことまで言われました。途中のBreda駅で輪行解除しました。

ロッテルダム駅。輪行してない自転車がいますね。

 Breda駅からブリュッセルに向かう電車に乗る際には、親切に車内から自転車を引き上げてくださった二人組がいました。その方の自転車がこちらの折り畳み自転車です。どこまで乗るのか聞かれ、ブリュッセルだと伝えると、だったら自分のほうが先に降りるね、ということで、私の自転車を下にして重ねてくれました。紳士です。輪行しなくていいのよと教えてくださった淑女しかり、親切な方が多い印象です。あとけっこう話しかけてくれる。
 電車に乗りながらもタリスの予約ページをずっとチェックしていたところ、より早い時間の予約が取れて切り替えました。ラッキー。

Breda駅からブリュッセルへの電車内

ブリュッセルの自転車環境は微妙?

 ブリュッセルでは、ほんの15分程度ですが、中央駅から南駅に自転車で移動することができました。国技が自転車ということで、走行環境には期待していたのですが、正直なところ残念な印象です。ほんの少ししか走れていないのでベルギー全体に言及することはしません。
 石畳は仕方ないとして、マークだけの自転車レーンは、普通に車も通るので、あまり意味をなしていませんでした。路上駐車にかなりのスペースが割かれてしまっている印象です。

ブリュッセル中央駅からブリュッセル南駅へ


ベルギー中央駅
駅前のベルギーワッフル販売カー
これはどういう状況?
一応自転車レーンが引かれているんですが、普通に車も通行するのであまり意味をなしていません。駐車スペースをなんとかするしかないのでは?
ブリュッセル駅周辺の自転車走行空間はよいとは言えません

ユーロースターでパリへ

 ブリュッセル南駅からパリへは、運よく予約できたユーロスターで移動しました。23年10月からはタリスとユーロスターが統合されたようなのですが、車両にはThalys

輪行する必要があるのかどうか、いろんな駅員さんに聞いたのですが、とうとうはっきりしたことがわからず、結局輪行しました。駅員さんのほうの問題か、自分の英語力の問題かは分かりません。
一等車(といってもそこまで高くなかったです)にしたので軽食が出ました。
もっと長い距離だと、しっかりした食事がでるようです。

自転車都市への変貌の過程にあるパリ

 タリス満席問題、輪行必要か問題に頭を悩ませつつも、16時過ぎにようやくパリ(パリ北駅)に到着。電車を降りてすぐ輪行解除しました。

パリ北駅ホーム。ここで輪行解除しました。
輪行なしで電車に乗りそうな方
パリ北駅入り口。スリが多いらしいです。

自転車推しのパリを走る

パリ市内サイクリング(一部途切れてしまっていますが)

パリ北駅から南に走ってセーヌ川を渡り、またセーヌ川を北に渡り、ルーブル美術館前を走ってコンコルド広場を左折してモンパルナスのホテルにチェックインするまでの動画(自分のYouTube動画で一番多く再生されています)

ホテルを出て、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通り、バスティーユ広場を経てまたホテルに戻るまでの動画

パリの自転車環境レビュー

パリを自転車で走った感想を、写真を挙げながらレビューしていきます。

サイクリスト多い!

まず驚いたのが、サイクリストの多さです。パリ北駅を出てすぐの通りを、ビュンビュン自転車が走っていました。地元の方も観光客も、男性も女性も走っていました。子供が走っているのはあまり見かけませんでした。お年寄りも、そんなに多くなかったかな…このあと書きますが、パリでのサイクリングはけっこう難しいからかもしれません。

パリ北駅前の通り
狭い自転車レーンをビュンビュン走っていきます
反射材月のサイクリスト。
カーゴバイクも

2台に1台はシェアサイクル?

デンマークやオランダとの大きな違いの一つが、シェアサイクルの多さです。2台に1台はシェアサイクルでは?というくらいでした。公営シェアサイクルのVelibに民営のLime、Bolt、Dottを見かけました。翌日、VelibとLimeに乗りました。

パリ北駅近くのVelibのポート
Limeに乗る業務中?の人
VelibとDott。シェアサイクル多し。
Velib。道路上にこんなにスペースとって置かれてるのは日本との違いです。

道路の真ん中に自転車レーン!

自転車インフラについても期待以上でした。特に、驚いたのは道路の真ん中に自転車レーンが引かれたルーブル美術館前の通りやセーヌ川に架かる橋です。車が真ん中、自転車は端、というのが当たり前だと思っていましたが、その常識が覆された思いです。今回の欧州自転車旅の中でもトップ3には入る思い出です。

ルーブル美術館前の通り①
ルーブル美術館前の通り②
ルーブル美術館前の通り③
セーヌ川に架かる橋
駐輪用の器具も準備されています。U字ロックが一般的な欧州ではこういうものが必要。

まだまだ不完全な自転車レーンに、変革中であることを実感

とはいえ、道路の真ん中に自転車レーンがあるのは一部分です。コペンハーゲンと比較しての一番の違いは、自転車レーンの一貫性です。いろんなタイプの自転車レーンがあり、品質もまちまちで、どこでも安心というわけであはありませんでした。コペンハーゲンでは常に自転車がどこを走ればいいか明確でしたが、パリではどこを走ればいいか混乱することが多かったです。
このあたりの不完全さに、パリがまさに今自転車都市に変革中であることを実感しました。

ここまで真ん中が自転車レーンですが…
コンコルド広場に入ると突然自転車レーンが途切れてどこを走ればいいか分からなくなりました。
この広さで双方向通行なので、狭く感じます。コペンハーゲンならこの幅で一方向通行です。
双方向通行で狭いので、こんな自転車が走ってくると危ない
バスレーンは走りやすい時もありますが…
でかいバスが通ると、けっこう怖い。
これはどういうこと?
ルーブル美術館裏の通りです。反対側の道路は真ん中が自転車レーンですが、こちらは車で大渋滞。BUSレーンは公共のバスとタクシーだけが通過できます(UberはNG)

交通ルールはあんまり守らない

サイクリストのスキル、マナーについても、デンマークやオランダとの違いを感じました。人口密度の高さや観光客の多さが理由かもしれませんが、信号が守られない場面も多く、デンマークやオランダのような整然とした自転車の流れとは対照的でした。

左折のハンドサイン。デンマークやオランダほどは多用されていませんでした。
交差点で危ない場面は多く見かけました。(自分も経験しました)

自転車以外のパリレビュー

自転車以外の視点での感想も少し。

街全体が美しい!スケールがでかい!

コペンハーゲンもアムステルダムも、美しい場所はありましたが、それは一部の区画だけという印象でした。パリはその区画が街全体という感じです。スケールが大きいです。

セーヌ川①
セーヌ川②
セーヌ川とエッフェル塔
夜のセーヌ川
凱旋門とシャンゼリゼ通り

オシャレな人多い

先入観もあるかもしれませんが、パリはイメージ通り、オシャレでスタイリッシュな人が多い印象を受けました。

男性(多分観光客ではない)
女性(多分観光客ではない)
カップル(右の二人、多分観光客ではない)
スカーフサイクリスト(翌日撮影)


輪行バッグが届いてない?パリのホテルでの嫌な思い

海外自転車旅で、唯一、人から嫌な思いをさせられたのがこのパリでの経験です。予約していたホテルのTimhotel Odessa Montparnasseさんに到着。事前にホテルに連絡を入れて許可を得たうえでコペンハーゲンから輪行バッグを郵便で送っていました。ところが、受付の女性にいくら訪ねても「そんなものは届いてない」「私は分からない」の一点張り。夜になったら別の担当者が来るからその人に聞いてくれとのこと。パリ人はよそ者に冷たいというイメージがありましたが、そのイメージ通りの経験になりました。翌日飛行機で帰る予定なので、輪行バッグがないと困ります。電車用の輪行袋でANAに泣きつくかなどいろいろ考え、この後の夜のパリサイクリングは不安な気持ちで楽しみ切れませんでした。
夜のスタッフ2名はさらに対応が悪く、人種差別的なことなのか?とすら思いました。しつこく粘ると、ようやく倉庫に探しに行ってくれて「You are Lucky!」と輪行バッグを持ってきました。「ラッキー?は?」というところですが、ともかく帰れそうでよかった・・・
ちなみに自転車については、ホテルの中に入れるのはNGとメールできいていたのですが、部屋に入れられました。
フランス人一般に対して悪いイメージをもたれないためにも、いいエピソードも載せておきます。不安な気持ちで夜のパリサイクリングに出て凱旋門にきたところで、フランスのオントニ?なる地域からきたという同い年くらいの男性観光客一人から写真を撮ってくれないか頼まれました。ホテルでの嫌な思いもあったので、スリでは?と警戒しましたが、普通にいい人でした。お互い写真を撮りあいました

凱旋門前で記念撮影

翌日に続く

いいなと思ったら応援しよう!