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タイムスリップ with #KAYABUKI | 京都 美山町

"鯖街道"と呼ばれる、京都北部から今の福井県に向かっての交通網を知っているだろうか。

この道を通って、若狭湾で採れた魚、特に鯖(サバ)を京に運んだことから、そのような名前で呼ばれる街道。

それに沿って広がる、京都府南丹市美山町。
名の通り、深く美しい山が連なる日本のふるさとの原景が続く。

道の駅「美山」。地区の玄関口として、農作物や観光案内など、大勢の人々で賑わう。特に、日に焼けたバイク乗りのオッちゃんたちの姿が多く見られた。

大自然の中を清流・由良川沿いに続く国道もあり、夏のハイシーズンには、京阪神からのバイク乗りのツーリング客も多い。

実際に訪れた道の駅は、コロナ禍の中で規模縮小営業と見られたが、100台以上あるとみられる駐車場は、ほとんど満車。適度なソーシャルディスタンス環境が保たれつつも、多くのマスク姿の人々で賑わっていた。

ふむふむ。そこには大きな理由がある。

このコロナ様相の中、自家用車でアクセスしやすい都心部から1~2時間のマイクロツーリズム圏内にあり、ステイホームはじめインドアではなくアウトドア、自然が感じられる環境もあるだろうか。

僕はまた別の興味でこの地を訪れていたのだが。

道の駅からさらに東へ車を10分ほど走らせると、昨今、マイクロツーリズムだけでなく京都北部のローカルツーリズムの中でもアツいと言われる「かやぶきの里」が見えてくる。

冒頭でも書いたように、この美山町は車の窓越しでもわかるほど空気が澄んで、山の緑も深く、いかにも「古き良き日本のふるさと」といった景色が続くのだが

特に、この地区が今全国的にも注目、、、いやアツいのにはそれなりの訳がある。

それが、「大規模に現存するかやぶき(茅葺)屋根集落群」である。

夏の空を背景に広がる、美山のかやぶき屋根集落群。

かやぶき屋根自体は、寒冷地に特化した建築技法ではない。

「通気性が高い」「吸音性が高い」「断熱性が高い」「保温性が高い」という4拍子揃ったかやぶき屋根は、現在のように冷暖房がなかった時代から、「夏は涼しく冬は暖かい」空間を作ることが出来、四季のある日本には適した建築技法だそう。

日本で現存しているかやぶき屋根建築からも確認できるように、国内でも現存するかやぶき建築はそう多くない。

全国的には冬の幻想的な佇まいが有名な『世界遺産・飛騨白川郷の合掌造り』などが有名だが、この美山町の「北」集落は国内で3番目の規模のおよそ38のかやぶき屋根住居の集落群とのこと。

それだけでなく、実際に歩いて踏み入って驚いたのは「その多くが実際に住居として使用されている」ということである。

30~40年ごとに「葺き替え」と呼ばれるメンテナンスが必要な茅葺屋根。建物の減少に伴い、葺き替え職人さんも減少しているとのこと...。

白川郷では、その建築の多くが観光目的や商業目的で一般公開され、内部の建築構造や古い農具などを観光客が観覧できるのに対して、美山の住宅群はどちらかというと現役の集落群という印象が強い。(どちらが良いという話ではなく)

もちろん、観光客向けの建築やツアーなどもあるが、あくまで「住宅地」のため、外部からの観光客がヅケヅケ入っていくような環境ではないという認識はしっかり持って、長居しないように立ち寄りたい。

里の中の一部は観光客向けに開放されているので、里について知りたい方はそのようなスポットを訪れることをお勧めしたい。またいくつかは飲食店や観光案内所として使用されているのでそちらも。

それらに留意して、見て回ると非常に魅力的な集落だ。

SNSでもこのかやぶき集落の写真が多くシェアされ、旅好きの人々を刺激したのだろうか。集落のふもとにある駐車場もほぼ満車の様相。

集落のふもとには、田んぼに交じって蕎麦畑が広がる。訪れた8月はまだまだ小さな苗が並んでいたが、晩秋にかけて花が咲いていくだろう。

そんな中、一部の住宅を改造した蕎麦屋「北村」さんは沢山の食事客で賑わっていた。

1時間弱といった待ち時間を過ごし、この日はそばを食して帰ったが、後で人に聞くところ、美山はそばでも有名らしい。

暑さもあって、この日は早々に歩いて見て回ったが、実際に大人の足でもゆっくりまわっても1時間程度で回れるコンパクトな集落も人気の一つか。

真っ直ぐに伸びる木々が連なる山へ向かって、一直線に伸びる畦道。なかなかゆっくり楽しむことのできない、自然の風景のひとつ。

真夏の猛暑もあり、実はこの日は早々に撤収してしまったが(別用の道中で立ち寄ったという事情もあるが)、かやぶき屋根をもつ集落群は、まさに、一見にしかずだった。

もとより、これらの住宅が出来たのも400年以上前だったと言う説があるから、もっともっと価値があるように感じる。

気になって調べてみると、かやぶき屋根を用いた建築は、現在の法制度では許可されていないらしい。

だからレアなのか、価値があるのかというのではなく。

実際に訪れて自分の目で見たからこそ、美山のかやぶき屋根集落群はその建物だけでなく、美しい大自然の中に今も流れ続ける日本の里山の歴史や文化が感じられる場所だった。

まるで、タイムスリップしたかのような。

令和の2020年の1シーンだとは分からない、もしかしたら何百年も昔の風景と全く変わっていないのかもしれない。

もちろん、今回美山を訪れたのは夏だった。

かやぶきファン(?)の中には、「かやぶき屋根の真骨頂は冬」という人もいるぐらいだ。

次回は、冬。
雪がこれでもかと降る、冬の美山にやって来たい。

ーーーーーーーー了。


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