【僕は少年A】
【僕は少年A】
僕は少年A、そう、犯罪者だ。
例えとかじゃなく、本当の話だ。
この話を聞いて、僕を嫌う人もきっといるだろう。
だけどこの話は、僕がこれから開催する個展をやる上で、話しておかなければならない。
嫌いでも好きでも、最後まで聞いてくれると嬉しいです。僕の話を。
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第一章
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昔の話をしよう。
僕が17歳ぐらいの頃かな。
元々まともな人間じゃなかった僕は、環境の事もあり、高校を追い出され、働く事になった。
その歳から働ける仕事といったらお決まりの、"建築業"だ。
自分が最年少だったのもあって、結構かわいがってもらった。
世間で言う、"社会不適合者"のような大人ばかりだったが、みんな優しかった。
他に居場所が無かったし、そこの輪にいるのは居心地がよかった。
そんなこんなで、僕の社会人デビューは17歳という若さで始まった。
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第二章
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毎日働き始めて、当然だが収入も増えた。
やりたい事もできた。
「DJ」
元々、HIPHOPやR&Bみたいな、ブラックミュージック(黒人の音楽)が好きだった。
自分と似たような環境にいる人達が奏でる音楽は、そこらへんのラブソングなんかより、よっぽど共感できた。
DJを始めてから、恋人ができて、二人暮らしを始めた。
そこからは最悪だった。
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第三章
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僕は生まれつき、"家族愛"とか"恋人愛"なものがあまり湧く方ではなく、"仲間愛"みたいなものを大事にする人間だった。
彼女とはその辺の価値観が合わなかったのだろう。
毎晩発狂していた。
仕事で朝5:30に起きなければいけないのに、「寝るな!」「わたし飛び降りるから!!」と叫ばれる。
睡眠不足とストレスと仕事で訳が分からなくなった。
次第に仕事も休みがちになる。
当然収入も減る。生活費はすべて僕負担なので、暮らしも危うくなり始める。
それでも彼女の発狂は毎晩続いた。
そしてある日、仕事を飛んだ。
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第四章
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もう心の中に仕事に行ってる余裕なんか残ってなかった。
早朝に「辞めます」とだけLINEを送って、眠りについた。
「ドンドンドン」「ドンドンドン」
家のドアがノックされてる。それも何回も。
社長が来た。
恐る恐る社長と顔を合わせた。
「200万払うか、タダ働きするか選べ」と言われた。
17歳で入った会社だ。ちゃんとした会社だとは思ってない。社長も、元々闇金だったらしい。
「タダ働きを選べば、このまま連れてかれる」
とっさにそう判断して、「200万円払います」
そう言ってしまった。
もちろんそんな大金持ってない。
その夜、「人生が終わったとは、こういう事か」
そう思った。
そうして、僕は"生きる"ために犯罪者になった。
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第五章
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今流行っている、"特殊詐欺グループ"に入った。
慶應の大学生なんかが捕まってるやつだ。
そのグループと協力し、総額約700万円を罪の無い人達から騙し取り、18歳の時に逮捕された。
ここで皆さんに対して一言言わせて頂きたい。
この話を聞いて、「警察に相談すればよかったのに」とか「親に…」「友達に…」「てゆうか200万円なんて払わなくていいでしょ」「犯罪に手を染めなくたって」
そう思った方も、いるかと思います。
そんな事、わかってるんです。本当に頭がおかしくなった事がないと分からないと思いますが、正常な判断なんかできないんです。
それに相談できるような相手が、今話したストーリーにいたでしょうか。
そんな人はいないんです。恋人なんかありえません。
生まれてからこの方、まともな人間に囲まれた事がない僕には、それが「最善の策」だったんです。
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第六章
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我に帰って、毎晩泣いた。
心から申し訳ないと死ぬほど思った。
半年ほど世間から隔離され、外に出てきた。
最初に見たエンタメが、
「えんとつ町のプペル~読み聞かせ動画」だった。
また死ぬほど泣いた。
西野亮廣
「こんなにも自分の思いを全面に押し出した作品で、たくさんの人を喜ばせてる人がいるとは」
こんな人になりたい。心からそう思った。
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終わり
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よく、「家庭環境が悪くても、頑張っている子はいるんだから言い訳するな」そんな事を言う人がいる。
何も分かってない。
人間は自分の、半径五メートル以内の世界が"すべて"だと思ってる。
生まれた時から、悪循環のループにいる子をどうやって責められるだろうか。
「そんな事いうならお前が、無理やり引っ張って違う世界を見せてやれよ。」と思う。
だけどみんな向き合わない。「悪い子」「汚い子」それで終わらせる。
そんな人達を助けてあげられる、悪循環を無くせるぐらい僕は強くなりたい!
そんな僕の20年の人生経験での強烈な想いが、僕の活動の原点です。
今回の個展も、その想いからの開催です。
世間から「汚い」とされてるハロウィンに出る"ゴミ"を、"人を"「美しい」と言わせて見せます。
長い文章、読んで頂いてありがとうございました。
追伸
この文章を読んで、僕のことを嫌いになった人もいるかもしれません。
それでも、僕は皆から嫌われたとしても、自分の信じる想いを発信していきたいと思います。
それでは、個展会場でお待ちしています。
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