なんとかとスパイスは使いよう。
スパイスは大きく分けて2種類の形状(ホール、パウダー)に分類されます。
・ホールスパイスは種子や実等の形状のまま乾燥させたものです。
加熱をしたり砕いたりする事で香りを引き出して使用します。
そのままの状態であれば長期保存にも向いています。
ある程度加熱をしても香りが残るので調理の序盤からじっくり火を入れて使う事が多いです。
・パウダースパイスはホールスパイスをすり潰して粉状にしたものです。
ホールに比べて扱いやすいですが香りが飛びやすいので長期保存には向きません。
また加熱をし過ぎると香りが飛んでしまうので調理の中盤や仕上げに使う事が多いです。
・ミックススパイスは複数のスパイスを組み合わせたものです。
スパイスの組み合わせはそれこそ無数にありますが、ガラムマサラ・五香粉・パンチフォロン等の組み合わせパターンがある程度決まっていて名前がついているもの。
タンドリーミックスのようにメーカーによって入っているスパイスが全く異なるものがあります。
◎最初はどれを揃えればいいの
一番手軽なのはミックススパイスです。
それだと、全てが同じ香りになってしまうので出来れば何種類か単品のスパイスを揃えるのがお勧めです。
ホールを自分ですり潰す事でパウダーを作る事もできますが道具が必要だったり、ホールは品種によっては過食できない部分が含まれたりします。
初心者はパウダースパイスから揃えていった方がいいかもしれません。
◎スパイスの役割 は香りづけ、辛みづけ、色みづけ
スパイスは大きく分けて3つの役割(香りづけ、辛みづけ、色みづけ)があります。
これらの役割を説明する時、香りづけならクミン、色みづけならターメリック………のように代表されるスパイスと併せて紹介される事があります。
しかし、スパイスは一種類につき一つの役割ではなく、複数の役割を併せ持っています。
例をあげるとターメリックは色みづけだけではなく、しっかり加熱する事でカレーらしい香りを引き出す事が可能です。
◯香りづけ
スパイス料理の代表ともいえるカレーって食欲を促進させるなんともエスニックな香りがしますよね?
それこそがスパイスの香りづけの効果によるものなのです。
香りづけはスパイスの役割の中でも最も重要でスパイスの種類によって香りは異なるので用途に合わせて使い分ける事が大事です。
・代表的なスパイス:クミン、コリアンダー、カルダモン、クローブ、シナモン
◯辛みづけ
ちょっとでも料理をする方であれば、台所に唐辛子や胡椒があると思います。
実はそれが辛みづけのスパイスだったりします。
辛みづけのスパイスは種類によって「辛さのレベル」に開きがあります。
そしてどれも「一度つけた辛みを引く事は困難」なため、初めて使うスパイスの場合は少量ずつ様子を見て足す事をお勧めします。
・代表的なスパイス:チリ、ペッパー、マスタード、ジンジャー
◯色みづけ
パエリアやインドカレーで黄色いご飯を目にした事があるでしょうか?
あの色はサフランやターメリックでつけていたりします。
食材にもよりますが、香りづけのところで紹介したスパイス類の使用だけだと、茶色い料理になりがちです。
色みづけのスパイスを使うと華やかな色を加える事ができます。
・代表的なスパイス:ターメリック、パプリカ、サフラン
◯その他役割
上記であげたのがスパイスの3大効果ですが、他にもコリアンダーによるトロみづけ、消化促進や整腸作用に代表される健康に良いとされる効果、肉や魚等の臭みを消す効果等があります。
スパイスの使い方と注意点
◯香りの引き出し方
香りを引き出すには加熱が必要ですが、その方法やタイミングにより得られる効果が異なります。
加熱の仕方が適切でないと、ホールであれば充分な香りが引き出せなかったり、パウダーであれば土臭さや苦み・粉っぽさが残ったりしてしまいます。
下準備~仕上げまで、スパイスの使い方とタイミングをまとめてみました。
■下準備
肉や魚の臭みを消すために加熱をする前に食材にスパイスを加えマリネします。
代表的なものにニンニク、ショウガがあります。
またマリネは食材の臭みを消す、香りをつけるだけでなく、調味料を足して味をつけたり、柔らかくして味をしみ込ませやすくしたりする効果もあります。
■調理始め
食材の投入前に油でスパイスだけを炒めて香りを引き出します。
この手法を”テンパリング“といいます。この時使うスパイス(”スタータースパイス“と呼ばれる)はホールスパイスを使用してください。
スパイスは種類によって火の通りやすさが異なるので、基本的にはサイズの大きいもの→小さいもの、固いもの→柔らかいものの順に投入すると失敗が少ないです。
使う油はサラダ油で大丈夫です。
■調理中
パウダースパイスを食材と一緒に炒めて香りや辛み、色づけをします。
パウダーはホールに比べて香りも強いですが焦げやすいので、調理始めではなくこのタイミングで使います。
■仕上げ
パウダースパイスは加熱する事で香りが飛んでしまうので、調理の最終段階で香りを引き立たせるため足す場合があります。
この時パウダーを使うのであれば少しの時間でいいので加熱を行った方がよいです。
★注意点1:用量は適正範囲内で
スパイスは種類によって適正な使用量があります。
具体例を挙げると、ナツメグのように過剰摂取すると中毒症状が出るもの。
チリ等の刺激性の高いもの。
ターメリックも量が多いと土臭さが残ってしまったりします。
逆にある程度量を増やしてもそこまで風味を壊さないスパイスもあります。
コリアンダーやカルダモン、マスタードは割と量を入れられるスパイスだと思います。
注意点2:スパイスの組み合わせはシンプルに!
よく「20~30種類のスパイスをブレンドして………」という話が出たりします。
しかし、スパイスは掛け合わせる種類が増える程、一つ一つのスパイスの風味が薄くなりがちです。
(お互いの尖った部分が平均化されてボケた味になってしまう)
メーカーや専門店で調合されるスパイスは、プロがそれぞれのスパイスの特徴を掴んだ上で何度も足し算引き算をして生み出しているため、味の調和が取れています。
それを上手に利用するのもおすすめです。